こんにちは、アッティです。
「アッティの熱湯とやま人」は、富山のために熱い気持ちを持って頑張る人の本音に迫る番組!
今回のゲストは、株式会社Marco (マルコ) 代表取締役の小川 耕平 (おがわ こうへい)さんです。
キングダムやスパイファミリー、キズナアイなど多くのアニメ作品に関わり、2023年には第23回富山市ヤングカンパニー大賞で大賞を受賞した旬の企業の代表を務める小川さんに熱く迫っていきます!
この記事は、FMとやま 金曜17:15~17:25放送のラジオ「アッティの熱湯とやま人」の編集前データを、ほぼノーカットでまとめたものです。
放送では流れなかった裏話も含め、お楽しみください。
小川さんの人柄や仕事のこと
富山のアニメ業界の状況
アニメ業界の仕事は主に都心に集中しており、地方には少数しかありません。小川さんは富山に住むアニメ業界のプロで、地方では珍しい存在です。
アッティ
小川さん、どうぞよろしくお願いいたします。
小川 耕平さん
はい、よろしくお願いします。
アッティ
実はこの番組でアニメ業界の方、ましてや映像業界の方は初めてなんです。
小川さんは、富山に住んでらっしゃるんですよね?
小川 耕平さん
そうですね。
アッティ
富山でアニメ業界の方って、結構いらっしゃるものなんですか?
小川 耕平さん
全くいないですね (笑)
アッティ
そっか、やっぱり周りでもそんなにいらっしゃらない?
小川 耕平さん
そうですね、大体はやはり都心に。会社さんとかが多いので。
アッティ
全国的にそうなんですか? アニメ業界っていうのは、地方にあんまり広がってるもんじゃない?
小川 耕平さん
コロナをきっかけに、ちょこちょこ小さい会社さんとかが移ってたりはします。でもやっぱり、まだ8割ぐらいは都会ですね。
アッティ
なるほど。では、小川さんのような存在は富山にとったら宝ですよね。
小川 耕平さん
ほんとですか (笑)
アッティ
と言いながら、実は私、あんまりアニメ業界というか、アニメに詳しくない…
「キングダムの嬴政 (えいせい) が自分の目標だ」みたいな、その程度にしかなってない。
小川 耕平さん
そうなんですね (笑)
アッティ
小川さんのお話をどこまで私が理解できるか分かりませんが、頑張りたいと思います。
小川 耕平さん
はい。
小川さんの自己紹介と会社紹介
小川さんは株式会社Marcoの代表で、3DCGを用いたアニメ制作を行っています。
主にTVアニメや劇場アニメの3Dなどの立体造形を手掛けており、「キングダム」や「SPY×FAMILY」などの有名作品に関わってきました。
アッティ
第1回ということでもありますので、ここからは小川さんの人柄や仕事のことについてお話を聞いていきたいなと思っております。
まずはですね、最初に簡単な自己紹介、そして会社の紹介をしていただけますでしょうか?
小川 耕平さん
株式会社Marco 代表の小川と申します。
弊社はアニメ業界の3DCGという、パソコンを使って絵を描くみたいな仕事をしている会社となります。
アッティ
3DCGってのは、まずどういったものなんですか?
小川 耕平さん
パソコンを使って、3Dを、立体を造形してくみたいな。
アッティ
ほうほう、そういった映像を作っていく感じですか?
小川 耕平さん
はい。
アッティ
例えば「過去に携わられてきた作品」って、どういったものがあるんですか?
小川 耕平さん
大体9割ぐらいはTVアニメだったり、劇場アニメだったり。
アッティ
ちなみにどういったTVアニメ? 名前言ってもらって大丈夫なんで。
小川 耕平さん
最近、有名なところだとやっぱり「キングダム」とか。
アッティ
おぉー、大好き!
小川 耕平さん
あと、昨年末にあった「SPY×FAMILY」っていう。
アッティ
おぉー、SPY×FAMILY!
そういった映像の作り込みをやってるんですか?
小川 耕平さん
そうですね。
アッティ
すごいですね、なるほど、わかりました。まぁまぁまぁ、まだ分かりませんけれども (笑)
小川 耕平さん
そうですね、なかなか (笑)
アッティ
ここからね、詳しく聞いていきたいなと思っております。
小川さんの経歴
小川さんは青森生まれで、東京の専門学校を経て、富山のアニメ制作会社ピーエーワークスに就職します。
幼少期は青森で過ごし、サッカーに熱中していました。富山には縁がなく、「富山ってどこ?」という状態で働き始めます。
アッティ
生まれと幼少期について少しお話を聞いていきたいなと思いますけれども、生まれは青森ということですね?
小川 耕平さん
そうですね、青森ですね。
専門学校で東京へ出て、初めて就職したのが、富山の南砺市の「ピーエーワークス」という会社って感じですね。
アッティ
そうすると全く富山にご縁なく、富山に来られたんですね。
小川 耕平さん
なかったですね、むしろ「富山ってどこ?」みたいな (笑)
アッティ
そんな状況で富山で初めて働き出した?
小川 耕平さん
そうですね。
アッティ
じゃあ、専門学校で東京に出るまでは、ずっと青森だった?
小川 耕平さん
そうですね。
アッティ
子ども時代は、どんな感じの子どもだったんですか?
小川 耕平さん
いや~、そうですね、どちらかというと運動。
アッティ
おぉ、スポーツ。
小川 耕平さん
小学校ぐらいまでは、もうサッカー一色でしたね。
アッティ
ずっとサッカーをやってらっしゃって、なるほどなるほど。
アニメを好きになるきっかけ
小川さんは高校2年生の夏休みに「涼宮ハルヒの憂鬱」を見てアニメに興味を持ち、東京のアニメ専門学校に進学しました。
卒業後、縁もない富山のアニメ制作会社ピーエーワークスに就職し、南砺市でアニメ制作に携わるようになりました。
アッティ
サッカーからアニメの世界に行くまでの間はあると思うんですけど、アニメに関わるきっかけみたいなものってどういったことだったんですか?
小川 耕平さん
高校生になって、モラトリアムじゃないんですけど、なんか悶々としてる時期がありまして。
高校2年生の夏休みのときに初めてアニメを見て、「あ、こういう世界あるんだ」みたいなのをきっかけにどんどんハマっていきましたね。
アッティ
「アニメを見て」というのは、普通に流れてるアニメを見て「これ面白いわ」みたいになって、それがきっかけになったってことなんですか?
小川 耕平さん
そうですね。
アッティ
ちなみに、どういったアニメだったんですか?
小川 耕平さん
深夜のアニメなんですけど「涼宮ハルヒの憂鬱 (すずみやはるひのゆううつ) 」っていう。
アッティ
涼宮ハルキの憂鬱?
小川 耕平さん
ハルヒの憂鬱。
アッティ
どういったアニメなんですか? それは。
小川 耕平さん
自分の中のアニメって、その頃までは「クレヨンしんちゃん」とか「ドラえもん」とか、早い時間にやってて子ども向けみたいなもの。
アッティ
そうですよね。
小川 耕平さん
そういった印象があったんですけど、その作品は深夜アニメで、学園青春ものみたいな感じのもので「こういうのもあるんだ」みたいに、ちょっと感動した覚えはありますね。
アッティ
そこではまず「アニメが好きになった」みたいな感じなんですよね?
小川 耕平さん
そうですね。
アッティ
決して、アニメを作ろうとかではなかった?
小川 耕平さん
そこまではなかったですね。
アッティ
「そこまではさすがに…」というところから、実際「青森から東京の専門学校に行く」って、なかなかのトライじゃないですか?
小川 耕平さん
そうですね。
アッティ
専門学校は、もう完全にアニメの専門学校?
小川 耕平さん
そうですね、はい。
コンピュータグラフィックスの学校だったんですけど、その中でもいろいろジャンルがあって、自分はそこの「アニメコース」を最初から1本で。
アッティ
もうその頃には「アニメの仕事に就いてみたい」みたいな気持ちがあって、ということですよね?
小川 耕平さん
そうですね。専門学校に行ったときには、もう「いつかこの業界で働きたい」みたいなのは明確にあったと思います。
アッティ
もう既にあったんですね。
小川 耕平さん
はい、ありましたね。
アッティ
専門学校でアニメを学んで、そこからなんと富山に来られたわけですか?
なんと、というのは南砺市ですよね?
小川 耕平さん
(笑) そうですね、上手いですね。
アッティ
今言うと、なんともないですけど (笑) 。来られたんですよね?
小川 耕平さん
はい。
アッティ
どちらの会社だったんですか?
小川 耕平さん
はい、そこが「ピーエーワークス」さん。
アッティ
ピーエーワークスという会社、あれ? 南砺市? 砺波市?
小川 耕平さん
南砺。
アッティ
南砺市ですよね。
小川 耕平さん
南砺市の城端ですね。
アッティ
すごいですよね! 本当に何の縁もない方が南砺市に来て、ピーエーワークスに入って仕事をしだすみたいなのは。
ピーエーワークスに入社した理由
小川さんがピーエーワークスを選んだ理由は、求人のタイミングが早かったからと、地方出身で田舎が好きだったからです。オリジナル作品を制作している点にも魅力を感じました。
富山に来てからは「本当に良いところだ」と感じ、特に城端の風景に感動したそうです。
アッティ
なぜピーエーワークスに入ることにしたんですか?
アニメの会社って山ほどあるじゃないですか? その中で、どうして富山のピーエーワークスを選ばれたんですか?
小川 耕平さん
ちょうどタイミングだったんですけど、求人が早かったんですよね。
アッティ
求人が早かった、なるほど。
小川 耕平さん
「1社目応募してみるか」みたいな。
アッティ
ほうほう。
小川 耕平さん
っていうのと、元々地方出身だったので、やっぱり田舎の方が好きだったんです。
アッティ
なるほど。
小川 耕平さん
「人混み、疲れるな」みたいな感じだったので。
アッティ
東京は何年かいらっしゃったんですか?
小川 耕平さん
専門学校のときは1年半。
アッティ
1年半。1年半はだいぶ疲れちゃいます?
小川 耕平さん
いや~もう疲れますね。1年で疲れましたね。
アッティ
人の多さにね、なるほど。
求人が早かったからピーエーワークスに入ったと。でも当然ね、求人の早さだけじゃなくて、ピーエーワークスの魅力があったからだと思うんですけど、そこはどういったとこだったんですか?
小川 耕平さん
オリジナル作品を作ってるっていう。
アッティ
なるほどなるほど。
小川 耕平さん
業界でも珍しいんですよね、今も作られてますけど。
アッティ
頼まれて作るものではなく、自分たちで自発的に作るオリジナル作品を作ってらっしゃった。そういった会社なんですね?
小川 耕平さん
そうですね。
アッティ
実際入ってみて、富山に来てみてどうでした?
小川 耕平さん
「あ~いいところだな」っていうのは、はい。
アッティ
青森から東京経由しても十分心の落ち着く場所?
小川 耕平さん
そうですね。これ、このラジオだから言ってるわけではなく「本当に富山はいいところだな」って思った記憶ありますね。
城端って、砺波平野で一番山の麓の方なので、砺波平野を一望できるじゃないですか? 「すごいな」「綺麗だな」と思った記憶はありますね。
アッティ
青森からですと、雪のハードルっていうのもあんまりないですしね。
小川 耕平さん
全然なかったですね。
アッティ
違和感は、そんなにないかもしんないですよね。
小川 耕平さん
むしろ雪は好きな方だったので。
提出した独特なポートフォリオ
小川さんはピーエーワークスの就職活動で、個性を追求した結果、リアルなゴキブリを作ったポートフォリオを提出しました。
当時の自分を振り返り、「なりふり構わずやんちゃだった」と感じています。
アッティ
ピーエーワークスに入社をしようということで、何ていうんですか? ポートフォリオみたいなものをしっかりと出されたと思います。
なんかすごい特徴のあることをされたということを、ちらっと聞いたんですけど。
小川 耕平さん
何かありましたっけ?
アッティ
ポートフォリオで、ゴキブリの話をされたとか。
小川 耕平さん
あぁ、僕どこにそれ。
アッティ
ちょっと調べてきたんです。
小川 耕平さん
本当ですか! よくご存知ですね。
作品作りに悩んでるときに「自分の個性ってなんだろう」みたいなところを追求してった結果、迷いに迷ってゴキブリを作るという (笑)
アッティ
そのポートフォリオを就職活動のときに出したと。なかなかのインパクトですよね。
小川 耕平さん
そうですね、結構リアルなゴキブリを作って、ゴキブリホイホイに引っかかるみたいな。
アッティ
そういうのを作られたんですか? 面白い!
小川 耕平さん
作りました (笑)
アッティ
今こうやって企業を作ってアニメ制作の世界でも成熟されてきてる中で、そのときの自分を今から見るとどうですか?
小川 耕平さん
なんか「なりふり構わずやんちゃだったな」みたいな。
アッティ
「なんでゴキブリ作ってんだ?」みたいな。
小川 耕平さん
「それがうまく受け皿にはまってたのかな?」みたいな。
アッティ
そうですよね。なるほどなるほど。
今回は小川さんの人柄や仕事のことについてお聞かせをいただきました。次回は、実際に仕事をしてみて感じたことや、独立するまでのことについて、お話を聞いていきたいと思っております。
アニメ業界のいろいろ
ピーエーワークスでの初めての仕事
小川さんがピーエーワークス入社後に最初に手掛けた作品は、南砺市と共同制作の「マイと魔法の家庭の日」。
学校で学んだツールの使い方は即戦力となりましたが、クリエイティブな部分は自身で磨く必要がありました。
アッティ
前回はね、小川さんの人柄や仕事のことについてお聞かせをいただきました。
城端にあるピーエーワークスに、なんとゴキブリのポートフォリオを作って入社してる。そういう人柄って、そんな人柄じゃないですけど。
小川 耕平さん
よくわからない (笑)
アッティ
青森で生まれ育って、そこから東京でアニメの勉強をされて、そこからなんと、富山県の南砺市城端に来られたというのは面白いですよね。
それも全然ご縁がなく来られたってのは、非常に嬉しいところがあるなと思いながらお聞かせをいただいておりました。
実際にピーエーワークスに入社されて、初めて取り組んだ作品ってどういったものだったんですか?
小川 耕平さん
南砺市さんと、ちょっと記憶がはっきりしてないんで、間違ってたら申し訳ないんですけども。
アッティ
大丈夫です。
小川 耕平さん
南砺市さんと一緒に確かやってたのかな? 「マイと魔法の家庭の日」っていう。
アッティ
ほう。
小川 耕平さん
何かローカルで、小学校とかで流してたのかな? そういう作品をまずやってましたね。
アッティ
なるほど。
小川 耕平さん
TVアニメとか劇場とかでは、全然ないですけど。
アッティ
なるほど。
小川 耕平さん
はい。
アッティ
実際ピーエーワークスに入って、学校で勉強してきたことって技術的にすぐ通用するものなんですか?
小川 耕平さん
はい。ツールの使い方とかは、学校で学ぶので。
アッティ
うん。
小川 耕平さん
クリエイターなので「どう良くなるか」とか、そういうのは自分で磨いていかなきゃいけないところもあるんですけど。
アッティ
なるほど。
小川 耕平さん
使い方的なところは、学校で。
アニメ業界の教育方法
アニメ業界の技術習得はOJTが主流。以前は職人のように背中を見て学ぶスタイルが多かったのですが、最近はクリエイターを育成する流れになってきています。
ピーエーワークスは、造形する、動かすなど全部やる会社だったので、小川さんは全体的に学ぶことができました。
アッティ
アニメ業界を全く知らないので、ちょっといろいろお聞きしたいんですけど。
やっぱりその技術を学ぶ、考え方を学ぶっていうのは、OJTが多いんですか? それとも何か独学で勉強することが多いとか、どんな感じなんですか?
小川 耕平さん
最近だと、業界全体でやっぱりOJTというかクリエイター育成の流れになってきてはいるんですけど、自分が入ったときは業界全体として教えるとかあんまりなかったですね。
アッティ
ないんですか?
小川 耕平さん
職人みたいな感じだったので、背中を見て。
アッティ
背中を見ろ! 作るとかそういった基本は学校で学べるし、今ではオンラインとかいろんなとこで学べる技術なんですかね。
そこから実際作る要素と、何て言うんですか、作品を作るというか、そこの間っていうのはどういった難しさがあるものなんですか?
小川 耕平さん
そうですね、美的センス。
アッティ
美的センス!
小川 耕平さん
ですね。
アッティ
なるほど、でもそれってやっぱり職人ですよね?
小川 耕平さん
そうですね、こういうものがあって「これをどうかっこよく見せるか」みたいな。
それってこう、1から教えられるものじゃないじゃないですか?
アッティ
そうですよね。
小川 耕平さん
物が変われば、また見え方も変わってくるので。そういうところのセンスだと思いますね。
それを企業に入って磨いてく、みたいな。
アッティ
美的センスとなると、もちろんちょっと分かんないですけど、職人でいうと、先生というか師匠が何人もいるとセンスをいっぱい見ることも経験もすることもできるじゃないですか?
例えば、ピーエーワークス1社で見たときに、やっぱり一つのセンスを学ぶ感覚なんですか? それとも、その中でも多様なセンスを学べるものなんですか?
小川 耕平さん
そうですね、多様な方。
アッティ
多様なんですか、へぇー。
小川 耕平さん
そうですね。
アッティ
なるほど。
小川 耕平さん
3DCGの中でもいろいろいろいろあるんですよ。
造形する、動かす、最終的にライティングをするとか、いろいろあるんですけども。
アッティ
なるほど。
小川 耕平さん
ピーエーワークスさんは、ゼネラル。ゼネラルっていうと「全部やる」みたいな。
アッティ
「全部やる」みたいな。
小川 耕平さん
なので、全体的に学ばさせていただいてました。
アッティ
そうするとそこで、かなりの基礎を学ぶことができたと?
小川 耕平さん
そうですね。
アニメ制作における3DCG
小川さんは、3DCGを駆使してリアルでリッチな画面作りをするのが得意です。「スラムダンク」などの有名作品にも関わり、初めてクレジットに載った際には感動しました。
現在、多くのアニメで3DCGが使用されており、その割合も増加中です。
アッティ
「自分なりのセンスも磨くのができた」という感じなんですか?
ちなみに、センスを表現するのは難しいと思いますけど、「小川さんの自分のセンスってこんなところだ!」みたいなものってあるんですか? 特徴というか。
小川 耕平さん
自分のセンスですか?
アッティ
言葉じゃ難しいような気がしますけど。
小川 耕平さん
そうですね。アニメ…難しいですね。どう、こう…
アッティ
センスというと難しいかもしれないですが、例えば、小川さんが作るアニメの特徴ってどういったところですか?
小川 耕平さん
自分が作るものだと、どちらかというとリアルチックな作品が多いです。3DCGにしても、「それをどうリッチに見せるか?」みたいなのがあったり。
アッティ
リッチに見せる?
小川 耕平さん
アニメだと、キャラクターってベタ塗りじゃないですか?
アッティ
はい。
小川 耕平さん
CGだと、そこにいろんな情報を載せられたりするので。
アッティ
なるほど。
小川 耕平さん
情報をのせて、「画に入るようなリッチな画面作りをどうできるか?」 みたいなところをやってたりしますね。
アッティ
ちなみに今、世の中に流れてるアニメのどのぐらいに、3DCGという技術が入ってるんですか?
小川 耕平さん
いや、もうかなり多いと思いますね。
「アニメは、その業種の人たちでつくる総合芸術」ってよく言われるんですけども、CGは取り入れられて20年ぐらいなので、まだ若い方なんですよ、アニメの中では。
アッティ
うんうん。
小川 耕平さん
なんですけども、最近だと割合としては結構増えてきましたね。
プロダクションでいうと、テレビアニメだと総尺20分ぐらいなんですけども、その中の割合でいっても、たぶん2割3割? 2割?
アッティ
2割ぐらい?
小川 耕平さん
3割は言い過ぎかもしれないですね。
アッティ
例えば、一つのアニメがあるとしたときに、そのアニメ全体が3DCGになってる感じなんですか? それとも一部だけみたいな感じなんですか?
小川 耕平さん
一部だけのものもありますし、作画をほぼ使わずに、まるっと3DCGっていうのも最近少し。
アッティ
あるんですね!? ちなみにそういうので、皆さんが知っている作品のようなものって何かあります?
小川 耕平さん
それこそ話題になってた「スラムダンク」とか。
アッティ
あれはそうなんですか!?
小川 耕平さん
実は自分もちょっとやってるんですけど、あれ (笑)
アッティ
本当ですか!? 私DVD買いましたよ!
小川 耕平さん
本当ですか!? クレジットに載ってますよ (笑)
アッティ
私、6回ぐらい見ましたよ。クレジットに載ってるんですか!?
小川 耕平さん
載ってます、載ってます。
アッティ
クレジットに載るって、やっぱり感動的なことなんですか?
小川 耕平さん
初めて載ったときは、恥ずかしながらちょっと泣きましたね。
アッティ
それは、ピーエーワークスにいるときに関わったアニメで?
小川 耕平さん
そうです。
アッティ
ちなみに作品名は?
小川 耕平さん
何だったかな? 「花咲くいろは」
アッティ
なるほど、それのクレジットに名前が載ってきて。
小川 耕平さん
そうですね。
アッティ
クレジットが出てくるのって最後じゃないですか? それを見てダーッと涙が?
小川 耕平さん
ダーッというほどでもないですけど、恥ずかしいので、ちょっと、ポロっとみたいなぐらいは。
アッティ
感動でしょうね。
小川 耕平さん
「ついにこの業界に入ったんだな」みたいな。
アッティ
「いよいよスタートを切ったな」っていうのは、実はそのときに初めて感じたって感じですかね?
小川 耕平さん
感じましたね。
アッティ
へぇーなるほどね、面白いな。
例えば、「サザエさん」とか「ちびまる子ちゃん」みたいなアニメには、3DCGはほとんど使われてないんですか?
小川 耕平さん
そうですね。
アッティ
やっぱりそうなんですね、あれはベタ塗りみたいな。
小川 耕平さん
そうですね。
アッティ
なるほどなるほど、何となくイメージが湧いてきました。
スラムダンクぐらいになると、もう全体が3DCGになってる?
小川 耕平さん
そうですね。
アッティ
いや、面白いですね。これからのアニメって、大体そういった方向に進んでいくものなんですかね?
小川 耕平さん
そうですね、10年ぐらい前から徐々に徐々に増えていって。
やっぱり「作画の人手が足りないとかもあったりして、3DCGになってくんだろうな」っていうのはあると思います。
アニメ業界の会社の違い
ピーエーワークスは、作画の元請け会社。ダンデライオンアニメーションスタジオは、CGの元請け会社。
アッティ
ちょっと話戻りまして、ピーエーワークスを卒業されて、その後もう1社入られたんですよね。
小川 耕平さん
はい。
アッティ
どちらでしたっけ?
小川 耕平さん
ダンデライオンさん。「ダンデライオンアニメーションスタジオ」っていう正式名称。
アッティ
これは同じような会社なんですか? アニメーションを作るという意味では。
小川 耕平さん
ピーエーワークスさんは、作画の元請け会社。
ダンデライオンアニメーションスタジオさんは、CGの元請け会社みたいな。
アッティ
なるほど、そこは違うわけですね?
小川 耕平さん
はい。
アッティ
その2社を経験して、それでいよいよ独立をしたという感じですかね?
小川 耕平さん
はい、そうですね。
アッティ
わかりました、ありがとうございます。
今回は独立の手前までのことについてお話を聞かさせていただきました。次回は、いよいよ独立をしてMarcoを立ち上げるお話を聞いていきたいと思っております。
独立してからのこと
独立の経緯
小川さんは、独立願望がなくピーエーワークスで定年まで働くつもりでしたが、キャリアの中で独立を考えるようになり、フリーランスを経て株式会社Marcoを設立しました。
フリーランスでは作品への関わりが限定されるため、深く関わるために組織化を決意。ピーエーワークスでのマネジメント経験も独立のきっかけとなりました。
アッティ
前回は、小川さんの経歴についてお話を聞かせていただきました。
それと、小川さんが特に取り組んでらっしゃる3DCGのアニメってどんなものなのか? どんな作品の制作に関わってきたのか?っていうこともお聞かせいただいて、非常に楽しい時間を過ごさせていただきました。
小川さんは現在、独立をして株式会社Marcoの社長さんになってらっしゃるわけなんですが、今回はその話についてお聞かせいただきたいと思っております。
実際まずですね、独立願望って元々あったんですか?
小川 耕平さん
それがですね、なかったんですよ (笑)
アッティ
えっ!? なかったんですか?
小川 耕平さん
皆さんからよく言われるんですけど、全くなかったです。
アッティ
全くなかったんですか? どこで芽生えちゃったんですか?
小川 耕平さん
いやあ、元々それぞれの企業さんに入ったときも、「定年まではここで頑張ろう」みたいな感じ。
アッティ
そんな感じだったんですね。
小川 耕平さん
ステップアップしていく上で、「ちょっと独立を考えようかな」みたいなタイミングが出てきたりして。
アッティ
うん。
小川 耕平さん
だから、フリーランスの時期とかも実はあったんですよ。
アッティ
そうなんですか!? へぇー。
小川 耕平さん
ただ、フリーランスって1人じゃないですか? だから作品に関われる範囲がすごく狭くて。
そして肩書きや役職をもらったとしても、実際は別の会社に発注とかみたいな形になって、「これが自分のやりたいことなのかな?」みたいなのがあって。「もっと作品に深く関わりたいな」っていうのがあって。
「まず1人じゃ無理だから組織化して」っていうので、会社を立ち上げた感じでしたね。
アッティ
卒業して独立していくときって、「今の仕事が自分のやりたいこととちょっと違ってきた」「自分自身のここをもっと伸ばしたい」ってことが独立に繋がってると思うんですけど、それはどういったとこだったんですか?
小川 耕平さん
そうですね、ピーエーワークスさんだと、元々自分、元々というか今もですけど、クリエイター側で徐々にセクション部署を任せられるようになってきて。
マネジメントをやり始めて、「そっち面白いな」みたいな。
アッティ
そういうふうにですね。
小川 耕平さん
そういうのがきっかけだったりします。
アッティ
なるほどなるほど。
社員のマネジメント
小川さんは、18名の社員を抱える株式会社Marcoの経営者です。
経営者として、クリエイターへの仕事の依頼や育成、クオリティの高い映像の納品など、それらを繋げることに大変さを感じています。
アッティ
マネジメントの最たるものの一つは経営だと思うんですけど、会社を立ち上げて、今、会社には何名いらっしゃるんでしたっけ?
小川 耕平さん
今、社員だと18名 (2024年6月当時)。
アッティ
ですよね。それだけいらっしゃると、本当にもう大変だと思うんですよね。
小川 耕平さん
いえいえ。
アッティ
その人数だとマネジメントが大事になってくると思いますが、クリエイターとマネジメントとか経営者っていうのは、通ずるとこってあるものなんですか?
小川 耕平さん
いやぁ、どちらかというとあんまりないと思います。
アッティ
やっぱりそうですよね。
小川 耕平さん
掛け持ちでやる方って、あまりいらっしゃらないので。
アッティ
そうなんですね。
小川 耕平さん
プロデューサーとかが独立して会社を立ち上げるというのは、よくある話なんですけども。
アッティ
どうですか? 経営者になってみての苦労というか。
小川 耕平さん
クリエイターに対して、どう仕事をお願いして、どう育てて、どうクオリティの高い映像を納品するかっていう、それぞれ点と点を繋げるのがやっぱ大変だな、みたいなのは。
アッティ
それもね、社員の人生を背負うってことになりますとね。
やっぱり1人でやってるときと雇われてるときとは、えらい違いのような気がしますからね。そこはやっぱあるような気がしますね。
東京スタジオ設置の理由
株式会社Marcoは、富山本社に加えて東京にもスタジオを構えています。
当初は富山に集約する予定でしたが、中途採用の応募が増え、東京で働きたいという希望に応える形で東京スタジオを設立しました。
アッティ
今は富山に本社があって、東京の方にもスタジオがあるわけなんですか?
小川 耕平さん
はい、そうですね。
アッティ
そこの使い分けというか、「もくろみ」みたいなものって何かあるものなんですか?
小川 耕平さん
元々東京には作るつもりはなくて、富山になるべく集約させようと思ってたんです。
弊社の場合は、基本的に新卒の方を採用して、1から自分たちで教えて育ててはいたんですけども、徐々に規模が大きくなってくると中途の方からも応募とかがあったりして。
中途の方ってなると東京の方が多かったり、あと本人の気持ち的にも「やっぱり東京で働きたい」っていうのがあったので、「東京にもスタジオ作ろうか」みたいな経緯で作りました。
アッティ
なるほど。
小川 耕平さん
仕事内容で分けてるとか、そういうのは特になかったですね。
アッティ
ないわけなんですね。でもそういう方々が揃ってきてやってる仕事の中で、「キングダム」「SPY×FAMILY」ましては「スラムダンク」って、そうそうたる名前がどんどんどんどん出てくるんですけれども、Marcoさんの特徴というか、なんでそんな仕事が集まってくるもんなんですか?
小川 耕平さん
元々、元請会社であるピーエーワークスさんのCG部署だったので、アニメ制作のワークフローを深いところまで理解できていたんですよね。
スタートがCGの下請け会社だと、ワークフロー全体って見えづらかったりするんですけども、自分はご縁で最初にピーエーワークスさんに入らせていただいて、そういうところを見させていただいたので。
アッティ
なるほど、その経験が活きているんですね。
小川 耕平さん
なので、作品を作って進める上で「こういう方がいいですよ」とか、ご提案をさせていただいたり、そういうのが今に繋がってるのかな、みたいな。
アッティ
経営者は「仕事も取ってこなきゃいけない」「人も育てないといけない」「けど人も採らなきゃいけない」って、山ほどいろんな仕事がありますからね。
Marcoの採用と教育スタイル
株式会社Marcoでは、背中を見て学ぶ方式ではなく、マンツーマンで丁寧に教えることを重視。
採用面では、富山や石川出身でアニメが好きなクリエイター志向の人を求めており、基礎知識や経験があるとありがたいと考えています。
アッティ
ご自身がが育ったときは「人の背中を見て育ってきた」っていうことになりますが、今のMarcoには18名の社員さんがいらっしゃって、それらの人を育てるとなると、さすがにもう属人化の最たる「背中を見て〜」とか言ってるわけにいかないじゃないですか?
小川 耕平さん
はい。
アッティ
そこらへんは、自分なりの特徴というか、人を育てる意味で力を入れてることって何かあるんですか?
小川 耕平さん
自分の場合は「背中を見て学べ」みたいな形でやらせていただいて、やっぱりそこが大変だったんですよね。「教えてほしい」みたいな。
アッティ
なるほど。
小川 耕平さん
なので、会社を立ち上げたときには「ちゃんと教えてあげよう」って思ってはいました。
大体毎年1名ぐらい新人採用させていただいて、自分だったり任せられるスタッフだったりが、ちゃんとマンツーマンでやり方とか教えて育成して、みたいな形で。
アッティ
ちゃんと伴走しながら教えていく、という形をとっているんですね。
なるほどなるほど、わかりました。
アニメとかそういったことじゃなく、いわゆる経営として力を入れてることってのは何かあるものなんですか?
小川 耕平さん
そうですね。
アッティ
やっぱり人が十何人もいらっしゃり、その人たちの生活のことを考えながらもね、特に力を入れてることって何かあるんですか?
小川 耕平さん
そういうのでいうと、実はまだ薄かったりしますけどね。
アッティ
そうですか、なるほど。
小川 耕平さん
会社規模も小さいので、「自分が好きで楽しくやってる」っていうところがあったりするので。
アッティ
なるほど、なるほど。
小川 耕平さん
ただ、社員も増えてって、その人たちの人生も背負ってる身なので、「今後どういう作品をやっていこう」とか、「予算感をどれぐらいにしよう」とか、そういうところは考えないといけないターンに来てるんだろうなとは、最近しみじみ思いますね。
アッティ
「どんな会社にしたいか」=「どんな人に来てほしいか」っていうのがあるじゃないですか?
例えば採用の面とかでも、「どういう人に集まってもらいたい会社だ」みたいなものってありますか?
小川 耕平さん
それでいうと、やっぱり富山という地元に根付いた会社だったり、作品だったりを作れればいいなって思っているので、富山出身の方だったり石川出身の方だったり、そういった方に来ていただければいいなと思います。
人柄的には、やっぱりアニメが好きで。
アッティ
アニメが好き。
小川 耕平さん
はい、クリエイター志向な方だと嬉しいな、とは思いますね。
細かな技術に関しては、育成OJTとしてあるので、そこはある程度こちらから教育できればなとは思っております。
アッティ
例えば、それこそ小川さんみたいに、学校で学んでおかなきゃいけない基礎知識や経験とかってやっぱあるものですか?
小川 耕平さん
そうですね。そこはあった方が、こちらとしてもありがたいですね。
アッティ
なるほどなるほど。
クリエイターについて
小川さんは、美的センスを持つ人がクリエイターであり、アニメが好きでそのセンスを強く持つ人を求めています。
アッティ
クリエイター思考っていうのは、それこそ小川さん自身もクリエイターだって話をされてますけど、クリエイターってそもそもどういったことなんですかね?
小川 耕平さん
最初の話に戻りますけど、やっぱり自分の美的センスを持っている人。
アッティ
美的センスを持ってる人ですね、なるほど。ここのハードルは、すごい高そうですね。
小川 耕平さん
そうですね。
アッティ
やっぱり小川さんが見ると、誰もが美的センスって持ってるものなんですかね?
小川 耕平さん
持ってるとは思いますね。
アッティ
種類が違うっていうか、度合いが違うっていうか、そういったことがある中で、特にアニメが好きであって、美的センスを少し強めに持っていらっしゃるような方っていう意味合いですかね?
小川 耕平さん
そうですね。
アッティ
なるほど、すごい羨ましいです。
小川 耕平さん
いえいえ (笑)
アッティ
アッティは全くクリエイト能力がないので、「クリエイターってどういう人だろう」って、実はいつも思っているんですけどね (笑)
小川 耕平さん
難しいですよね。
アッティ
いや、でもなんかやっぱり「クリエイターが世の中を変えてく」っていう時代に確実に入ってるような気がしますよね。
例えば、この間の能登半島地震に関しての活動とか、いろんな運動を起こすことについても、クリエイターにもっともっと関わっていただくと、いろんな運動が起きてね、活性化に繋がるってことは絶対あるなと。
小川 耕平さん
なるほど。
アッティ
自分ところがアニメを作るとか何々するってだけじゃなくて、世の中のあらゆる運動っていうのはクリエイターがやるから面白くなるんだろうなっていうのは、常々思うとこがありますね。興味津々でございます。
ということで、今回は独立してからのことについてお話をいただきました。あっという間に次回はもう4回目ということで、これからの夢であったりとか、富山のことについてお話をお聞きしたいと思っております。
富山への想い&オススメ店&リクエスト曲
ふるさと富山について
小川さんは現在富山市在住。大きな公園があったり路面電車があったりするので、富山は子育てに適した素晴らしい場所だと感じています。
また、富山を応援するために、地元企業や行政と連携して活動したいとも考えています。
アッティ
あっという間に全4回のうちの最終回になってしまいました。
最終回につきましては、これからの夢、富山のことについてお話を聞きたいと思います。
まずはですね、出身が青森であって、何の縁もない状態で富山に来ていただいて、ふるさと富山、ふるさとにもうなってるかわかりませんけど、その富山についての想いってどうでしょうかね?
小川 耕平さん
本当にいい街だなというか、今、自分2人子どもがいるんですけども、子育て世代にとっては抜群でいいところだなって思います。公園がすごい多いですよね。
アッティ
多いですよね。
小川 耕平さん
でかい公園がいっぱいあるので、遊ぶところにも困らない。食べ物も美味しいし。
アッティ
お金もそんなにかかんないですしね。
小川 耕平さん
そうですね。
アッティ
やっぱり「ずっと富山にいよう」と考えていますか?
それとも、もちろん仕事ありきなんでね、「仕事によっては、いろんなとこに住みたい」みたいなこととか。どんな感じですか?
小川 耕平さん
あ、もう富山に。
アッティ
私が言わせたわけじゃないですよ (笑)
小川 耕平さん
だから言ってるとかでもないんですけど (笑)
アッティ
なるほど。
小川 耕平さん
妻の実家が富山っていうのもあって、もうここに腰据えて。
アッティ
なるほど。今はどちらの方に住んでます? 南砺市?
小川 耕平さん
今は富山市。
アッティ
南砺市から移動されて富山市ですもんね。
小川 耕平さん
そうですね、富山の海沿いのほう。
アッティ
海沿いの方にいらっしゃって。
でも実際どうですか? 青森、東京、富山ときて、いろんな土地を見ることによって、富山の良さっていうのは何か見えるものがありますかね?
小川 耕平さん
富山市内でいうと、「すごく活性化してるな」というか「元気だな」というか。
特に路面電車は、自分の地元青森にはなかったので。ああいうのはすごく珍しくて、使ってる人もすごい多いじゃないですか。すごいなって思いますね。
アッティ
今の専門の仕事ってアニメーションじゃないですか? それを使って「富山の活性化に繋げたい」とか、それとも逆に「富山ではなくても、どんどんどんどん世界とかそういったとこに出てくんだ」みたいな、そこらへんってどういった感じですかね?
小川 耕平さん
業界的には、どんどんグローバル。
アッティ
グローバルにいくと。
小川 耕平さん
なってきています。それこそ、ネットフリックスさんとか。
アッティ
そうですよね。
小川 耕平さん
中国の方でいうと、bilibili動画さんとか、どんどんグローバルになって。
お金の話をすると、向こうの方が予算がやっぱり良かったりするので。
アッティ
なるほど。
小川 耕平さん
だから弊社も将来的には、「どうしてもそっちに行かざるを得ないのかな」っていうのはあったりするんですけども。
自分としては、富山を応援するような何かができればいいなと。ヤングカンパニー大賞も、そういう意図が実はあったりするんですけども。
アッティ
そうなんですね。
小川 耕平さん
っていうのがあるので、個人的には会社、県内の企業さんだったり行政さんだったりと何かタッグを組んでできればいいな、って思ったりします。
アッティ
両輪ですよね、そういう意味ではね。
ぜひともね、「富山にも貢献していただきたいな」というふうに思いますね。
小川 耕平さん
ぜひ!
アッティ
今ちらっとそのお話を聞いて思ったんですけど、日本ってやっぱりアニメがすごくて、それを武器にしながら世界に打って出るっていうことは、日本の国としてやってることだと思います。
世界の技術と比べてどうなんですか? 「だいぶ追いつかれてきてる」とかってあるものなんですか?
小川 耕平さん
そうですね、追い付かれてきてはいますね。
アッティ
やっぱりそうなんですか。
小川 耕平さん
抜かれている部分も。
アッティ
あるんですか、実際。
小川 耕平さん
ただ、じゃあ「日本ほど、高クオリティでコンスタントにアニメを作れる会社が海外にあるか?」っていうと、今はないと思います。
アッティ
そうなんですね、なるほど。
小川 耕平さん
すごいものを長期間かけて作るとかはやっぱりあるとは思うんですけども、それは日本でもできる。
アッティ
そういうことなんですね。じゃあまだ日本の強みがあるっていうのが、業界のところなんですね。
小川 耕平さん
確実に。あとは国内だとやっぱ「IP (アイピー)」。漫画とかが、やっぱりすごく多いじゃないですか?
アッティ
なるほどなるほど。
小川 耕平さん
そこの強みとかは、日本は絶対的にあると。
アッティ
先月、鳥山明さんがお亡くなりになってしまって。
でも、ああいう方々が作られた土台のもとに、それこそこれから小川さんとか皆さん若手がどんどんどんどんそれを繋いでいくっていうのは、大きな役割でもありますよね。
小川 耕平さん
そうですね。
お気に入りの飲食店
アッティ
どこでも結構なんですが、小川さんがお気に入りの富山の飲食店ってどちらになりますかね?
小川 耕平さん
これが実は、あまり、あまり、あまりなんですけど…
アッティ
うん。
小川 耕平さん
事前にこういう質問をいただいて、「何かあるかな」って考えたら一つだけありました。
アッティ
おぉ、どちらですか?
小川 耕平さん
自分よくコーヒーを飲むんですけど、総曲輪にある「まめやコーヒー」さん。
アッティ
ありますね。
小川 耕平さん
はい、ここは総曲輪に行ったときは必ず寄らせていただいたり、仕事で休憩がてら行くときもあったり。
アッティ
どういったところがいいんですか? お店の特徴としては。
小川 耕平さん
総曲輪を歩いていると、やっぱり焙煎してる匂い。
アッティ
匂いがいいんだ。
小川 耕平さん
フラフラっと行って中に入ると、店主さんがコロコロ回して焙煎してるのとか、雰囲気もいいですよね。
アッティ
じゃあ、たまにそこで仕事をしたりとか? そこまでではなく?
小川 耕平さん
ではなく。
リクエスト曲
アッティ
全てのゲストの皆さんに聞いてるんですが、リクエスト曲を1曲いただきたいと思います。
小川 耕平さん
はい、中島みゆきさんの「心音」という。
アッティ
なぜこの曲なんですか?
小川 耕平さん
昨年末 (2023年末) に公開された「まぼろし工場」という。
アッティ
まぼろし…
小川 耕平さん
「アリスとテレスのまぼろし工場」という作品がありまして。
アッティ
アリスとテレスですね、なるほど。
小川 耕平さん
自分は3D監督として関わらせていただいて。すごい思い入れがある作品だったので、それの主題歌を中島みゆきさんが。
アッティ
この歌なんですか?
小川 耕平さん
はい。歌っていただいたので、それをセレクトさせていただきました。
アッティ
わかりました。小川さんのリクエスト曲、中島みゆきさんの「心音」です。
これからの夢や目標について
小川さんは、株式会社Marcoとして富山を舞台にしたオリジナル劇場アニメを制作することを目標としています。
現在、スタッフの育成や採用を進め、5年から10年の長期計画で進行中です。
アッティ
それでは最後の最後になりましたけれども、小川さんのこれからの夢、目標についてお聞かせいただけますでしょうか?
小川 耕平さん
株式会社Marcoは、これから元請会社として富山を舞台にしたオリジナル劇場アニメを作りたいと考えています。それに向けて今、スタッフの育成だったり、採用だったりを進めていっています。
早くてもたぶん5年とか10年とか、それぐらいの長期的な計画になると思うんですけども、いずれそういうのは作りたいなという自分の夢があるので、楽しみにしていただけたら嬉しいなと思います。
アッティ
それはいいですね!
全4回にわたって小川さんからお話をいただきました。アニメ業界で次々と新しいことにチャレンジしている小川さん。富山を舞台にしたオリジナル作品ということで、とても楽しみにしております。
また、富山だけでなく世界にどんどんどんどん発信をしていかれる、進出をしていかれる小川さんも楽しみだなと思っております。
今回のゲストは、株式会社Marco 代表取締役の小川耕平さんでした。小川さん、どうもありがとうございました。
小川 耕平さん
ありがとうございました。
アッティ
この番組のこれまでの放送は、ポッドキャストで聞くことができます。FMとやまのホームページにアクセスをしてみてください。
お風呂の中でのぼせてまいりましたので、そろそろあがらせていただきます。アッティでした。