こんにちは、アッティです。
「アッティの熱湯とやま人」は、富山のために熱い気持ちを持って頑張る人の本音に迫る番組!
今回のゲストは、前田薬品工業株式会社の代表取締役社長の前田 大介 (まえだ だいすけ) さんです。※2022年4月現在
NHKの全国版の『逆転人生』に出演され、富山だけでなく全国の経営者の中で注目されている前田さんに、熱く迫っていきます!
前田さんは、2回目の出演もしていますので合わせてご覧ください。
▶︎ 前田大介さん (第2回目) の記事を読む
この記事は、FMとやま 金曜17:15~17:25放送のラジオ「アッティの熱湯とやま人」の編集前データを、ほぼノーカットでまとめたものです。
放送では流れなかった裏話も含め、お楽しみください。
前田大介さんの紹介と印象
前田大介さんの経歴と印象
9年前、経営者の勉強会「盛和塾」での出会いから、アッティは前田大介さんの大ファンに。
前田大介さんは、本業の成功に加え、村おこしの事業にも情熱を注ぎ、その熱意と経営者としての輝かしい活動は多くの人々を魅了しています。
アッティ
前田さんとは、お付き合いをさせていただいて、これで9年ぐらいになるかとに思います。京セラを立ち上げられた稲盛和夫さんが塾長を務められていた、経営者の勉強会「盛和塾」で初めて出会いました。
最初に出会ったときから顔をテカテカにして、若手の中ではもう突き抜けている、そんな感じの経営者の方でした。
今の本業だけでなく、村おこしの事業についてもそのときから熱く語ってらっしゃって、私はもう大ファンになっていました。
ということで、この番組の第1回は「この人しかいないだろう!」ということで、本日は前田さんにお越しをいただきました。前田さんこんにちは。
前田 大介さん
こんにちは。よろしくお願いします。
アッティ
よろしくお願いいたします
前田 大介さん
アッティさん、のっけからハードルが高いです。
アッティ
笑。まさかでもこんなね、ラジオでお会いするとは思いもしませんでしたね。
前田 大介さん
びっくりです、本当に。嘘だろうと思いました、本当に。
アッティ
いや本当ですね、はい。相変わらず顔テカテカで。
前田 大介さん
テカテカですね。
アッティ
元気バリバリの経営者という雰囲気がいたしますけれども。
前田 大介さん
ありがとうございます。
アッティ
今回、今月のマンスリーゲストということになりますので、4回に分けてお話を聞いていきたいと思っております。
実は私、物心ついた幼少期からアトピー性皮膚炎なんですよ。
本当に小さいときから身体をボリボリボリボリかいているような日々を過ごしていたんですけれども、前田薬品工業さん自体はですね、皮膚のお悩み解決からスタートしてらっしゃるということでありますけれども。
少し会社のご説明も含めて、お願いできますか?
前田薬品工業株式会社の特徴と戦略
前田薬品工業は、薬都富山に存在する70以上の製薬会社の中でも、外用剤 (塗り薬と貼り薬) に特化している数少ない企業の一つ。特に、アトピー性皮膚炎治療のステロイド薬が売り上げの大部分を占めています。
日本の医薬品市場全体で外用剤が占める割合は約4%とニッチながら、前田大介さんが経営者に就任してから8年間で、事業のリストラと外用剤への特化を決断し、その方向性で事業を推進してきました。
前田 大介さん
弊社前田薬品は、薬都富山にも70を超える製薬会社が存在してるわけですけれども、外用剤、塗り薬、そして貼り薬に特化している製薬会社になります。
とりわけ、皮膚疾患でアッティが幼少期の頃悩んでいたというアトピー性皮膚炎に対するステロイド薬、これがもう売り上げの6割から7割を占めるような会社になります。
アッティ
なるほど。全国には、医薬品メーカーさんが沢山あり、多くの医薬品の種類があるというイメージがあるんですけれども、皮膚の外用剤というのはどのぐらいのパーセンテージがあるものなんですか?
前田 大介さん
日本の医薬品市場が約11兆円。そのうち、この塗り薬貼り薬といわれる分野が4%。
つまり、市場の中でかなりニッチなところで戦っているという製薬会社ですね。
僕が経営者になって8年目に突入したのですが、そのときに事業リストラして外用剤に特化しました。外用剤に特化してまだ8年しか経ってないって感じですね。僕がその決断をしておりましたんで。
アッティ
今の前田さんの代にそれを決められたわけなんですね。
前田 大介さん
おっしゃる通りですね。
経営上の転換点と今後の方向性
前田薬品工業が直面した大きな転換期は、8年前に起きた不祥事による経営のバトンタッチです。
この時期に事業の再構築を行い、外用剤に特化する方針を決定します。前田大介さんは、現代の医療制度の持続可能性に疑問を投げかけ、製薬会社が直面する新たな課題として、病気の予防やケアに焦点を当てた事業への転換を提案。
このビジョンにより、前田薬品は「全方位型健康寿命延伸コンテンツ創造企業」へと進化を遂げようとしています。前田大介さんが目指すのは、この新たな方向性で製薬業界のファーストペンギンとなることです。
アッティ
今いろんな事業をされていますが、最初の大きな転換期というのは前田さんへの代替わりにあったのですか。
前田 大介さん
そうですね、はい。今ちょっとね (2022年4月)、最近富山の製薬会社も不祥事続きで大変なことになってますけど、あれと同じようなことというか、ほぼ酷似したことが8年前に起きていて、2代目の私の父の社長が引責辞任する形になって急遽私がバトンタッチしたと。
その中でやっぱり再建するにあたって、まず何をするかよりも何をやめるかというところで決断を迫られたという中での判断でしたね。
アッティ
なるほど。特に3代目になって「誰からも祝福されないスタート」みたいな話があると思いますが、それはちょっと次回にでもじっくりとお話を聞きたいなというふうに思ってるんで。笑
前田 大介さん
そこじっくり聞いちゃう?笑
アッティ
ちょっと汗だくの1週間になると思いますけれども。笑
今の事業のビジョンとして「全方位型健康寿命延伸コンテンツ創造企業へ」ということが言われていますが、これはどういったことになるんですかね?
前田 大介さん
日本の企業および特に日本人個人がですね、これから抱える課題だと思うのですが、不健康な、もしくはちょっと堕落した生活をして、病気やけがをして病院へ行って、当たり前のように窓口で、2割3割の負担つまり7割8割が国の税金が負担されていて、安価に医薬品を変えたり、医療行為を受けるってこれ、かなり奇跡的なこと。
この奇跡的なことがもうまもなく、やっぱりできなくなってくる世の中がそこに近づいていると。そうなってきたときに、人間のマインドとして、日本人のマインドとして、いやそもそも病気にならないようにしなきゃなと。
という世界がやってくるとすれば、製薬会社はその中で必要とされなくなってくる会社、もしくはもっと軽減される会社になってくるわけなので、やはりここで大きな種をまいて、病気になる一歩手前の予防とか、ケアみたいなとこですね。
誰も病気になりたくはないわけで、より健康な人をつくれるようなモノやコトや、教育や空間、コミュニティ、こういったものをつくれる会社になっていこうということで、全方位型というものが、あの枕詞についてるってことですね。
アッティ
なるほど。我々にしてみると病院に行くのは当たり前で、医療費は国の保険があるから3割ほどの負担で済んでいるという感覚をあまり普段持たずにいるところがありますので、そんなに高いものじゃないという感覚があるだけに、薬にしても病院にしても当たり前に行ってしまうっていうのはね、皆さんそういう感じなんだろうなと思いますが。
前田 大介さん
はい。
アッティ
今のお話を聞いている限り、やっぱり海外は医療費だったりとか薬がものすごい高い感覚がありますので、それが近づいているということですよね。
前田 大介さん
そうですね。
アッティ
そうするとやはりおっしゃる通り、予防であるとかケア、いわゆる簡単にいうと薬を使わなくても過ごすことができる身体作りをするという方向に行くわけなんですね。
前田 大介さん
おっしゃる通りですね、はい。
アッティ
でも医薬品メーカーにしたら逆行する話ですよね、そういった意味では。
前田 大介さん
「製薬会社もそのような局面にきたな」というのは、感じてる経営者も企業もいっぱいあると思うんですけども、いざ何を実行するかっていうところに関してはまだ足踏み状態の企業が多い中で、製薬会社の中におけるファーストペンギンになるべきだというのは僕のポリシーですね。
アッティ
なるほど。
誰からも祝福されないスタート
前社長の辞任と前田さんの就任
8年前に大きな不祥事が発覚し、その責任を取って前社長以下役員が辞任。
後継者だった前田大介さんが34歳で社長に就任しましたが、信用失墜や社員の辞職などで経営は困難な状況でした。
アッティ
社長に就任してから、まずスタートが非常に大変だったというお話を聞いてはいるんですけれども。三代目、誰からも祝福されないスタートについてということを言われたりもしてるかと思いますが、少しお話をお聞かせいただけますでしょうか?
前田 大介さん
8年前、当時私が34歳のときに、ここ1年間でも世間をちょっと騒がせている製薬会社の不祥事がありますが、それと同じことが当社で起きました。
その大きな不祥事の責任を取る形で、二代目の社長だった私の父はじめ役員ほぼ全員が引責辞任をして、僕は当初40歳のときに社長就任ということで青写真を描いてたんですが、6年前倒しで急遽バトンタッチをすることになったということですね。
そういう状況下っていうのは、まず金融機関がさっと引いていくんですね。そうなってくると、取引を絞り込んでくる業者さんもいらっしゃいます。そうこうしてると信用不安がどんどん出てきちゃって、社員が半分近く辞めていくと。
アッティ
うん。
前田 大介さん
そうこうしてるうちにマスメディアから、「前田薬品10日間の営業停止行政処分」みたいなものがどんどん出てきて、次から次に、問題が毎日のように起こってくるという状況下での就任でしたね。
アッティ
なるほど。突然のスタートだったわけですよね。
前田 大介さん
そうですね、突然ですね。
まず何が起きてるのか分からないっていうこと、ただ目の前には人が辞めたり行政処分が下されたりするっていう状況でした。
まず何があったのかということと、その原因は何か。よく「5回なぜを問うと真因にたどり着ける」とかありますけど、それはなぜ起きたのか、どこで起きたのかっていうことを、とにかく毎日繰り返して調べながら、1個1個それを解決、潰していくっていう作業の連続ですよね。
アッティ
なるほど。「原因は何なんだ」っていう見方をしたときに、原因がいくつか見えてきたと思いますが、そのときの自分自身の想いというのは、どんなものでいらっしゃったのですか?
人事制度とリーダーシップの刷新
不祥事の原因究明の結果、組織と人の問題が最大の要因と判断し、人事制度とリーダーシップの抜本的刷新を実施。
評価基準を明確化し、立つべき人をリーダーに起用するなど大胆な人事異動を行いました。
前田 大介さん
えーとですね。いくつもいくつも複数の複雑な要因が絡み合っているのですけど、やっぱり一番大きいのは組織と人の問題だったということに気づきましたね。
具体的に何かというと、やはりリーダーたるべき人がリーダーになっていない。年功序列の組織の中で、その中で部下社員、ここに諦めムードが生じている。
縦割りで横同士の繋がりがない。そうすると、情報の行き来が悪くなったり歪んだ情報がいったり、ごまかしたりみたいなところ、事なかれになってくると、結局はリスクがどんどん蓄積されている、という温床は見えてきましたね。
アッティ
なるほど。今のお話を聞く限り、いろんな企業が何かそんな感じであるような感じを受けますけれども。
前田 大介さん
そうなんですかね。
アッティ
たぶん私もどこかにいた記憶があるときに、「そんな感じの会社が多かったな」というイメージがあるんですけれども。
そういう非常に大変なスタートだったのですが、そこからまず最初に手をつけられたのは、どういったとこだったのですか?
前田 大介さん
人事制度ですね、人事制度、評価制度。それからリーダーの方もかなりドラスティックな入れ替えですね。はい。
アッティ
具体的にどういった点を変えられたのですか? 人事制度にしても、リーダーの変え方にしても。
前田 大介さん
はい。前田薬品および前田薬品の各セクションという事業・部隊ごとに、どういったリーダーと、どういった資質の人が求められているか、ということをまず明文化しました。
それに対する評価基準、評価項目も事細かに作って、「この会社はこういう人が求められている」っていうことを明確化し、もう1回全社員をその評価基準に基づいて洗い替えしたって感じですね。
そして「立つべき人がリーダーに立ち、管理職を降りる人は降りるべき」というのをちゃんと明確にし、年齢給というのを廃止したと。
アッティ
なるほど。
前田 大介さん
これが一番大きかったと思いますね。
目標設定と教育の重視
個人ごとの高い目標設定とその達成支援のための教育体制を整備。評価と教育を通じて社員の成長を促しました。
アッティ
実際初めて社長になってトライをしてみた人事制度で、会社がガラッと変わったものなんですか?
前田 大介さん
良くも悪くも変わりましたね。
まず最初は、やっぱり衝撃が走ったと思いますね、会社の中では。今までずっと上司だった40代後半、50~60代の上司がいきなり30代の若い管理職の部下になる、といったことがもうあちこちで起きましたし。
アッティ
やっぱり会社を辞められていく人も結構いらっしゃったんですか?
前田 大介さん
その制度によって辞めた人がやっぱり3割ぐらいいましたよね。
アッティ
会社全体の3割?
前田 大介さん
はい。ただ、普通の状態じゃなかったんで。
先ほど言ったように、大きな医薬品会社としてあってはいけない事件が起きて、それが会社の体質だということであれば、病院とえば即手術ですよね。そのような状況だったので、緩やかにやるっていう選択肢はなかったです。
アッティ
なるほど。やっぱりその中で、今特にその人事制度が始まって大きく変えてこられたことって、その他どういったことがあられるのですか?
前田 大介さん
あとは、しっかりした目標を立てるということですかね。目標設定がなかったんですよ、それまで。
アッティ
なるほど。
前田 大介さん
やっぱり具体的に5つか6つぐらいの、今の自分の能力とか実力よりちょっと高い目標を立てて、そこに何とかキャッチアップするようなリーディングを、評価および教育も含めた仕組みを変えていったってことですかね。
アッティ
実際、今はどうなっていますか?皆さんのマインドというか。
前田 大介さん
8年前から比べれば劇的に成長してると思っていますし、雰囲気も明るいと思うんですよね。
ただ、8年も経つと世の中、外的な要因も変わっていますので、また今は新たな資質のリーダーであったり、新しい資質の社員が求められている、そういう時代に入ってきたなと思っています。
答えから言うと、思い切った人事制度改革をまたしなきゃいけないなと思っています。
現在の企業風土と今後の課題
これらの改革により、社員の意識と企業風土は劇的に改善。
しかし新たな人材が求められる時代の変化に対応するため、報酬体系や雇用形態の改定が課題です。
アッティ
そうなんですね。それは何となくちょっとお聞きできるか分かりませんけど、どのように次は変えていこうというふうに思われてるのですか?
前田 大介さん
やっぱり専門的な知識とか技術を持った人が代表取締役社長よりも高い報酬をもらって、複数の企業を股にかけながらやるっていう、やっぱりエンジニアであったり、マーケターであったり、ブランディングできる人って出てきますので、雇用の形態含め、報酬の体系を含め、もっともっとダイバーシティ全部と言いましょうかね。
今までの流れのトップがいて、そこから報酬制度がブレイクダウンしていくような、そういった硬直化した体制はもう無理だなと思ってますね。
アッティ
なるほど、ありがとうございます。
第二創業:スキンケア・リゾート開発への進出
第二創業の概要
前田大介さんは、医薬品事業に加えて第二の創業としてスキンケア事業や複合リゾート施設の開発などに取り組み中。これらの事業は、医薬品技術を応用したものや、人々の心身の健康に関連するものが多いです。
事業の背景には、単に新規事業を立ち上げるということだけでなく、社会課題の解決といった高い志があります。
アッティ
第二創業ということをテーマに置きながら進めていらっしゃると思うんですが、例えばスキンケアの話であったりとか、また長期滞在型複合施設開発であったりとか、本業と絡んでいるので本業と呼んだ方がいいのかもしれませんが、そのような活動もされておりますので、それについてお話をいただけますか?
前田 大介さん
はい、ありがとうございます。
第二創業、とか最近でうと “跡継ぎベンチャー” みたいな言葉が出てくると思うんですけど。やっぱり僕はまずベースに、自分で言うのもおかしいですけどベンチャースピリッツに溢れた人間だなと思ってますし、誰かの真似とか、誰かが引き継いだものをそのまま横流しするっていうのが、極めて嫌いな人間なので、これは性かなと思ってますけれども。
ただ、縁あってと言いましょうか、製薬会社に入って跡を継いでという中で「僕の血の繋がった義理のおじいさんが作った会社をどう守るか」というマインドにどんどん変わってきました。
大事件も含めながら、その中で、製薬会社、製薬業界、日本の医薬品業界の課題というものが、どんどん、どんどん見えてきて、これを解決しにいけるコンテンツを作れば、それはある種、第二創業といいましょうか、ベンチャースピリッツを持ってやれる大きな、なんていうか意義があるなということのたまたまのアウトプットが、医薬品事業以外。
ただし、それこそ僕が経営の勉強でやってた盛和塾の稲森さんの言う「飛び石を打たない」、いきなり飛行機を作り出したとか、そういうことではなく、最初はまず塗り薬の技術を生かして、スキンケアの化粧品、治療ではなくてケアをする、肌に塗る、貼る技術を生かした化粧品を作ろう。
でも作っても、やっぱりエクスペリエンスが大事だ。体験が大事だ、共感が大事だと。その共感・体験をどう作るかということで、そういったプラットフォームを作ろう。その一つが立山の麓に作りました “ヘルジアンウッド” という美容と健康をテーマにした、ある種「村作り」と言ってますけど複合施設と。
あれを大きなプラットフォームにして、今まで相手にしていたお客さんとはまた違う層を狙っていこうということで、まず一つの大きな第二創業のプラットフォームを作ったということでしょうかね。
アッティ
なるほど。製薬業からその化粧品にいくという、その流れは何となく分かる気がするんですけれども。
前田 大介さん
そうですよね、全国にもありますよね。
事業の関連性
新規事業は、医薬品事業と直接的な関連性があります。例えば、スキンケア事業は医薬品の成分や技術を応用。
複合リゾート施設も、心身の健康と地域コミュニティの再生をテーマにしていて、医薬品会社の哲学を反映したものです。事業の多様化は、医薬品業界以外の人々との交流拡大にもつながっています。
アッティ
化粧品から 「村作り」 にいくという感覚。「ヘルジアンウッド」という名前がついてますので、もちろん 「Health」 に関することなんでしょうけれども、そこから 「村作り」 にいくというのは何か、飛び石のような感じが雰囲気としてあるんですけども、そのへんはどんな感じなんですかね?
前田 大介さん
これ、よくよく考えていくと、皆さん「そうだ、そうだ」と思う言葉とか事象ってあるんですね。
何かというと、「病は気から」ってありますよね。実は皮膚疾患、できものができたり、ニキビができたり、皮膚炎になったり、というこの辺って実は気持ちからきてる部分といいましょうか、ストレスから肌に出るということは往々にしてあるんですよね。
その気持ちって何かというと、地域の結びつきとか、助けてほしいときに助けてもらえるとか、相談したいときに相談し合えるとか、その距離感に人がいるかどうかとか、コミュニティがあるかってすごく大事なんですが、やっぱり日本は豊かになり、核家族化が進み、すごく合理化されたけど分断されたり、助け合いみたいなことも含めて、それがなくなった結果、そういった気持ちの中で生きてる人が病気になってると。
この「体・心・地域」の健やかさ。健康って三位一体で、切っても切れないチェーンだと、こういったときに根本の、やっぱり植物は土が良いといいふうに育ちますけど、やっぱり人間が育つ気持ちと身体が健康になる土壌、つまりそれは社会であると。これをそもそも健康にしないとダメだと。
それを製薬会社が医薬品を作ってきた感覚値というかフィロソフィーで、新しい価値を、バリューを、世の中に生み出すんだというときには、”場” を作るしかない、ということで、結果アウトプットとしてはヘルジアンウッドとなったという感じですかね。
アッティ
なるほど。確かにアッティもアトピー性皮膚炎であったということもあるだけでなく、やっぱり普段の生活をしていると、会社でも家庭でもストレスが溜まったときに頭をボリボリと掻いたりとか、体をちょっと掻いたりすることがあったりするんですよね。
それってやっぱり、あきらかに病気というよりは気持ちのストレスですよね。そして、じゃあそれがどうやって治るのですかっていうと、「塗ればいい」ではないような気がちょっとするので、確かにおっしゃる通りそういうリフレッシュの部分だけでなく、薬草も含めてでしょうけども、そういう全く違う観点での治療が入るというのは、納得できるような感じはしますよね。
もうそれ以外にも、例えば様々な事業をされてるじゃないですか。例えば教育関連のことであったりとか、学生さんとの連携をする事業とかをやられたりもしていると思うのですが、そういったものも何か繋がりがあるものなのですか?
前田 大介さん
あれはね、一つでも完全飛び石だと思ってるんです。
アッティ
それは飛び石なんですね。
前田 大介さん
単なる飛び石ではないというか、僕、この2年間から3年間で、その前の3年間の名刺、どの業種の方と名刺交換をしたかって数えてみたんですけど、1年間に大体1万枚から1万5000枚の名刺を交換するのですが、ヘルジアンウッドをやる前は大体9割が製薬会社関連でした。
アッティ
なるほど。
前田 大介さん
ヘルジアンウッドをやりだしてから9割5部が非製薬会社の人たち。そして、お付き合いする人たちが変わってきたときに、見る産業とか市場とかが変わってきて、その中で結果「教育関連のが出てきたかな」とは思いますね。
今後の事業展開
今後は教育事業への参入も検討。理由は、義務教育の限界を克服し、社会の変化に対応できる人材育成が必要だと考えているためです。
具体的には、リカレント教育や多様性を重視した幼少期の教育などが挙げられます。こうした教育事業は、医薬品事業とは異なる新たな可能性があります。
アッティ
具体的にどういうことを進められようとしてるんですか?
前田 大介さん
リカレント教育と最近いわれている学び直し。
大人が40~50過ぎてずっとこれ1本でやってきて、会社や事業が衰退したときに、「私、これしかできません」っていう大人とか。もしくは義務教育の中で、大学進学というか、良い大学に入ること至上主義すぎて、結局自分のやりたいこととか、大義とか、使命感みたいなものがないまま大学に行っちゃってる子が多いとすれば、やっぱりもっと幼少教育の多様性を深めるとかですね。
これからグローバルの時代に入っていくときに、そういった文化とか宗教も含めたところの寛容性を上げる教育とかですね。こういったものが、義務教育は悪くないんですけど「ちょっといくつか穴がある」というふうには考えてますね。そこを埋めにいきたいと思っています。
アッティ
なるほど。
行動の原動力&オススメ店&リクエスト曲
前田さんのアグレッシブさの源泉
前田大介さんのアグレッシブな行動の原動力は、英数塾を営み、生徒を招いておもてなしをしていた両親から受け継いだ「人を喜ばせたい」というDNAです。
アッティ
今回は、前田さん自身について少しお話を聞いていければなと思っております。
本業の改革もそうですし、それに関係してくる第二創業を含めて、非常にアグレッシブにいろいろな活動をされてるんですけれども、そのアグレッシブさを持つパッションというのは、どういったところから来てるものなのでしょうか?
前田 大介さん
そうですね。これ多分、遺伝なのかもしれないですけど、父母はもともと英数塾の先生で、小学校から中学生まで大体150から200人ぐらいの生徒を抱えていて、時々ホームパーティーを開いたり、合格パーティーを開いたりみたいな感じでとにかく人を呼んで、ご家族を呼んで、おもてなしをするというのを一生懸命やっていたのですよね。
世話を焼くのが好きな両親だったので、人を喜ばせたいとか盛り上げたいみたいな、そういった家庭の中で育った一つの遺伝子が組み込まれていて血が流れてるのかなって、最近は完全にそういうふうに思うようになってきましたけどね。
アッティ
なるほど、親に感謝ですね。
前田 大介さん
そうですね、本当にそうですね。はい。
アッティ
お父さん、お母さんもそんな感じなのですか?
前田 大介さん
でしたね。本当に特に母がそうですね。
アッティ
家の中は、もちろん大騒ぎの感じで?
前田 大介さん
でした、でした、はい。
毎日、自分の友達や生徒さんで溢れかえってた、っていう状況ですから。
アッティ
じゃあ今の前田家というか、お子さんも含めてなんですけど、やっぱりそういった遺伝子というのはどんどん繋がってるんですか?
前田 大介さん
どうなんでしょうね。まだちょっと見えてこないですけど。
ただ時々家にぽっといると、何十人の子どもたちが確かに遊んでいて「懐かしいな」と思う瞬間もあるので。娘3人ですけど、「彼女らなりに何かやってるのかな」みたいな。特段、こうしろああしろは言っていないですけどね。
アッティ
やっぱり、そこは遺伝子ですね。
前田 大介さん
かもしれないですね。
アッティ
なるほど。分かりました、ありがとうございます。
その遺伝子がいつか育ちながら、第二の前田大介ができるというのは、またそれはそれで楽しみですよね。
前田 大介さん
心配ですけどね (笑)
富山県内で大好きな飲食店
アッティ
世の中はコロナの問題で、本当にいろいろなところが大変な思いをされているところであるんですけれども、特に飲食業界は大変なところもあるので、ゲストの方に「特にここが好きなんだ」というところをご紹介いただきたいなと思ってるんですけれども。
前田 大介さん
立山町にあります 酉宴 (とりえん)さんという焼き鳥屋さんですね。大好きです。
アッティ
なるほど。そこはどういう特色があるんですか?
前田 大介さん
本当に富山県でここまで美味しい焼き鳥と、炭火ですごくいい火入れをされる大将がいらっしゃって、会話も軽快で肩ひじ張らず、気の置けない仲間とドンチャン楽しくやれる。マスターもそこにも乗ってきてくれる。
心がとにかく軽くなって、気持ち良くなって、楽しくなって、盛り上がって「明日からまた頑張ろう」って、本当に思えるような焼き鳥屋さんですね。
アッティ
それは良さそうですね。ぜひともお邪魔したいなと。
前田 大介さん
ぜひ行きましょう!
アッティ
行きましょう、行きましょう!はい。それではですねこの最後の週ということもありますので、前田大介さんを知るためにですね、前田大介さんの大好きなリクエストの曲をですね、ご紹介をいただきたいと思います。
リクエスト曲
アッティ
前田大介さんを知るために、前田大介さんの大好きなリクエストの曲をご紹介をいただきたいと思います。
前田 大介さん
はい。もう大好きなミュージシャンですけれども、桑田佳祐さんで「スマイル晴れ渡る空のように」。
アッティ
前田さんは、なぜこの曲を選ばれたんですか?
前田 大介さん
とにかくもう、小学校のときから桑田佳祐さんが大好きで、大ファンで、サザンオールスターズのファンクラブに入ってるんですけれども。
もうすぐ70を迎えられようとしていて、今なお第一線で常にヒット曲や新曲を出していくあのエネルギーと、パッションと。そこに対して、ファンに対するすごく温かな優しさの、もう本当に愛に満ち溢れた何か心づかいみたいなこと。
やっぱりこういう大人、おじいちゃんになりたいなと、ずっと追っかけています。
アッティ
なるほど。
前田 大介さん
はい。毎日車で聞いてます (笑)
アッティ
気落ちしたときも、元気な時も。
前田 大介さん
反省するときとか。
アッティ
反省するときも?いいですね。
なるほどわかりました、ありがとうございます。
それでは最後の最後になりますけれども、前田さん自身の人生でもいいですし、経営でも何でも構いませんが、こだわりをお聞かせいただけますか?
前田 大介さん
はい。これも桑田さんの歌詞からですけど、「真面目に好きなようにやんな」というこの言葉が大好きで、「こういうふうに生きていきたいな」と思っています。
アッティ
「真面目に好きなようにやんな」と。いいですね、確かに真面目にやってらっしゃいますか。
前田 大介さん
おそらく。人からどう映っているかは分からないですけど。
アッティ
そうですね。好きなようにやってらっしゃる雰囲気は、何となく今回醸し出されていましたけれども。
でもお話を聞いてる限り、本当にしっかりと組み立てもしながら、人に対する接し方も全て真面目に取り組まれている感じがいたしますので、まさに「そのこだわりに沿った前田大介さんであったな」と思っております。
それではお風呂の中でのぼせてきましたので、そろそろあがらさせていただきます。今回のゲストは、前田薬品工業代表取締役社長前田大介さんでした。ありがとうございました。
前田 大介さん
どうもありがとうございました。
アッティ
この番組のこれまでの放送は、ポッドキャストで聞くことができます。FMとやまのホームページにアクセスをしてみてください。
お風呂の中でのぼせてまいりましたので、そろそろあがらせていただきます。アッティでした。