こんにちは、アッティです。
「アッティの熱湯とやま人」は、富山のために熱い気持ちを持って頑張る人の本音に迫る番組!
今回のゲストは、株式会社アイペック 代表取締役社長の東出 悦子 (ひがしで えつこ) さんです。※2023年3月現在
席を固定しないフリーアドレス、ペーパーレス、スマートムーブなど、働き方改革やDXを推進している、東出さんに熱く迫っていきます!
この記事は、FMとやま 金曜17:15~17:25放送のラジオ「アッティの熱湯とやま人」の編集前データを、ほぼノーカットでまとめたものです。
放送では流れなかった裏話も含め、お楽しみください。
海外留学などの様々な経験
幼少期から学生時代
東出悦子さんは、幼少期はとてもおとなしく、高身長にコンプレックスを感じていました。
現在の身長は170cmで、メディアにも登場するようになりましたが、内向的な性格は変わらず、発信活動は「頑張って」しています。
アッティ
東出さん、どうぞよろしくお願いします。
東出悦子さん
よろしくお願いいたします。
アッティ
12人目のゲストになるんですが、実は女性の方は能作千春さんに続いて2人目になります。
こういうラジオに出られる機会ってよくあります?
東出悦子さん
ないです、ないです。
アッティ
そうですか? 最近雑誌とか、いろんなところでお見かけする機会があるなと思いましたが。
東出悦子さん
最近ちょこちょことお声がけをいただきまして、出させていただいております。
アッティ
今回は全4回にわたることになりますので、少しずつ東出さんを掘り下げていきたいと思っております。
「東出さん」とお呼びする形でよろしいでしょうかね?
東出悦子さん
はい。
アッティ
まずは東出さんの幼少期を含めて、大人になるまでのことをお聞きしたいなと思ってるんですが、昔はどんな感じのお子さんだったんですか?
東出悦子さん
小学校低学年ぐらいのときは、本当におとなしくて、ほとんど喋ることがなく「いるのかいないのかわからない」って言われるぐらい、おとなしかったです。
そして保育園のときから、すごく身長が高くてですね。
アッティ
今おいくつあるんですか?
東出悦子さん
今は170cmあるんですけど。
アッティ
高いですよね。
東出悦子さん
小学校6年生ぐらいのときに、163cmぐらいあったんですよ。
アッティ
大きい!
東出悦子さん
保育園のときから、他の子どもよりも頭1個大きくて。
アッティ
そうでしょうね。
東出悦子さん
それがすごい恥ずかしくて、コンプレックスで。
とにかく大きくて恥ずかしい、ごめんなさいみたいな (笑)
アッティ
(笑) 160いくつもあると、男女含めて一番大きかったんじゃないですか?
東出悦子さん
大きいですね。
アッティ
そうですよね、確かに目立ちますよね。
東出悦子さん
子どもの頃は、女の子の方が体格が良かったりするじゃないですか?
アッティ
最初のうちはね。
東出悦子さん
本当に何か場違いというか。
アッティ
なるほどなるほど。
東出悦子さん
そんな感じで、なんか居心地が悪いっていう感じですね。
アッティ
身長が高く、目立つけれども、でもおとなしいみたいな?
東出悦子さん
「男の子よりも大きい」っていうのが、すごい恥ずかしい気持ちがあったのかもしれないですね。
アッティ
なるほどね。おとなしいと言いながらも、今こうやってラジオにも出られて、いろんな場面に出られて、どんどんどんどん発信される姿になってこられてますけどもね。
昔はそんな感じではなかったんですか?
東出悦子さん
今も決してそんな積極的な感じではなくてですね、本当にどちらかというと、内向的です。
一生懸命発信してるという。
アッティ
どちらかというと、無理しながら?
東出悦子さん
「頑張ってる」って感じですね。
アッティ
今日は肩の力を抜きながらで結構ですので。
イギリスへの留学
東出悦子さんは富山市外国語専門学校在学中、1年間ロンドンに留学しました。
きっかけはイギリスのロックバンドへの憧れ。留学費用は両親に頼み、帰国後は富山で就職する約束をしましたが、結局その約束は「すぐには」守られませんでした。
アッティ
まず、富山にはいつまでいらっしゃったんですか? 学生のときですか?
東出悦子さん
私は富山市外国語専門学校っていう、富山市立の専門学校があるんですけど、そちらに行ってました。
高校を卒業してそこに入って、2年制の学校なんですけど、その間の1年で英国に1年間留学をさせてもらってました。
アッティ
英国のどちらですか?
東出悦子さん
ロンドンです。
アッティ
ロンドンに1年間ですか?
東出悦子さん
1年間です。
アッティ
昔から英語というか海外への憧れというか、興味があったんですか?
東出悦子さん
高校生のときに、とにかくイギリスのロックバンドが大好きで。
アッティ
そこですね。なるほど、きっかけはそのロックバンドだったんですね。
東出悦子さん
「聖地に行きたい!」みたいな感じで。
アッティ
その1年間も、もちろん英語も学びたいし、いろんな人と出会いたいけど、もう「ロックバンド!」みたいな感じですか?
東出悦子さん
そうですね。
アッティ
ロンドンに行かれて、何回か聞きに行かれたりしたんですか?
東出悦子さん
何回も行きました。
アッティ
目的が明確でいいですね。
そうやってロンドンに1年いらっしゃって、それをきっかけに海外への広がりはあったんですか?
東出悦子さん
ロンドンに1年間留学すると、お金がかかるじゃないですか?
アッティ
そうですよね。
東出悦子さん
それを両親にお願いして「その代わり戻ってきたら富山で就職するよ」っていう、一応そういう約束があって行かせていただいたっていうのが本当なんですけど。
アッティ
でも、そうはならなかったわけですね?
東出悦子さん
そうはならなかったんですよね~。
アッティ
そうですよね、なんとなくならないってわかります。ロンドン行っちゃうわけですからね。
「そこから富山へ一発で戻ります」っていうのは、なかなか難しいかもしれないですよね。
アメリカへの留学
東出悦子さんは富山の専門学校卒業後、アメリカの短期大学を経てボストンの大学に編入。卒業後、ニューヨークの会計事務所で働き、公認会計士の資格を取得し、30歳で日本への帰国を決意します。
アメリカでの経験は、身長コンプレックスの解消や多様性の理解につながり、現在の経営観にも影響を与えています。
アッティ
イギリス留学を経て、その後どちらの方に行かれたんですか?
東出悦子さん
外国語専門学校とお付き合いがあった、カリフォルニアのシリコンバレーにある短期大学に行ったんですね。
アッティ
アメリカに行かれたんですね。そこでは何されてたんですか?
東出悦子さん
そこでは学生で。
アッティ
それは留学という形で?
東出悦子さん
そうですね、留学として。
アッティ
なるほどなるほど、大学とかも行かれてるんですか?
東出悦子さん
そうですね、大学に行って。
アッティ
ロンドンに1年行って、そこからアメリカに渡ったと。
それで富山に戻ってこられたわけじゃないですよね?
東出悦子さん
「さらに勉強したいな」と思いまして、西海岸から東海岸の方に引っ越しをしまして。
アッティ
どちらですか?
東出悦子さん
ボストンの大学に編入した形になります。
学生がアメリカで大学を卒業したら、アメリカで働けるビザをいただけるんですね。
アッティ
なるほど、働けるようになると。
東出悦子さん
そうなんですよ、卒業生は。
なかなか取れないんですよね、アメリカのビザって。
アッティ
だと思いますね。
東出悦子さん
「せっかくなので」っていうことで、そのままニューヨークの会計事務所で仕事をしたんです。
アッティ
それも会計事務所で?
東出悦子さん
そうです。公認会計士の資格を取りまして。
アッティ
すごいですね、それは。
東出悦子さん
頑張ってましたね、その頃は。
アッティ
ニューヨークでロックばかりを見てたわけではなく (笑)
東出悦子さん
(笑) そうですね、見てましたけど。
アッティ
やはり見ていらっしゃいますよね (笑)
そうしながらも「ビジネス的なことを学んでおこうかな」みたいなことはあったんですか?
東出悦子さん
やはり会計っていうのは、「どこで仕事をするにしても、すごい基本的な大切なことだな」と思って。
「そこを学んでおけば、将来役に立つんじゃないかな」という思惑がありました。
アッティ
でもそれで、ちゃんとアメリカの公認会計士を取れるっていうのがすごいですよね。相当学ばれたんじゃないですか?
東出悦子さん
アメリカって、公認会計士や弁護士は間口が広くてですね。
アッティ
そうなんですか?
東出悦子さん
日本は間口が結構狭くて、取ったらもう「一生物」って感じなんですけど。
アッティ
そうですよね。
東出悦子さん
アメリカは割と取りやすくて、「取ってから勝負」っていう、そういう世界なんですね。
なので、わりと取りやすいですよ。
アッティ
そういうものなんですね。
公認会計士を取られて、それでアメリカで仕事をされて、そこからはもう日本に戻られたんですか?
東出悦子さん
その後30歳になって「どうしようか」っていうときに、ちょっとこのままアメリカで永住するのは辛い。
辛いというか、英語で生活するのって結構プレッシャー。
アッティ
そうなんですか?
東出悦子さん
「なんかそこまで英語にのめり込まなかった」っていうか、当時は独身でしたし、どうしようと思ったときに「やっぱり温泉のある日本に帰りたいな」と思って。
アッティ
それが温泉だったんですね、なるほど。
でもアメリカで学ばれたというか、行ってよかったなっていう点はどういったとこにありましたか?
東出悦子さん
先ほど申しましたけど、やはり私はこの「身長が高い」ってのが本当にコンプレックスで。
それがアメリカに行くと、全然大きくも小さくもなくてですね。
アッティ
アメリカの人は、上も横も大きいという感じがしますからね。
東出悦子さん
そうなんですよ。ずっと猫背で「ごめんなさい」っていう感じで生活してたんですけど、アメリカでは背筋伸ばして普通にしてていいんだっていう。
アッティ
誰からも「大きいね」なんて言われることもないし?
東出悦子さん
男性女性とか、そういうのも全然関係ないですし。むしろ日本人とか黒人とかメキシコ人とか、いろんな人がいて、世界がパーッと広くなって。
「私は、もうこのままでいいんだ」っていう開放感と自由みたいなのが、私にとってはすごく大きな変化でした。
アッティ
もしかすると、今、力を入れていらっしゃる「ダイバーシティ的な経営」っていうのも、そのときの経験が活きていらっしゃるんじゃないですか?
東出悦子さん
そうだと思います。
いろんな人を受け入れる環境っていうのが発想の広さにもなりますし、固定観念にとらわれない社風になるんじゃないかなと思って。
それが「これからの時代すごく大切だな」と思って意識してます。
世界一周と富山へ戻るきっかけ
東出悦子さんは40歳で富山に戻るまでに、東京で金融関係の仕事をし、通訳案内士の資格を取得。世界一周の船旅で30カ国を訪れ、各国のNPO活動に触れます。
それらの経験から自身の使命を考え、「故郷の富山で最大限に役立つ仕事をしたい」と決意しました。
アッティ
「ロンドンに行くときは、すぐ富山に戻る」って話だったところが、アメリカで仕事もされて、そろそろ富山に戻ってくる頃になるんだと思いますけれども。
東出悦子さん
東京でしばらく仕事をしてまして、実際に戻ってきたのが40歳なんです。
アッティ
そうですか。富山に戻られるっていうのは、どういうきっかけなんですか?
東出悦子さん
東京に戻って、そのあとに金融関係の仕事をさせていただいてたんです。「通訳になろうかな」と思って。
「日本の素晴らしさを海外の人に伝えたい」ってすごく思った時期がありまして、「通訳案内士」っていう資格を取ったんです。
アッティ
通訳案内士。
東出悦子さん
その資格を取って、いざ通訳の仕事をしようと思ったときに、実績がないとできなくて。
実績を作るために、世界1周の船旅の通訳のボランティアがあったので、それに乗ったんですよ。
アッティ
すごい行動力ですね。
全然おとなしくないですね (笑) 小学校のときと全然違うみたいな (笑)
東出悦子さん
仕事だったんですけど、南回りで世界1周の船旅っていうのに行かせていただいて。
いろんな寄港地を30カ国ぐらい回らせてもらったんですが、現地はほとんどが発展途上国っていわれてるところで、貧困の国なんですね。
そこでNPO団体を立ち上げて、その国々やまちの活性化であったり、子どもの教育であったり、文化の継承であったり、いろんな活動されてる方々と交流をしたんです。
アッティ
なるほどなるほど。
東出悦子さん
各国で本当に素敵な人たちと出会いまして、「生きること、自分の使命って何だろう、何のために私は生きてるんだろう?」っていうところに行き着きました。
アッティ
そこで改めて自分の存在意義がわかったと。
東出悦子さん
そうなんです。
日本に戻って「じゃあ私は何をしようか」と思ったときに、この生まれ故郷の富山で「私が最大限に役に立つような仕事に就きたい」って思って、40歳で帰ってきました。
アッティ
やっと富山に戻ってきてくれましたね!というところで、今回は東出さんが生まれて海外へ行って、そこから富山に戻ってくるまでのお話をいただきました。
次回は、実際に富山に戻ってこられて、アイペックに入ってからの活躍についてお聞きしていきたいと思っております。
アイペックと東出さん
アイペックへの入社
東出悦子さんは40歳で富山に戻り、すぐにアイペックに入社します。
父が起業した会社でしたが、東出さんが戻って入社することは全くの想定外。中小企業経営を通じて社会に貢献したいという想いで入社を決意し、父親を驚かせました。
アッティ
前回は、生い立ち、イギリス留学とアメリカ留学、そして富山に戻ってこられたところまでの話をお聞きしました。
富山には、40歳のときに戻られたんですよね?
東出悦子さん
はい。
アッティ
戻ってこられて、そこからすぐに会社に入られたんですか?
東出悦子さん
はい、すぐに入りました。
アッティ
それまで、これからご説明いただくアイペックさんと全く縁もない状況で、いきなり入られたわけですか?
東出悦子さん
まず私は富山に戻ってくる予定もなかったですし、私の父もですね、アイペックは父が起業した会社なんですけれども、まさか私が富山に戻ってきて「会社に入りたい」って言うなんて全く、たぶん100%思ってなかったです。
アッティ
お父さんから「ちょっと戻って来いよ」みたいな、そんな話は全くなかったんですか?
東出悦子さん
全くなかったですね。
アッティ
なるほど、じゃあいきなり富山に戻って「会社に入りたい」みたいな話になったわけですね。
東出悦子さん
そうです。中小企業の経営って、社会にとってとても大きな貢献になると思いますので「私の人生を役立てて、そこに携わる仕事をさせていただけないか」ということで相談したんですね。
アッティ
そのとき、お父さんの反応はどうだったんですか?
東出悦子さん
びっくりしていましたね。
アッティ
「本当に入るのか!?」みたいな?
東出悦子さん
たぶん長い間信じられなかったと思います。本当に全く想像してなかったはずなので。
アイペックの事業内容
アイペックは非破壊検査を行う会社です。建物や社会インフラ、車両部品などを壊さずに内部を検査し、安全性を確認。6種類の検査全てに対応できる点において、北陸・東海地方唯一です。
超音波、磁石、赤外線、X線など様々な技術を用いて検査を行い、顧客からの直接依頼や紹介で仕事を受けています。
アッティ
お父さんの会社、アイペックさんというのはどういうことをされてる会社なんですか?
東出悦子さん
株式会社アイペックは、「非破壊検査」という仕事をしています。
たぶん聞き慣れない言葉だと思うんですけれども。
アッティ
そうですね、うん。
東出悦子さん
非常口の「非」に「破壊」。「壊す」の「破壊」ですね。
検査で「非破壊」っていうことで、破壊しないで検査をする仕事なんですね。
アッティ
破壊をしないで検査をする。なるほどなるほど。
東出悦子さん
健康診断で、レントゲンの撮影とか超音波のエコー検査とかされると思うんですけれども、あれも壊さないで、人間の体をメスで切らないで検査しますよね?
それと同じような感じで、同じような機械を使って、建物とか、あと社会インフラ。橋梁とか、化学工場の設備とか、金属でできたものとか、コンクリートでできたものを壊さないで中を見る。そして安全を確かめる。そんな仕事なんです。
アッティ
こういうお仕事っていうのは、昔からあったものなんですかね?
東出悦子さん
昔というか、元々アメリカとかで発達したと思います。
やはり原子力発電所みたいな、ああいうミスがあってはいけないような設備の溶接部分とかの安全性を確かめるっていうところで、すごく活躍していた。そんな業界というか検査なんですね。
アッティ
失礼ながら、今まで想像したというか、気づいたことすらもなかった感じですけどもね。
これは、富山でも何社かあるものなんですか?
東出悦子さん
富山には4社ありますけれども、北陸3県全部合わせても、東海地方合わせても4社ですね。
「非破壊検査」っていうのはいろんな種類があるんです。健康診断もいろんな種類の検査をするじゃないですか?
アッティ
確かに確かに。
東出悦子さん
それと同じようにいろんな種類、今6種類なんですけれども、6種類の検査を全部対応できる検査会社っていうのは、東海と北陸合わせても弊社だけですね。
アッティ
6種類全てできるのが、アイペックさんだということですね。それがもう、富山というか北陸では1社しかないと?
東出悦子さん
そうですね。
アッティ
もうちょっと具体的にお聞きしたいんですけど、どういったものを非破壊で検査してるのか、1~2例ぐらいお話いただけますか?
東出悦子さん
皆さんのおなじみのところでいいますと、富山県内に電車あるじゃないですか? 例えばライトレールであったり、地方鉄道さん。あれの車輪の部分ですね。
アッティ
車輪。
東出悦子さん
車輪の部分、ステンレスみたいな金属でできてますよね? あそこが車軸っていって、車輪がぐるぐる回る軸があるんです。
その軸と車輪のところの接点、そこが溶接で繋がってるんですけれども、そこの中に小さい穴がないかとか、何か異物が入ってないかとか、そういうものを超音波のエコーで調べるんですね。
アッティ
壊すわけにもいかないし分解するわけにもいかないところを、そうやって見ることができるようになるんですね。
東出悦子さん
そこに例えば小さい空気とかがあったら、それが悪さをして、そこから亀裂が入ったりして危ないことになるので、そうなる前に予防して調べていくという、そんな事例もあります。
アッティ
それは、検査機だけを見ても相当な種類があるものなんですか?
東出悦子さん
例えば、磁石。磁石の原理を使った検査の種類もありますし、超音波を使った種類もありますし、赤外線を使った種類もありますし、あとエックス線ですよね。レントゲンを使った種類とか、様々な種類がありますね。
アッティ
これは、「非破壊検査」自体を理解されていて仕事をお願いされるお客さんもあれば、ふと「どうしてもこれ調べたいんだけど、どこで調べればいいんだろう?」とネットで調べたら「ここだ」みたいな雰囲気になるパターンもあるものなんですか?
東出悦子さん
ありますね。そういう場合は、大抵お知り合いの方に相談されて「どこどこの方から紹介されて」っていうような形で、引き合いがあることも結構たくさんありますね。
アイペックの創業ストーリー
アイペックは48年前、東出さんの父が1人で起業した会社です。
当時、水力発電所の水圧鉄管の溶接検査が必要でしたが、富山にはその技術がなく、大阪から業者が来ていました。そこで父が独学でレントゲン技術を学び、資格を取得。機械を購入して水圧鉄管の検査を始めたのが会社の始まりです。
アッティ
アイペックさんは、一番最初からそういうお仕事だったんですか?
東出悦子さん
元々は、私の父が48年前に1人で起業した会社なんです。
当時、水力発電所がどんどんできていて、水力発電所って「水圧鉄管」っていって、山沿いに水を流す大きい鉄管があるんです。それをどんどん作っていかなきゃいけない、っていう時期だったそうなんですね。
そのときに、すごく大きい水圧鉄管を現場で溶接しなければいけなくて。溶接をし終わったときに、きちんと溶接できているかを、よく健康診断で使うようなレントゲン撮影と同じような機械を使って、中を見ていくんですね。
中に空気が入ってないかとかをチェックして、安全性を保つ。その業者さんが毎回大阪から来てらっしゃったんです。
アッティ
わざわざですか?
東出悦子さん
「富山にレントゲン撮影をする会社がない」ということで。
当時は高速道路もなく、ものすごい時間をかけて大きい機材を持って来られて、フィルムを使って現像もしなきゃいけないんですよ。
私の父は、いつもその作業に携わって見てたらしいんですね。「富山にこのレントゲンができる会社があれば、需要があるんじゃないか」っていうところで、独学でそのレントゲンの勉強をして資格を取って、機械を買って、その水圧鉄管のレントゲンを何人かでやり始めたっていうのが始まりです。
アッティ
本当に富山第1号ですね。すごいですね、なるほど。
女性社長としての想い
東出悦子さんは入社12年目で、7年前にアイペックの社長に就任しました。
技術や現場の知識不足にコンプレックスを感じつつも、女性だからという不都合はあまり感じていません。創業者の娘として突然上司になった際の戸惑いはあったものの、「会社のみんなを幸せにしたい」という強い想いで乗り越えてきました。
アッティ
東出さん自身がアイペックさんに入られて、いろんな経験をされて、社長になられたのはいつ頃ですか?
東出悦子さん
7年前です。
アッティ
7年前ですか、入社されて何年ぐらいのときですか?
東出悦子さん
入社してからは12年ですね。
アッティ
入社12年目で、7年前に社長になられて。
ダイバーシティの時代でこれを言うのはどうかと思いますが、富山って「女性の活躍の場をどんどん設けなきゃ」みたいなことを言いながらも、女性社長や女性の管理職はなかなかいらっしゃらないと思うんですけれども。
実際女性として社長になってみられて、何かみんなから注目されていたり、不都合があったり、いろんな場面があると思いますけど、どうですか?
東出悦子さん
特に女性だからっていうことは、実を言うとあんまり思わないです。
ただ私は会社で畑違いなので、技術のことがわからないですし、現場のこともわからないので、そのへんのコンプレックスがあります。
「わからない者が何言ってんだ」みたいな感じにやっぱりどうしてもなってしまうので、自信を持って「こうじゃないか、ああじゃないか」ってことが言えないジレンマみたいなのは、今でも感じますし、入社当初からずっとそれはありますね。
アッティ
結構男性社会でいらっしゃるんですか?
東出悦子さん
男性がほとんどですね。
アッティ
でも7年経たれていますから、周りの方々もだいぶ変わってこられてると思いますが、最初の頃って、お互いにやりづらかったとかはないものなんですか?
東出悦子さん
あると思います。創業者の娘が、いきなり40歳の上司としてシングルで入ってきて (笑)
アッティ
なるほどなるほど (笑)
東出悦子さん
「何しに来たのか」みたいな (笑)
アッティ
「社長自身がびっくりしてる」みたいなところからスタートですからね。
東出悦子さん
「何の知識もないのに何をするんだ」みたいな感じで。
アッティ
なるほど。
東出悦子さん
私は「愛」しかない、「よくわからないけど皆さん大事」みたいな。
アッティ
なるほど。
東出悦子さん
何かとんちんかんなことを何回もやって。
もうなんか本当に恥ずかしいことをね、今から思えば、今でもやってますけど、たくさんやりましたね。
アッティ
でも入社されたときもそうでしたし、社長になられたときもそうですけど、周りが男性ばかりで「何者が来たんだ」みたいな雰囲気のときっていうのは、最初はどんな対応の仕方をされたんですか?
東出悦子さん
やっぱり落ち込みますよね。なんかショックですし、寂しいですし「あー…」って思いますけど。
でもそれに勝るものがあって。やはり「会社のみんなを幸せにしたい」っていう、そこしかないですから。
アッティ
素晴らしい!
東出悦子さん
「なぜ会社に入ったか」っていうと、私がこれまで何年間も学校や海外にまで行かせてもらった、それって全部、元々社名変更する前は「富山検査」っていう名前だったんですけど、「富山検査」で私の父が一生懸命仕事をしてくれたことと、「富山検査」で仕事をしてくださった社員の皆様のおかげなので。
本当にそれを「お返ししたい」というか、「今ここでやらないと、いつやる?」みたいな。
アッティ
素晴らしいですね。わかりました、ありがとうございます。
今回はアイペックさんのご紹介、そしてまた東出さんが富山に帰ってこられて、社長になられてということについて、お話をいただきました。
次回は「みんなをどのように幸せにされているのか?」そんなことについてお話を聞いていきたいなと思っております。
アイペックの働きやすさ
フリーアドレス制度の導入
アイペックは「百年の大計 人と公」を経営理念とし、社員の可能性を信じ、やりがいを持って働ける環境づくりに力を入れています。
テレワークの推進、現場での待ち時間の有効活用、介護や子育てに配慮した柔軟な働き方、生産性向上とチーム力強化を図るため、3年前の社屋移転統合を機に、全70名の社員をワンフロアのフリーアドレス制にしました。
アッティ
前回は、アイペックさんの非破壊検査という仕事について、そして女性の経営者としての話についてお聞きしました。今回は、アイペックさんの働き方改革とか、DX推進などについて少しお話をいただきたいなと思っています。
「会社のみんなを幸せにしたい」ということで、東出さん自身が特に力を入れてやってらっしゃることについてお話をいただけますでしょうか?
東出悦子さん
弊社の経営理念は「百年の大計 人と公」。持続可能な経営、そして人の成長が会社の成長になって、会社の成長が社会の発展に繋がるという、ベーシックな軸があるんですね。
そこで「そのためには何をするべきかな」と考えたときに、社員1人1人の可能性を信じて、やりがいを持って、健康で、お客様が感動するような仕事をみんなで力を合わせてやっていく、っていうことがまず大切かなと思っているんです。
具体的な行動として何をしようかって思ったときに「付加価値を上げる」「生産性を向上させる」「チーム力の強化」、これが社内的にやりたいことだったんですね。それで、弊社はちょうど3年前 (2019年12月9日) に社屋を移転統合したんです。
アッティ
そうなんですね。
東出悦子さん
元々は2つの社屋に分かれていまして、お互いに3階建てで、5つの部署ごとにフロアが分かれていたんです。
アッティ
別だったんですね。
東出悦子さん
建屋も違うし、フロアも別だったと。
アッティ
なるほど。
東出悦子さん
そこでやっぱりいろんな課題があったんですね。特にコミュニケーションの課題であったり、生産性の課題であったり。
アッティ
そうですよね、別々ですもんね。
東出悦子さん
全員で70名社員がいるんですけれども、移転統合したときにワンフロアにしました。
「生産性を上げるためには、テレワークができる環境作りが必須だね」って。
アッティ
テレワークね、そうですよね。
東出悦子さん
弊社の仕事は現場に行く仕事なんですね。
アッティ
そうですよね。
東出悦子さん
いろんな工場さんであったり、発電所さんに行かせていただいてるんですけれども、行った先で待ち時間みたいなのが結構あるわけですよ。
アッティ
相手の都合に合わせなきゃいけないですからね。自己調整は難しいですよね。
東出悦子さん
ほかにも山とか遠方に行くことが多く、ちょっと帰ってくるわけにもいかないので、やはりそこで待つんですね。
その間に仕事ができるっていうことが、アイペックの生産性の大きな向上に繋がると思いました。
アッティ
隙間時間を利用するということですよね?
東出悦子さん
はい。プラス、家で仕事ができるようになる。
家で仕事ができるっていうことは、介護であったり子育てであったり、いろんなところでも役立ちますし、柔軟性の高い働き方ができる。
そのためにどうするかっていうと、フリーアドレスなんですよ。
アッティ
なるほど、フリーアドレスになるわけですね。
ちょうど社屋も新しく建てられて、70名みんなが一緒のところにいると。
東出悦子さん
そうです。
アッティ
70名全員がフリーアドレスになったんですか?
東出悦子さん
全員です。
アッティ
大変ですね、それは。
東出悦子さん
でも、やるなら全員っていうことで、全員。パートさんも全員フリーアドレスになっています。
フリーアドレス制度の効果
アイペックは全社員対象のフリーアドレス制を導入し、コミュニケーションの質と量が向上しました。部署間の交流が増え、業務の幅が広がり、助け合いの精神も育っています。
社長も含め全員が毎日異なる席に座り、専用バッグを使用し、書類は最小限に抑え、デジタル化を推進。整理整頓と清潔さも向上し、社員からも好評を得ています。
東出悦子さん
フリーアドレスは、テレワークなどができるっていう良さもあるんですけれども、その他にも良さがあるんです。
現場には3人とか6人とかチームで行って、戻ってきた後にちょっと打ち合わせしたり、いろんなレポートや報告書を作ったりするんですけど、その都度その都度、その同じ現場に行った人と隣同士に座れるんですね。
アッティ
なるほど。
東出悦子さん
隣同士でコミュニケーションがすごく簡単にできますし、上司や先輩が後輩と隣だったらすぐ教えられる、後輩もすぐ教えてもらえるというメリットもあります。
アッティ
なるほどなるほど。
東出悦子さん
弊社は、コンクリート調査の部分と、金属検査の部分と、大きく分けて2つに部署がわかれているんです。
でもこの2つって、分かれているんだけれども密接に関わってるんですよね。
アッティ
全く別の仕事をしてるわけじゃないんですね?
東出悦子さん
そうなんですよ。建物はコンクリートの部分もありますし、金属のところもあります。なので、いろんな人と交流をすることによって、幅が広がるんですね。
隣で金属の仕事をしてる人がいる、こっちでコンクリートの仕事をしてる人もいる、右側には総務の仕事をしてる人がいる、その向こうにはIoTの仕事をしてる人がいる。
いろんな人と交わることによって、やっぱり隣だとちょっと話をするんですよね。
アッティ
そうですよね。
東出悦子さん
だから「こんなことをしてるんだ」ってコミュニケーションが生まれて、付加価値が高い仕事に繋がるということです。
アッティ
実際に今、フリーアドレスをやってこられて、コミュニケーションの質や量って相当高まったものですか?
東出悦子さん
かなり変わりましたね。
アッティ
社員の方々の声はどうですか?
東出悦子さん
「すごく良くなった」って言ってくれる人が多いですね。安全安心に仕事ができる環境になっていて、それがすごく大きいと思います。
以前だとフロアがわかれていたので、その部署その部署の特徴などがあって、何となく孤立しているようなところがあったんですけれども。
アッティ
「俺のチーム」みたいなことが強すぎたんでしょうね。
東出悦子さん
全部見渡せるので、何となく「この人、今、仕事を抱えてるな」とか、「この人、今、ちょっと手が空いてるな」とか、丸見えなんですね。
アッティ
そうですよね。
東出悦子さん
各部署「朝会」っていうのもやって、「誰がたくさん仕事を抱えてるから、ちょっと手伝うよ」って何となく声をかけたり。
アッティ
助け合いの心も芽生えるということですね。
東出悦子さん
みんなが見えるので、「あの人が助けてる」とか「あの人が助けられてる」とかいうのも何となくわかるんですよね。
アッティ
社長もフリーアドレスなんですか?
東出悦子さん
そうです。
アッティ
社長はどうなんですか? フリーアドレスで、いろんなところに交じり合っていくんですか?
東出悦子さん
私はいろんなとこへ行きますけど、基本的に朝は結構早く行って自分の席を決めて、毎日違うところに座ってるんです。
でも、目の前に座った人が「あれ? さっきいたのにいなくなっちゃった」とか (笑)
アッティ
なるほど (笑)
東出悦子さん
「まぁ、嫌なのね」って (笑)
アッティ
社長を避ける人も出始めるという。それはあるかもしれないですけどね (笑)
東出悦子さん
「あれ? さっき隣にいたのに、トイレから戻ってきたらいなくなってた(笑)」ということもあります。
でも隣に座ってくれる人もいますし、近くの人はちょっと何となく話をしたり、「最近どう?」って声かけたりすることも多いですね。
アッティ
フリーアドレスだと、例えば使う物、パソコンであるとか、タブレットであるとか、文房具であるとか。そういったものって、どこかの棚にあるのを自分で持ってきて、いろんな場所で仕事するってイメージですか?
東出悦子さん
はい、そうです。1人1人専用のバッグを貸与してまして。
アッティ
専用バッグですね、なるほど。
東出悦子さん
パソコンとか、ちょっとした筆記用具や書類とかを入れるようになってます。
それを全員持ってるんですけど、帰るときに自分のロッカーにパソコンといろいろな物を入れて、朝会社に来たら、そこからそのバックを持って、ウロウロして「今日どこに座ろうかな」って決めるっていう感じです。
アッティ
整理整頓、清潔の質もすごい上がりそうですよね。
余計な書類とか、そんなものを机の奥に入れておくとか、そういうことができないわけですもんね。
東出悦子さん
全てがデータベース化してるか、ゴミ箱に破棄するか、共有の場所に紙として置いてあるか。その3択しかないです。
アッティ
各自が所有する物が、格段に減ってるような気がしますよね。
東出悦子さん
引越しをしたときは、1人ダンボール1個しか持っていけなかったんです。
アッティ
引越すときから、もうそういう指示をしていたわけですね。
それって続いてるんですか?
東出悦子さん
続いてます。
アッティ
素晴らしい。
スマートムーブ制度
アイペックは「スマートムーブ制度」を導入し、社員の直行直帰を推奨しています。
スマートフォンで出退勤管理を行い、直行直帰に手当を付けることで、時間外労働の削減、従業員の負担軽減、二酸化炭素排出削減を実現。さらに、現場が早く終わった場合は帰宅後にテレワークも可能です。
この制度により、効率的な働き方と環境への貢献を両立しています。
アッティ
フリーアドレスの活動をされて、それ以外にも何かされてることってあるものなんですか?
東出悦子さん
みんながすごく喜んでくれてるのに、「スマートムーブ制度」っていうものがあります。言ってみれば「直行直帰」なんですけれども。
どういうものかと言いますと、会社にいろいろな資材とか車両とかがあるんですね。現場に行く仕事ですので、通常だと富山の東富山駅の近くにある会社まで自分の車で来て、そこで会社の車両に乗って現場に行くと。
アッティ
そうですね。
東出悦子さん
例えば、高岡に住んでいても金沢の現場に行くときには、1回富山に出てきてからみんなで行くっていうのが主流だったんです。
そこにスマートフォンで出退勤ができる仕組みを導入しまして、自宅から金沢の現場に直接行って、金沢の現場で始まるときに「出勤」っていう。
アッティ
スマートフォンでプッシュすると。
東出悦子さん
そうすると、会社としては時間外が減るんです。本人も体が楽ですよね。
アッティ
そうですよね、わざわざ会社に行かなくていいわけですから、その時間は相当削減できてありがたいですよね。
東出悦子さん
さらに、そこに手当をつけたんです。
アッティ
手当? スマートムーブで直行直帰をすると、手当がもらえるんですか?
東出悦子さん
そうなんです。それをやったら、みんな体は楽になるし、その分お金ももらえると。
アッティ
面白いですね、なるほどなるほど。
東出悦子さん
帰りも直帰すると手当が出るんです。
アッティ
じゃあ、むしろ「直行直帰しなさい」みたいな?
東出悦子さん
そうなんですよ、推奨しているんです。
たくさんの人が使ってくれて、それで時間外も減っています。
アッティ
減ってるわけですね。
東出悦子さん
車の移動が減るので、二酸化炭素排出を削減するカーボンニュートラルにも貢献してると言えるんです。
アッティ
間違いないですね、貢献してきますよね。
東出悦子さん
いろんな良いことがあるんですよ。
アッティ
いいですね。でもそうすると、1日1回会社に戻ってみんなで集まるってことがどんどんなくなっていって、誰がどこにいるのかだんだんわからなくなっていくんじゃないですか?
そういうのって、何か分かるようになってるものなんですか?
東出悦子さん
それは現場のスケジュールがあるので。
アッティ
スケジュールで。
東出悦子さん
みんなどこからでもアクセスして見れるようにデジタル化されてます。
アッティ
面白いですね、直行直帰は確かにいろんな会社さんがやってますけど、そこに手当をつけてらっしゃるのがいいですね。
推奨して、みんながどんどんそれをするようになっていくっていうことですよね。
東出悦子さん
現場が早く終わったら家に帰って、例えば15時に家に着いたら、15時から17時まで2時間テレワークするっていう。
アッティ
そうすると家に帰って仕事をしていても、最終的にタイムカードを打刻するときは?
東出悦子さん
17時で。
アッティ
自分のスマートフォンで「ピッ」とやる感じなんですね。なるほど面白いですね。
資格取得制度
アイペックでは多くの資格が必要で、社員の資格取得を支援しています。
毎週水曜日17~20時の自習や実技講習に2,000円の手当を出す制度を導入。この取り組みにより、受験者数が4倍に増加し、合格率も30%向上しました。
アッティ
自己啓発の支援制度もやってらっしゃるって話をお聞きしたことがあるんですけど、どういった資格があるんですか?
東出悦子さん
エックス線作業主任とかいろいろな資格がたくさんあるんですけど、多い人で1人20個ぐらい持ってますね。
アッティ
そんなに資格を取るんですか?
東出悦子さん
もう本当に多種多様な資格があるんです。
アッティ
逆に言うと、それがないと仕事できないっていうことですよね?
東出悦子さん
そうなんです。それがないと仕事ができないんですよ。
アッティ
会社としても困るわけですよね?
東出悦子さん
そうなんです、資格がないと会社が成り立たないんです。なので、資格取得に対しては、本当に手厚くいろんな手当を作ってるんです。
資格をみんなに取ってもらいたくて勉強会をしたり、先生を呼んできたり、いろんなことを過去何年もやってきてるんですが、それでも今の若い人たちは、やっぱり仕事終わってから勉強するって大変じゃないですか?
アッティ
大変ですよね。
東出悦子さん
なので資格の受験者数も減ってましたし、合格者数もかなり減っていて、危機的な状態だったんですね。
それでどうしたかと言いますと、毎週水曜日の17〜20時までの3時間、大勢の人が集まれる多目的室で自習をしたら2,000円の手当を出す。「1時間以上自習をしたら、2,000円の手当を出す」という支援手当を作ったんです。
アッティ
なるほど。
東出悦子さん
それがすごく功を奏して、本当に大勢の人が実習をし始めました。
結局、習慣化すればみんな勉強できたっていう。
アッティ
なるほど。
東出悦子さん
1人で家に帰って1時間勉強するのは大変だけれども、会社の仲間と一緒に1時間ほど、いつも同じときに仲間がいる中で勉強すると、お金ももらえる。
そしたら「毎週やろうかな」ってなって、やり始めたら面白くなってきて、週末だったり試験の前とかも自分でちゃんと勉強するっていう習慣ができるんです。
アッティ
これは、多目的室で水曜17時から20時でやらないと手当はもらえないんですか?
東出悦子さん
それは自習なんですけれども、自習じゃなくて例えば実践とかもあるんですね。
いつでもいいので実技講習を先輩などと一緒に2人以上でやれば、水曜以外でも2,000円の手当がもらえます。
アッティ
なるほど。
東出悦子さん
それは昔からあったんですが、誰も使わなかったんですよ。でも今は使い始める人が増えたんですね。
やっぱり「もっと勉強したい」って思うと、実技の勉強を先輩にお願いして「どうせみんな手当てがあたるんだからやろう」っていうことで。
アッティ
いろんな会社さんで「この資格を取ったらいくらもらえる」みたいなことってありますけど、その前段階の「自習で手当がもらえる」って、なかなかないですよね。
東出悦子さん
弊社は資格ビジネスですからね。
アッティ
ちなみに、その時間帯の多目的室って、相当な人がいらっしゃるんですか?
東出悦子さん
やっぱり試験前とかになると一気に増えます (笑)
アッティ
なるほどなるほど、面白いな。
「あの人もやってる。この人もやってる」っていうのを見ると、みんな「次もやろう」っていう気持ちになりますからね。
とてつもなく相乗効果も出てきますよね。
東出悦子さん
受験者数も4倍ぐらい増えましたし、合格者率も30%増えてるんですね。
やっぱり「あの後輩が受かってるのか、受かってるんだったら僕も頑張らないと」とか「同僚が受かったのか、じゃあ僕もやらないと」みたいな感じになったのかと。
あと女性の事務員がいるんですけども、レポート作成専用の事務の方が、非破壊検査の資格を取り始めて合格したんですよ。
合格したら現場に行って、体験みたいな感じですけど現場の仕事をすると、レポート作成の速度と正確さがまた一段と上がったんです。
アッティ
すごい、いろんなところに波及していますね。
東出悦子さん
それでやりがいも高まるということです。
アッティ
いや面白いですね。こうやって本当にたくさんの取り組みをされているベースにあるのは、本当に「みんなを幸せにしたい」ってところ。
それも今の時代に合ったやり方をされてるっていうのは、本当に素晴らしいところだなと思いました。
今回は以上とさせていただいて、次回は全4回のうちの4回目になりますけれども、ふるさと富山についての想いであるとか夢についてお聞きしたいと思っております。
富山への想い&オススメ店&リクエスト曲
ふるさと富山について
東出悦子さんは、富山について、自然の豊かさ、安全性、住みやすさを高く評価しています。
特に魅力を感じているのが「人」で、温かく、以心伝心で繋がり合える人々が多いです。
アッティ
前回はアイペックさんの働き方改革の取り組み、フリーアドレス、スマートムーブ、そして自己啓発支援制度について説明をいただきました。
「こんな取り組みをされてる企業が富山にあるんだ」と大変びっくりしましたけれども、周りの方からもそういうことを言われるんじゃないですか?
東出悦子さん
そうですね、意外と反響は大きいですね。
アッティ
素晴らしいなと思いながら、お聞きしておりました。
今回は最終回となる4回目ということで、海外にいた経験も県外にいた経験もある東出さんが、ふるさと富山についてどう思われているのか、お聞かせいただきたいと思います。
東出悦子さん
いやー、富山はいいとこですよ。
アッティ
ですよね (笑)
東出悦子さん
自然ももちろんですし、安全ですし、本当に住みやすいところだなと思います。スペースがゆったりしてるっていうのが、住みやすさに繋がってるのかなと。
そんな中で、やっぱり一番面白いなと思うのが「人」ですよね。
すごく素敵な人が多いですし、温かい人が多いうか、以心伝心というか、暗黙の了解で何となく繋がり合えるような、何かそんな心地よさがあるところだなって。
ふるさとだからかもしれないんですけど、すごく思います。
アッティ
富山に住んでいらっしゃったときと、富山に戻ってきてからと、住んでみた印象って何か違いますか?
東出悦子さん
違いますね~。
出ていったのが19歳とかなので…。
アッティ
その歳だと、まだ周りのことが全然わからない状況ですもんね。
東出悦子さん
そうですね。
人生のこだわり
東出悦子さんは経営者として、「現在の状況が、当たり前でない」という認識を重視。社員、顧客、コミュニティ、富山の人々など、周囲全てに深い感謝の念を抱いています。
そして現状に感謝しながら、一瞬一瞬を丁寧に味わい楽しむ姿勢を大切にしています。この考えは、人の良さへの理解と相手への感謝から生まれました。
アッティ
経営者としてご活躍されている中で、経営者として大事にしていらっしゃること、また人生のこだわり、そんなことについてお聞かせいただけますか?
東出悦子さん
いつも思うのは、今ここで、こうやって私が生きていて、経営に携わらせていただいて、仕事をさせていただいているっていうことは、やっぱり当たり前じゃない。
アッティ
「当たり前じゃない」というね。
東出悦子さん
本当に感謝しかないですし、私以外の社員が毎日会社に来て仕事をしてくれるとか、お客様がいてくださって、コミュニティがあって、富山でいろんな活躍されてる人がいて、友達がいたりして。
そういうことに対して本当に嬉しいし、感謝の気持ちがありますし、今こうやってアッティさんとお話させていただいてるのも本当に嬉しいし、ありがたいです。
「今、この瞬間を本当に丁寧に味わっていく」っていうことを、楽しんでやっていきたいなって思っていますね。
アッティ
人の良さと、相手に対する感謝と、そこから来る「当たり前じゃない」という感覚をお持ちであるっていうのは、素晴らしいなと思います。
富山県内で大好きな飲食店
アッティ
富山のお気に入りの飲食店を皆さんにお聞きしてるんですが、どこかありますか?
東出悦子さん
最近ハマってるのは総曲輪BASEのインド料理屋さん「KUSHI」。
高校生のときから、富山ってインド料理屋さんが結構あったじゃないですか?
アッティ
ありましたね。わかります。
東出悦子さん
この保守的な文化の中で、すごい異国情緒のある店内で、インド人の方がインドカレーを作ってくれる。
私はもう高校生のときから、本当にハマりまして。
アッティ
高校生ときから?
東出悦子さん
そこで海外に目覚めたと言っていいぐらい、唯一、異国的な接点のあるところだったんですよね。
アッティ
確かに。私も海外の経験あるんですけど、海外に行くとインド料理屋さんってどこにでもあるじゃないですか?
考えてみると「富山にもあったな」とかって思っちゃいますもんね。
東出悦子さん
そうなんですよ。カレーが好きで、インドまで行ってカレーを食べたことがあるくらいなんです。
パキスタンのカレー屋さんは、高岡とか射水にもありますよね?
アッティ
ありますね。
東出悦子さん
大好きなんですけど、富山市に住んでますので、最近行くのは富山市の「KUSHI」さんです。
アッティ
KUSHIさんのカレーは、本場インドのカレーと比べたらどうですか?
東出悦子さん
やっぱり日本風。
アッティ
そうですよね (笑)
東出悦子さん
でも、すごい美味しいですよ (笑)
アッティ
なるほど、ぜひとも私も一度行ってみたいなと思います。
リクエスト曲
アッティ
ゲストの方に大好きなリクエスト曲をお聞きしてるんですが、東出さん、いかがでしょうか?
東出悦子さん
ジョン・レノンの「Imagine」をお願いします。
アッティ
こちらはどういった理由で?
東出悦子さん
あんまり理由はないんですけど、大好きな曲です。
アッティ
わかりました。それでは東出悦子さんのリクエスト曲で、ジョン・レノンさんの「Imagine」です。
これからの夢や目標について
東出悦子さんの夢は、社員の可能性を最大限に引き出し、健康でやりがいを持って働ける環境を作ること。
そして顧客に感動を与える仕事をチームで行い、パートナーシップを通じて社会に変革をもたらす新事業を展開することです。
アッティ
それでは最後の最後になりますけれども、東出さんのこれからの夢、目標についてお聞かせいただけますか?
東出悦子さん
私の夢は、社員の可能性を最大限に生かして、みんなが健康で、やりがいを持って、お客様に感動を与えるような、そういう仕事をチームでやること。
そして社会に変革を起こすような新しい事業を、パートナーシップとか、いろんな人とコラボしながらやって、本当に地域に役立つような仕事をすること。それが夢です。
アッティ
素晴らしい。ありがとうございます。
今月全4回にわたって東出さんからお話をいただき、働き方改革や、DXの推進など、富山の先進企業の活動を学ばさせていただきました。
また、そういった取り組みだけでなく、感謝、健康、やりがい、感動、そして従業員を幸せにしていくという、「幸せ」という言葉がたくさん聞こえてまいりました。
東出さん自身の人間性がそこに全て詰まっており、素晴らしい経営者でいらっしゃるんだなということを感じました。
今月のゲストは、株式会社アイペックの東出悦子さんでした。東出さん、1ヶ月間ありがとうざいました。
東出悦子さん
ありがとうございました。
アッティ
この番組のこれまでの放送は、ポッドキャストで聞くことができます。FMとやまのホームページにアクセスをしてみてください。
お風呂の中でのぼせてまいりましたので、そろそろあがらせていただきます。アッティでした。