【藤田 彩乃さん】アポロ・イングリッシュ・アカデミー代表

【藤田彩乃さん】アポロ・イングリッシュ・アカデミー代表

こんにちは、アッティです。
アッティの熱湯とやま人」は、富山のために熱い気持ちを持って頑張る人の本音に迫る番組!

今回のゲストは、アポロ・イングリッシュ・アカデミー 代表の藤田 彩乃 (ふじた あやの) さんです。※2025年3月ラジオ収録

英語教室運営の他、映像翻訳、英語司会、アテンド通訳など、大活躍の藤田さんに熱く迫っていきます!

アポロ・イングリッシュ・アカデミー

この記事は、FMとやま 金曜17:15~17:25放送のラジオ「アッティの熱湯とやま人」の編集前データを、ほぼノーカットでまとめたものです。

放送では流れなかった裏話も含め、お楽しみください。

目次

アポロ・イングリッシュ・アカデミーを設立するまで

【藤田彩乃さん】アポロ・イングリッシュ・アカデミー代表。テーマ1

藤田彩乃さんの自己紹介

要約

藤田彩乃さんは、富山市四ツ葉町で英語学校「アポロ・イングリッシュ・アカデミー」を経営。

学校では、子どもから大人まで様々な生徒に英語を教えています。

個人では、翻訳、通訳、国際会議の英語司会など、英語関連の仕事を幅広く手がける「英語屋さん」として活動中です。

アッティ
藤田さん、どうぞよろしくお願いします。

藤田彩乃さん
よろしくお願いします。

アッティ
以前、ラジオのパーソナリティをされていたんですよね?

藤田彩乃さん
パーソナリティの方と一緒にやる番組ですね。

アッティ
これまでもラジオをされていたということで、藤田さんよりアッティのほうが緊張しております。

藤田彩乃さん
全然です。よろしくお願いします。

アッティ
まず最初に藤田さんの自己紹介と、会社のご紹介をしていただけますか?

藤田彩乃さん
富山市の四ツ葉町で英語学校「アポロ・イングリッシュ・アカデミー」を経営しております、藤田彩乃です。

大人から子どもまで幅広い方に英語を教えています。 それと個人でも翻訳、通訳、たまに国際会議での英語司会などをさせていただいています。

英語にまつわることは何でもやっている「英語屋さん」として活動中です。

アッティ
英語だらけって感じですね。

藤田彩乃さん
英語だらけです。

アッティ
アッティは英語が全然ダメなんですが、大丈夫でしょうか?

今日英語で話をされることないですか?

藤田彩乃さん
大丈夫ですよ (笑)

幼少期の藤田彩乃さん

要約

藤田彩乃さんは幼少期に口が達者で、通知表では「明朗快活」に丸がつくような明るい子どもでした。

父親が転勤族だったため、小さい頃は九州などを転々としていましたが、小学校からは母親の実家がある富山に住み、高校まで富山で過ごします。

アッティ
今のお仕事に就くにあたって、英語はいつ頃から勉強されて、どういう経緯で進んでこられたのかお聞かせください。

まず最初に、幼少期はどんなお子さんでいらっしゃったんですか?

藤田彩乃さん
あんまり記憶にないですが、小さい頃は活発な子でした。

今でもお喋りなんですけど、口が達者で生意気な子だったと思います。

アッティ
それは日本語で?

藤田彩乃さん
そうですね。今でも早口なんですけど、かなりよく喋る子だったと思います。

アッティ
「喋る人=リーダー」と決めつけるのもおかしな話ですけど、クラスの中ではリーダー的な役割だったんですか?

藤田彩乃さん
通知表の「明朗快活」には必ず丸がつくような、明るいだけが取り柄の子でした。

アッティ
取り柄が「明るいだけ」ということはないと思いますけどね。

ずっと富山にいらっしゃったんですか?

藤田彩乃さん
父が転勤族で、小さい頃は九州のあたりを転々としていました。

小学校からは母の実家がある富山に住んで、「お父さん、行ってらっしゃい」という感じでした。

アッティ
小学校からずっと住んでいたんですね。

いつまで富山にいらっしゃったんですか?

藤田彩乃さん
高校までずっと富山でした。

アッティ
高校まで富山にいらっしゃって、大学で県外に行かれたんですか?

藤田彩乃さん
大学進学で東京に行きました。

英語との出会い

要約

藤田彩乃さんは、7歳頃に親の勧めで富山の英語教室に通い始めます。その教室は当時珍しく「音」を重視した指導法で、アルファベットの発音や英語での会話を学びました。

英語を話せない母親でしたが西洋文化や映画が好きだったことに加え、海外赴任中の父親がいた台湾で学んだ英語が通じた経験もあります。

アッティ
今は英語中心の仕事をされていますが、英語との出会いはいつ頃からだったんですか?

藤田彩乃さん
最初は7歳ぐらいのときでした。

そのとき私は全然乗り気じゃなかったんですが、うちの母に「英語をやったほうがいいよ」と言われて英語教室に入れられたのが、一番最初の英語の出会いだったかなと思います。

週1回、皆さんがやってるような日本人の先生と一緒に英語や英会話を学んでいました。その教室は、当時としては珍しく「音」を重視していたんですよ。

アッティ
受験勉強のための英語じゃなくて、「音」を重視していたんですね。

藤田彩乃さん
そうです。アルファベットの音を意識したり、日本語を使わないで英語だけで会話したりする、わりと珍しいタイプの指導法でした。

アッティ
富山の英語教室ですか?

藤田彩乃さん
はい、富山の英語教室です。

母が「英語はリズムで、耳が大事だ」と思ったらしく、そういった指導法の英語教室に入れられました。母は全然英語を喋れないんですけどね (笑)

私は、英語教室に通い始めて「わかると楽しい」って思い始めたんだと思います。

アッティ
お母さんはそのとき「これだけベラベラ喋る子だし、英語でも喋らせてみようか」みたいな感じだったんですかね?

藤田彩乃さん
どうなんですかね? 母は西洋文化や映画が大好きだったので「英語はやっといて損はないんじゃないの?」くらいで、当時は娘がここまで英語にどっぷり浸かることになるとは思ってなかったと思います。

アッティ
家の中で外国の映画や洋楽が流れてるというわけではなかったんですか?

藤田彩乃さん
ずっと流れてるわけではなかったんですけど、母はよく映画を見てましたね。

あと家の中もアメリカンカントリースタイルですごく洋風でした。母が西洋文化が好きだったので、私の世代にしては珍しく、昔から西洋文化に触れてた方じゃないかと思います。

アッティ
そのとき海外に行くようなこともあったんですか?

藤田彩乃さん
父が台湾に赴任していたので遊びに行くことはありました。

そのときに「自分が勉強した英語を使い、海外の人に言葉が通じた」という経験をしてると思います。

アッティ
なるほど。海外に住んだというわけではないんですね。

藤田彩乃さん
今考えてみると「ついて行けばよかった」と思います。

でも当時は「友達と離れるのが嫌だ」と言って行かなかったみたいです。行ったら行ったで面白そうでしたけどね。

アッティ
そうですよね。

藤田彩乃さん
行かなかったんですよ、残念。

アッティ
それが最初の英語との出会いだったんですね。

ディズニーと洋風文化の影響

要約

藤田彩乃さんは小学校高学年から中学時代に「リトルマーメイド」など「第2次黄金期」のディズニー作品に魅了され英語に興味を持ち始めました。

高校時代には「BACKSTREET BOYS」やブロードウェイミュージカルにはまり、歌詞やセリフを暗記して英語を習得。

英語そのものより「英語のコンテンツ」が好きで、理解したいという思いから自然に学んでいきました。

アッティ
小〜中学校は活発でお喋りな女の子だったということですが、その頃に力を入れたことは何だったんですか?

藤田彩乃さん
小学校の頃は本当に普通で、私自身特に何かをやってたということもないんですよね。

ただ、私が小学校高学年から中学校のときにディズニーから「リトルマーメイド」「美女と野獣」「アラジン」と名作が立て続けに公開されて。「ディズニー第2次黄金期」といわれる時代だったんですよ。

アッティ
ちなみに、第1次黄金期はミッキーなどですか?

藤田彩乃さん
そうですね、「白雪姫」とか。

アッティ
白雪姫。なるほど。

藤田彩乃さん
大昔の話だし、第1次から第2次黄金期までの作品を知ってる方は少ないんじゃないかな? マニアじゃないと知らないと思うんですけどね。

アッティ
第2期目の「リトルマーメイド」などは何となく聞いたことありますね。

藤田彩乃さん
第2次黄金期のディズニー映画を見て虜になり、英語にハマったのは大きかったですね。

アッティ
それは学生時代に?

藤田彩乃さん
そうですね、中学校のときです。当時はVHS (ブイエイチエス)でした。

アッティ
VHS! データじゃなくて (笑)

VHS (ブイエイチエス)
日本ビクターが1976年に開発した家庭用ビデオ規格で、Video Home System(ビデオ・ホーム・システム)の略

藤田彩乃さん
あと高校生のときに、アメリカのポップスターが流行ったんですよ。

レンタル屋さんでCDを借りてきて、歌詞カードをコピーして、ダビングしたCDを聞きまくってました。

アッティ
ほう、例えばどなたですか?

藤田彩乃さん
「BACKSTREET BOYS (バックストリートボーイズ)」や「ブリトニー・スピアーズ」などです。

アッティ
はいはいはい!

藤田彩乃さん
洋楽が流行った時代だったのもあって、どハマりして。

とにかく洋楽の歌詞を全部覚えました。

アッティ
なるほどね。

藤田彩乃さん
高校のときにはミュージカルにもハマって、ミュージカルの歌詞も全部覚えました。

アッティ
英語のミュージカル?

藤田彩乃さん
ブロードウェイミュージカルに触れて「これは素晴らしい」と思ったんです。

ミュージカルの歌詞やセリフを丸暗記して英語を覚えました。

アッティ
学生の段階で、すでに英語に興味を持ってたんですね。

「英語」というよりは「英語が使われてるもの」に興味があったんでしょうか?

藤田彩乃さん
そうですね。英語のコンテンツが好きで、理解したい一心でした。

今考えたら勉強してたと思うんですけど、私自身は勉強してるという感覚ではなかったです。

大学進学と就職氷河期

要約

藤田彩乃さんは大学で「演劇映像」を専攻し、演劇やミュージカル、映画を学術的に研究。

英語のコンテンツへの興味から「英語とエンタメコンテンツの両方ができる仕事」を求め、戸田奈津子さんのような字幕翻訳に憧れていました。

周囲から「食えない」と言われる中、就職氷河期という厳しい状況でしたが、「やりたいことをやろう」と翻訳の世界に飛び込みます。

アッティ
そんな富山の生活から東京の大学に行かれたのは、やっぱり英語関係の学ぶためだったのですか?

藤田彩乃さん
そうですね。文学部の中の「演劇映像編集」を専攻しました。「演劇」といっても、私は演じないんですけどね。

「ミュージカルや戯曲などを学術的に見る」みたいな学部で。もちろん原書だから英語のものが多いんですけど、そういう変わった分野を学んでいました。

アッティ
何部の何学科になるんですか?

藤田彩乃さん
「文学部」の中に「演劇映像」という専攻があったんです。

研究対象として演劇、テレビ番組、映画などを見ていましたね。

アッティ
その学びは、やっぱり今の仕事に活きてますか?

藤田彩乃さん
コンテンツに興味があって映像翻訳にたどり着いたので、直結ではないですけど影響を強く受けてるかもしれないですね。

アッティ
特に英語に興味があったというわけではなかったんですね。

藤田彩乃さん
いや、英語がやりたくて。「英語とエンタメコンテンツの両方ができるもの」という意味で。

アッティ
私もそうでしたけど、将来の夢ややりたいことって、みんななかなか見つけられないじゃないですか?

藤田さんは早い時期にやりたいことが見えてたんですか?

藤田彩乃さん
そうですね。英語を使った仕事がしたくて、英語のコンテンツに関わるものってなると、当時は歌詞翻訳などですね。

アッティ
歌詞翻訳。

藤田彩乃さん
あとはやっぱり戸田 奈津子さんを筆頭とする字幕翻訳に憧れるわけなんです。でも、誰に聞いても「食えないよ」と。

戸田 奈津子(とだ なつこ) :
日本の著名な映画字幕翻訳家、通訳家。関わった映画には「E.T.」「タイタニック」「スター・ウォーズ」など数々の著名作品がある。2022年、86歳で通訳業を引退した。

アッティ
「食えないよ」と。

藤田彩乃さん
「それは趣味だよ」って感じで。

アッティ
ほとんど戸田奈津子さんが仕切ってるというわけですかね。

藤田彩乃さん
「仕事にはならないよ」って言われて、それで「やっぱりそうだよね」って。

当時は就職氷河期だったので、1つの席を何万人で争うような世界だったんですよ。今では考えられないかもしれないですけど。

アッティ
そこに入られたわけですよね。

藤田彩乃さん
就職氷河期な上に、文系女子だと正直機会が少なくて。

「だったらやりたいことやろう」と思って、普通の仕事じゃなくて翻訳の世界に飛び込んだんです。

留学後に見つけた進路

要約

藤田彩乃さんは、大学時代に1年間カリフォルニアへ留学しました。

帰国後の就活で本当にやりたい仕事が見つからない中、業界紙で翻訳学校を発見。説明会で「映画の仕事は難しいが、ケーブルテレビやDVDなどの映像コンテンツの仕事はたくさんある」と聞き、その場で申込みます。

大学4年生の時にダブルスクールで翻訳を学び始めました。

アッティ
それで日本映像翻訳アカデミーに行かれたんですか?

藤田彩乃さん
そうですね。大学時代に留学から帰ってきた、3年生の夏ですね。

アッティ
大学時代に留学に行かれてたんですね。

藤田彩乃さん
交換留学生として、アメリカの大学に留学させてもらいました。

アッティ
どちらに行かれたんですか?

藤田彩乃さん
カリフォルニアに行ってました。

1年留学させてもらって帰ってきたら、日本ではもう就活が始まってたんですよね。

アッティ
「どうしよう、この状況よくないぞ」みたいな感じですよね。

藤田彩乃さん
当時の選択肢の中には、やりたいものがなかったんですよね。

そんなとき、当時の通訳や翻訳家になりたい人たちが見る業界紙に、通訳や翻訳の学校が掲載されていたんです。申し込んで、オリエンテーションに行ってみました。

そしたら「銀幕といわれる映画の仕事は難しいけど、ケーブルテレビやDVDなどにも目を向けると、映像コンテンツの仕事はたくさんあるんだよ」という話を聞いて、「やりたい!」と思って。

説明会のその場ですぐ申込書を書いて、大学4年生のときにダブルスクールで入学したんです。

アッティ
4年生から日本映像翻訳アカデミーに入ったんですね。

藤田彩乃さん
大学生は私ぐらいでした。

アッティ
皆さん卒業されてる方ばかりだったんですか?

藤田彩乃さん
そうですね、年上のお姉さま方が多かったです。

アッティ
早くに入ったということですね。

藤田彩乃さん
そうですね。

アッティ
わかりました、ありがとうございます。

あっという間に時間が経ってしまいましたね。それでは今回は以上とさせていただきます。

今回は子ども時代から英語にどっぷり浸かり始めたというお話でした。次回は就職に近づく中で、アカデミーでの学びについてお話をうかがいたいと思います。

富山に帰郷するまで

【藤田彩乃さん】アポロ・イングリッシュ・アカデミー代表。テーマ2

日本映像翻訳アカデミーでの学び

要約

親の後押しもあり、藤田彩乃さんは大学4年次に日本映像翻訳アカデミーで字幕・吹き替え翻訳を学びました。

日本映像翻訳アカデミーには、卒業後のトライアル試験合格者に併設翻訳会社から仕事を斡旋し、フリーランス翻訳者としてのキャリアスタートを支援する仕組みがあります。

アッティ
前回のお話で、活発な子だった幼少期からずっと英語が大好きで、英語漬けの生活をしてきたとうかがいました。

藤田彩乃さん
振り返ると、「そうだったのかな」という感じですね。

アッティ
大学時代、留学から帰ってきて就職しなきゃいけないときに、もう1つの学びを始めたんですよね。

藤田彩乃さん
そうですね。4年生のときに「日本映像翻訳アカデミー」に通い始めました。

私は、もし親に反対されても「1人で勝手にやる」って決めていたんです。

でも、親に「翻訳をやっていきたい」って話したら、「目標がない人が多い中で、やりたいことがあるのは良いことだから頑張りなさい!」と言ってもらえたんですよ。

親のお墨付きをもらったので、大学の授業より頑張って勉強しました。

アッティ
日本映像翻訳アカデミーは、どういう学びをする学校なんですか?

藤田彩乃さん
字幕や吹き替えのテクニックを学べる、翻訳者の養成学校や職業訓練校みたいな感じですね。

アッティ
日本映像翻訳アカデミーを卒業後は、皆さんどのような仕事に就くんですか?

藤田彩乃さん
卒業すると、「トライアル試験」というプロになるための試験があるんです。

それに受かると、併設の翻訳会社から仕事を斡旋してもらえて、フリーランスの翻訳者への道が。

アッティ
フリーランスになるわけですね。

藤田彩乃さん
「フリーランスの翻訳者になれる道を作っていただける」という感じですね。

もちろん自分自身で努力しないといけないですけど、いきなり知らない会社の門を叩くよりは近道かな、という。

字幕翻訳の仕事内容

要約

字幕翻訳は文字数や句読点の制限があり、英語を日本語らしく簡潔に訳す技術が求められます。

日本映像翻訳アカデミーでは実践課題と厳しい添削を通じて、英語力だけでなく日本語力も重視したプロ育成を行っています。

アッティ
翻訳会社からの仕事って、例えばどういった仕事ですかね?

藤田彩乃さん
当時は衛星放送、ケーブルチャンネル、WOWOW、CNN、BBCなどの有料チャンネル、あとはDVDの仕事も多かったです。

今でいうと「Netflix、Amazon Primeなどの動画配信の字幕を作る仕事」というとイメージしやすいかもしれません。

アッティ
今も字幕翻訳の仕事はされてるんですか?

藤田彩乃さん
今は、私個人では字幕翻訳をしていません。

でも会社として、コンテンツの制作会社さんなどから仕事をいただいて、翻訳者さんに翻訳してもらい品質管理をするという仕事はしています。

アッティ
面白い。過去にそういう経験はあるということですね。

藤田彩乃さん
そうですね。ずっと字幕を作ってたこともあります。

アッティ
なるほど。

日本映像翻訳アカデミーでは、どういう勉強をしていくんですか?

藤田彩乃さん
例えば、スクリプトはあったりなかったりなんですけど、2〜5分の映像を渡されて「字幕つけてきてください」って言われて、作った字幕を先生に提出するんです。

そうすると、「ここはこうだからダメだ」とズタボロに言われるわけですよ。

それで落ち込んで、次また「これでどうだ」って出したら、また赤入れで真っ赤になって返ってきて、みたいな。どんどん赤入れしてもらって学んでいく感じです。

スクリプト:
台本や脚本

赤入れ:
校正などの際に主に赤字で文章を添削、書き入れすること

アッティ
私含めて一般の人は完成した字幕を見てても「これが当たり前」としか思えないんですけど、例えば2〜5分の映像でいうと、どういう注意点があるんですか?

藤田彩乃さん
まず「字幕は1秒につき4文字しか使えない」というルールがあります。

アッティ
1秒4文字。

藤田彩乃さん
さらに、句読点や読点も使えないんです。

アッティ
そうなんですか!?

藤田彩乃さん
他にも、漢字が続くと見にくくなるし、だからといってスペースを空けると歯抜けに見えて気持ち悪い感じになります。

1行も14〜16文字しか入らないので、改行位置も考えなきゃいけないし、2行目のバランスも見ないといけません。

そもそも英語の意味がわからないといけないんですけど、英語をそのまま全部翻訳すると、それだけで3行とか4行ぐらいになっちゃうんですよ。

アッティ
長い文章を縮めるんですか?

藤田彩乃さん
まとめるんです。

その上で、英語的な言い回しを日本語っぽくしないといけなくて。

アッティ
うわ~、難しいですね!

藤田彩乃さん
英語を直訳しただけだと、全く意味がわからないので。

アッティ
わからないですよね。

藤田彩乃さん
とにかくリライトと推敲をしていくので、すごく日本語力が問われますね。

アッティ
「英語力」というよりは「日本語力」が重要なんですね。

全く言い回しが変わる部分も出てきますよね?

藤田彩乃さん
ほぼ変わってると思います。

アッティ
ほぼ変わるんですか!?

藤田彩乃さん
英語の音声を聞いてから字幕を見ると、「よくここまで訳したね」というのも結構ありますね。

アッティ
「わかる人はわかる」みたいな。

字幕を見る方としては、たくさんの文字が出てきたら読むだけでついていけなくなって、映画の中身がわからなくなりますもんね。

藤田彩乃さん
肝心の映像が見れなくなるんですよね。

アッティ
見れないですよね。

藤田彩乃さん
「画面半分が文字」みたいな感じだと困るので、普通の翻訳よりは制限も多いし表現力もいるので、映画の字幕翻訳は特殊なんですよね。

アッティ
面白いですね。すごいですね。

藤田彩乃さん
すごく楽しい仕事だと思います!

アッティ
日本映像翻訳アカデミーでは、英語も学ぶんですよね?

藤田彩乃さん
英語力はある前提ですね。

アッティ
前提なんですね。

藤田彩乃さん
日本映像翻訳アカデミーは英語はわかるのが前提で、「どう訳して、どういう表現にしたら良い放送になるか」など、プロになるための心構えなどを学ぶところですね。

皆さんプロになるのが目標なので、課題もきついんですよ。

アッティ
日本映像翻訳アカデミーには、どういう方々が来られるんですか?

藤田彩乃さん
学生さんもいらっしゃるかもしれないですけど、英語が好きで、キャリアチェンジしたい方が多かったですね。

フリーランスでの翻訳の仕事はパソコンがあればどこでもできるので、会社に勤めなくてもできる仕事に就きたい方が多かったかなと思います。

映画字幕制作の実情

要約

藤田彩乃さんが学んでいた時代は衛星放送やDVDの字幕作成が主流でしたが、現在はNetflixなどの配信サービスが中心です。

藤田さんは現在個人で翻訳の仕事はせず、会社として仕事を受注し翻訳者への依頼と品質管理を担当。

日本映像翻訳アカデミーでは実践的な課題と厳しい添削指導で学習していました。

アッティ
例えばNetflixでいうと、2時間ぐらいの映画があるじゃないですか。

その映画に字幕を全て付けるとなると、 翻訳者さんとは何度も繰り返しやり取りしていくんですか?

藤田彩乃さん
そうだったらいいんですが、大体は「はいどうぞ、あとは自分で考えてね」という感じです。

アッティ
翻訳者さんが考えて訳したら、「じゃあ、これでいきます」みたいな感じなんですか?

藤田彩乃さん
「このコンテンツはこんな人が見るだろうから、こういう訳にしよう」といった判断も、自分で判断できる前提で発注が来るんです。

発注者が手取り足取り教えてくれることは、まずなんですね。

アッティ
そうなんですか。じゃあ細かいチェックもあまり入らないんですか?

藤田彩乃さん
細かいチェックは入りますが、それを通過できるレベルの訳を最初から出さなきゃいけないんです。

アッティ
大変だ。

藤田彩乃さん
例えば、ドキュメンタリーと映画では訳し方が違って、トーンや言葉遣いなどは翻訳者さんが自分で判断します。

ある程度の指示は来ますが、日本語って「私」「俺」「僕」など、一人称だけでも様々な表現があるじゃないですか。

「この人はこんなふうには喋らないだろう」といった、語尾や一人称などの言葉遣い、口調なども全部自分で決めて訳していく必要があります。

アッティ
やはり国語能力が相当必要ですよね。

藤田彩乃さん
そうですね。国語能力は本当に重要です。

私は類語辞典などをたくさん持ってました。

類語国語辞典 (類語辞典)
使いたい語句と同じような意味を持つ、他の単語を調べられる辞典のこと

日本映像翻訳アカデミーに就職

要約

藤田彩乃さんは大学と同時に日本映像翻訳アカデミーを卒業。

課題への真摯な姿勢が評価され、併設の翻訳会社で24時間リアリティ番組のプロジェクトに参加し、中心メンバーとして活躍しました。

アッティ
日本映像翻訳アカデミーには何年いらっしゃったんですか?

藤田彩乃さん
1年のプログラムでしたので、大学卒業と同時に卒業しました。

アッティ
ちょうど卒業が重なったんですね。

就職というのは、フリーランスでの仕事になるんですか?

藤田彩乃さん
そうですね。そのときは、たまたま運が良かったんです。

映像翻訳アカデミーに併設されている翻訳会社が、24時間リアリティ番組を流すという大きなプロジェクトを受けていて、まとめ役を探していた時期だったんですね。ちょうどそのタイミングで声をかけてもらいました。

私は普段から課題にかなり真面目に取り組んでいたのですが、そのマネージャーの方が講師として来られていたとき、たまたま発注ミスがあって、「今すぐできる人いる?」と聞かれたんです。

そのときに私が「やります!」と答えたのがきっかけでした。

アッティ
ちょうどいいチャンスが巡ってきたんですか?

藤田彩乃さん
たまたまそのときのことを覚えてくださっていて、「やってみる?」と声をかけてもらったんです。

私はわりと「やってみる?」と言われたらすぐ「やります!」と答えるタイプなので、そのときも迷わず引き受けました。

卒業後はそのプロジェクトの中心となり、日本映像翻訳アカデミーで働き始めたんです。

アッティ
そういうことなんですね。面白い経緯ですね。

藤田彩乃さん
普通は就職活動をしてるところですが、私は就活はせずにそのまま翻訳の道に進んだ感じですね。

ロス支社立ち上げのため25歳で渡米

要約

藤田彩乃さんはアカデミー卒業後、数年にわたりリアリティ番組のクオリティコントロールを担当しました。

25歳でロサンゼルス支社の立ち上げメンバーとして渡米し、翻訳学校の開設を通じてネットワークを拡大。数年後には大手制作会社から初受注し、チームで全力対応しました。

アッティ
日本映像翻訳アカデミーでの仕事のあと、次はどのようなステージに進まれたんですか?

藤田彩乃さん
実はそのリアリティ番組のプロジェクトで、3〜4年ほどずっと、翻訳者の翻訳チェックやコーディネートといったクオリティコントロールを担当していました。

今だったらブラック労働で問題になるんじゃないかというくらい、ずっと仕事をしていましたが、本当に楽しくて。

そんな中、当時の上司 (のちに私の恩師となる方) が「これからはオンライン配信の時代が来る」と言っていたんです。

当時はまだ、翻訳のためにテープを日本に送ってやり取りしていたんですが、「いずれは現地で仕事が発生するようになる」と。

私自身も「仕事を直で受けてみたい」という、漠然とした夢を持っていました。

そんなとき、ロサンゼルスに支社を立ち上げる話が出て、人を探していたので、また「やりたいです!」と手を挙げました。

上司も思い切ったと思いますが、当時25歳だった私に「じゃあ、やってこい」と言ってくれて。そこからロサンゼルス支社の立ち上げメンバーとして、アメリカに赴任させてもらうことになりました。

アッティ
アメリカでは、映画会社とのやり取りをしていく感じだったんですか?

藤田彩乃さん
それを目指して動き始めたのですが、最初はオフィスもない状態だったので、自分たちでオフィスの立ち上げから始めました。

とはいえ、新しい会社だったので、当然ながら門前払いばかり。なかなか仕事はもらえませんでした。

そこでまずは翻訳学校を立ち上げ、すでに活躍されている先生方を講師としてお招きし、日本在住のバイリンガルの方々に向けてプログラムを提供したんです。

そうしているうちに徐々にネットワークが広がっていって、2〜3年ほど経った頃には、「あの翻訳会社、まだやってるんだね」という感じで、少しずつ仕事の依頼が来るようになりました。

最初に大きな制作会社から1件の仕事をいただいたときは、まるでトライアルのような気持ちで、みんなで本気で取り組みました。

それを何度か繰り返していくうちに、徐々に信用を得られて、仕事が安定して入ってくるようになって。今ではたくさんの案件をいただいていると思います。

アッティ
なるほど。

8年のアメリカ滞在を経て富山へ帰郷

要約

藤田彩乃さんは当初2年の予定でロサンゼルスに赴任しましたが、結果的に8年間滞在。

多くを学び充実した日々を過ごしたものの、結婚や出産を機に地元・富山への帰郷を決意しました。

アッティ
ロサンゼルスで活動されて、その後は富山に戻ってこられたんですか?

藤田彩乃さん
そうですね。8年ロスにいたので、結構長かったです。

アッティ
8年もいらしたんですね。その間の奮闘はなかなか大変だったのでは?

藤田彩乃さん
最初は2年の約束で行ったんですが、結局8年も過ごしてしまいました。

すごく楽しかったし、様々なことを学ばせていただいたと思っています。

ただ、プライベートでは結婚や出産もあり、ロサンゼルスでの生活が少し難しくなってきたので、地元の富山に帰ってきました。

アッティ
なるほど、ありがとうございます。

アメリカでもご活躍されたということで、今週は以上とさせていただきます。

次回は、富山での活動についてお話を伺いたいと思います。

ロサンゼルスから富山へ帰郷

【藤田彩乃さん】アポロ・イングリッシュ・アカデミー代表。テーマ3

子育てのため富山へ移住

要約

藤田彩乃さんは、結婚・出産後、アメリカでの高額な保育費や医療保険の問題、また夫の意向もあり富山に戻ることを決意。

富山は子育てに適した環境であり、東京よりも生活の質が高いと感じています。

アッティ
前回は、日本映像翻訳アカデミーに入校し、卒業後はそのまま併設会社でお仕事をされていたこと、さらにはロサンゼルス支社の立ち上げにも関わってこられたというお話を伺いました。

その後、富山に戻ってこられたのはいつ頃だったのでしょうか?

藤田彩乃さん
2016年ですね。

アッティ
2016年。じゃあ、富山に戻ってからすでに9年ほど経つんですね。

藤田彩乃さん
そうなんです。あっという間に。

アッティ
ロサンゼルスでのご活躍から一転して、富山に戻ることになったきっかけは何だったんですか?

藤田彩乃さん
結婚して子どもを産んだことが、富山に戻る大きなきっかけでした。

ロサンゼルスにはけっこう長くいたので、たぶん私ひとりだったら、まだ向こうにいても大丈夫だったと思うんです。

ただ、私も夫もロサンゼルス出身じゃなくて。

アッティ
お2人ともロサンゼルスに地縁がなかったんですね。

藤田彩乃さん
そうなんです。夫はアメリカ人ですが、東海岸の出身で、ロサンゼルスには家族も友人もいませんでした。

アッティ
そういう状況だと、子育てはかなり大変だったのでは?

藤田彩乃さん
本当に大変でした。夫婦ふたりだけでなんとかしようとしても、アメリカは本当に厳しいんです。あの国は福祉がほとんどなくて。

特に大変だったのがデイケアですね。

いわゆる保育園のような施設なんですけど、利用するだけで1人分の給料がまるまる飛んでいくくらい高額なんです。

アッティ
高いわけだ!

藤田彩乃さん
本当に、子どもひとり預けるだけで月20万円くらいかかる世界なんです。

それに車も必要だし、健康保険もなくて。保険がないに等しい状態で、「これ、さすがに持続不可能なんじゃ…?」って思いました (笑)

アッティ
そんな状況の中、富山への帰郷を決断されたんですね。

藤田彩乃さん
それがひとつ、最初のきっかけになりました。

あとは夫も日本が大好きで、東京や富山、彼の実家のある場所などを天秤にかけて考えたときに、「富山が一番いいね」ってことになったんですよね (笑)

アッティ
ご主人は、富山に来られたことがあったんですか?

藤田彩乃さん
いえ、ないんです。

アッティ
ないんですか!?

藤田彩乃さん
結婚の許しを得るために頭を下げにきただけで、滞在らしい滞在は初めてでした。

アッティ
藤田さんは地元なのでハードルは高くなかったと思うんですけど、ご主人にとっては大きな決断ですよね。

藤田彩乃さん
そうですね。でも、夫が率先して「富山に行こう」と言ってくれて、移住を決めました。

アッティ
お金の面もあったんですかね。

藤田彩乃さん
そうですね。私が富山にいたときは何もなくて、出たくて出たくてしょうがなかったんですけど、外に出てみて初めて、住みやすさや子育てのしやすさに気づいたんです。

だから、生活の質、いわゆる「クオリティ・オブ・ライフ」が高いなと感じていて…それが戻ってくる決め手の一つになったと思います。

アッティ
東京に戻るという選択肢はなかったんですか?

藤田彩乃さん
東京もつらいじゃないですか。

アッティ
わかります、わかります。

藤田彩乃さん
東京は仕事の機会は多いと思うのですが、家族もいないですし、生活費も高い。

「東京で生きていくのは、ロサンゼルスとあまり変わらないよね」と夫と話をして。

アッティ
なるほど。やはり、子育てとなるとサポート体制は大切ですよね。

藤田彩乃さん
本当にそうです。近くに頼れる両親がいることは大きな安心材料です。

アッティ
ようこそ富山へ!ということで、戻ってこられましたけれども、仕事はゼロからのスタートになりますよね?

藤田彩乃さん
はい、そうでした。

富山で、もう一度ゼロからのスタート

要約

富山に戻った藤田さんは、帰郷から数か月で英会話学校「アポロ・イングリッシュ・アカデミー」を開校。

子どもから大人まで幅広く指導し、企業向けの講師派遣やセミナーも展開しています。

夫婦ふたりで始めた教室は、現在5〜6名の講師を抱えるまでに成長しました。

アッティ
富山に帰ってから、すぐにアポロ・イングリッシュ・アカデミーを立ち上げられたんですか?

藤田彩乃さん
はい、そうですね。

1月ぐらいに帰ってきて、2月にはオフィスを借りて、3月頃から始めました。

アッティ
あらためて、アポロ・イングリッシュ・アカデミーでは、どんなことをされているんですか?

藤田彩乃さん
子どもから大人まで、さまざまなレベルの方に英語を教えています。企業向けには講師の派遣やセミナーも行っていて、いろんな形で「英語を学びたい」という方のサポートをしています。

アッティ
最初は藤田さんとご主人のおふたりで教えていたんですか?

藤田彩乃さん
はい。最初は2人で始めたんですが、今では5~6人の先生にお願いしています。

アッティ
以前勤めていた日本映像翻訳アカデミーでは、経営者の立場ではなかったですよね。

今回はご自身が経営者ということで、これまでとは仕事の内容も大きく変わったんじゃないですか?

藤田彩乃さん
実は、そこまで大きくは変わっていないんです。

ロサンゼルスにいたときも小さなオフィスを切り盛りしていたので、今とかなり似ている部分があります。

実際にやっていることもほとんど同じで、当時も立ち上げの頃は、いろんな場所に出向いて名刺を配りまくっていました。今回も、富山でまったく同じことをした感じですね。

アッティ
まさに、もう一度ベンチャーを立ち上げたような感覚ですね。

藤田彩乃さん
そうですね。

アッティ
でも、仕事の内容自体は少し違うんですよね?

藤田彩乃さん
はい。今までは、英語が話せる人たちに囲まれて仕事をしてきたので、日本で「英語が話せない人に教える」という環境には、最初ちょっと驚きました。

アッティ
たしかに、それは大きなギャップですよね。

藤田彩乃さん
「日本で英語を教えるって、こういうことなんだ」って、改めて実感しました。

アッティ
それまでは、「英語が話せない人に教える」という経験はなかったんですか?

藤田彩乃さん
私は初めてでした。

でも夫は、若い頃に日本の英会話学校で教えていた経験があるんです。

アッティ
ご主人は、日本人向けの英会話教室で教えられていたんですか?

藤田彩乃さん
はい。通算で2〜3年、日本とアメリカを行き来しながら英語を教えていたので、彼にとっては特に違和感はなかったみたいです。

でも私にとっては、新鮮で驚くことばかりでした。

時間感覚のギャップに戸惑った

要約

アポロ・イングリッシュ・アカデミーの経営は、藤田さんにとって楽しいことがほとんどですが、「時間の捻出」は悩みの種です。

日米の仕事の本質は大きくは変わりませんが、アメリカでは「契約が絶対」である点や、言語の違い、そしてスピード感に大きな差を感じています。

放送業界で培った「数時間単位の納期感覚」と、富山での「数日単位」のビジネススピードとのギャップもありました。

アッティ
実際にアポロ・イングリッシュ・アカデミーを立ち上げてみて、大変だったことはありますか?

藤田彩乃さん
おかげさまで素晴らしい受講生の方ばかりで、日々とても楽しくやらせてもらっています。

ただ、強いて言うなら「時間の捻出」ですかね。

アッティ
時間の捻出。それは日本とアメリカの違いというより、普遍的な悩みかもしれませんね。

藤田彩乃さん
そうですね。毎日「時間が足りない〜」と言いながら過ごしています。

でも私は、人生の中であまり嫌な思いをした記憶がないんです。いつもいろんなチャンスに恵まれて、楽しくやらせてもらっているので、日々感謝しています。

アッティ
日本とアメリカで、仕事の進め方に違いはありますか?

藤田彩乃さん
ありますね。アメリカでは本当に「契約がすべて」という感覚が強くて、その点はすごく学びがありました。

ただ、仕事の本質そのものは、そこまで大きく変わらないとも思っています。

もちろん、言語の違いはありますし、私の場合は放送業界出身というのもあってスピード感には大きな差を感じました。

アッティ
「スピード感」ですか?

藤田彩乃さん
放送の現場って、本当に「急ぎ」のレベルが違うんですよ。

東京でもそうでしたけど、「急ぎでお願いします」って言われたら、数時間後の納期が当たり前。

でも、富山で「急ぎ」と言われて「今夜は難しいです」って答えたら、「2日後とかで大丈夫ですけど」って言われて「そうですか…」みたいなことはあったかなと思います。

アッティ
富山という土地柄もあるかもしれませんが、以前の職場がスピード感ありすぎたのかもしれませんね。

藤田彩乃さん
そう思います。放送業界って、「この日までに絶対仕上げなきゃいけない」という案件が本当に多くて。

でも富山に来てからは、「今日じゃなくてもいいんだな」って感じることが増えました。

言葉の違いは、思考の違い

要約

藤田彩乃さんの次なる展望は、「英語の思考法」を伝える新たなプログラムの開発です。

日本語は曖昧で結論を後に述べる傾向がありますが、英語は理路整然とした構造をもち、言語の違いはそのまま思考法や文化の違いに表れています。

藤田さんは、英語学習を通じて論理的思考や異文化理解も深められるような教育を目指しているところです。

アッティ
富山で英会話スクールを立ち上げられましたが、これから新たに挑戦してみたいことって何かありますか?

藤田彩乃さん
そうですね。今は日本のスタンダードに沿った英語教育をしていますが、もう少し踏み込んで「英語の考え方」を伝えるプログラムをつくりたいなと思っています。

アッティ
「英語の考え方」ですか?

藤田彩乃さん
はい。日本語って、結論を後回しにするなど曖昧さがあるじゃないですか。多少話がまとまってなくても何とかなりますよね。

でも英語はもっと理路整然としていて、英語を話す人たちは、そもそも見ている景色が違うような気がするんです。

言語の成り立ちや考え方自体がまったく違っていて、日本語のマインドで書いたものをそのまま英語にしても、伝わらないことがすごく多いんです。

アッティ
逆に、英語マインドで作ったものは?

藤田彩乃さん
それは比較的わかりやすいですね。

私も翻訳するときに、日本語が「何を言いたいのか分からないな」と思うことがよくあります。

アッティ
日本語の文章自体が?

藤田彩乃さん
はい。たとえばパワーポイントで「検討」って一言だけ書かれていると、それが「検討中」なのか「検討済み」なのか「これから検討する」なのか、全くわからない。

でも英語なら、そういうことははっきり表現されるんです。

アッティ
なるほど。

藤田彩乃さん
英語って、主語と動詞がないと文章として成立しないので、英語を日本語に訳すときはあまり困らないんです。

でも日本語から英語に訳すときは、一度その曖昧な日本語を「日本語として」整理し直さないと、正確な英語にならないことが多いんですよね。

アッティ
過去に、日本の映画などを英語に翻訳されたこともあるんですか?

藤田彩乃さん
もちろんです。特に映像作品の場合は、画が決まっているので自由に訳せない分、難しさがあります。

アッティ
なるほど。確かに、画面に合わせなきゃいけないですもんね。

藤田彩乃さん
そうなんです。あとはパンフレットの翻訳なんかでは、日本語は繰り返しが多かったり、文化特有の内容が詰まっていたりして、直訳しても伝わらないことが多いんですよね。

そういうときは「伝わりやすくリライトしたほうがいいな」と思うことが多いです。

アッティ
じゃあ、先ほどの話に戻ると、次のステージではそういった「英語の考え方」まで踏み込んだ教育を?

藤田彩乃さん
はい。ただ英語を「訳す」だけでなく、その背景にある思考法や文化も含めて伝えられるようなことを、いつかやりたいねと夫とも話しています。

アッティ
面白いですね。対象者をどう設定するかが難しそうですが、すごく興味深いです。

藤田彩乃さん
ありがとうございます。たとえば日本では、作文やエッセイの書き方ってあまり教えないですよね。

でも英語にはしっかりと型があって、どういう論拠を持ってくれば相手を納得させられるか、体系的に学ぶんです。

私自身、学んだときに「目からウロコ」だったので、そういうものを伝えられる場をつくりたいと思っています。

アッティ
たしかに。アメリカという国がそういう言語だから、そういう国民性になったのか。あるいは国民性がそうだから言語がそうなったのか…不思議ですよね。

藤田彩乃さん
本当にそうですね。私は「言語は、文化と人を映す鏡」だと思っていて。

アッティ
確かに、それは感じますね。

藤田彩乃さん
言語を学ぶのって、すごい面白いです。

アッティ
それって大学時代に学ばれたんですか?文化論とか。

藤田彩乃さん
いえ、直接ではないですが、西洋と東洋の比較文化論のような考え方には近いかもしれません。

アッティ
なるほど、そういうことなんですね。

藤田彩乃さん
視点や注目するポイントも全然違いますし、文法ひとつとっても文化が強く反映されているなと感じます。

アッティ
ぜひ、そういう研究もいつか詳しく聞かせてください。

藤田彩乃さん
私以外にも、すでに研究してる方はたくさんいらっしゃると思いますけど (笑)

アッティ
本当に面白いお話でした。ありがとうございます。

第3回もあっという間でした。次回は「ふるさと富山」についてお聞かせいただければと思います。

富山への想い&オススメ店&リクエスト曲

【藤田彩乃さん】アポロ・イングリッシュ・アカデミー代表。テーマ4

ふるさと富山について

要約

藤田彩乃さんは、若い頃は富山を出たくて仕方ありませんでした。

しかし、アメリカでの生活を経て戻ったことで、子育てのしやすさや自然・食の豊かさなど、改めて富山の魅力に気づきました。

アッティ
ここまで、実際に日本映像翻訳アカデミーで学ばれて、そこでお仕事をされ、さらにアメリカでの仕事を経て、富山に戻り、英会話教室「アポロ・イングリッシュ・アカデミー」を運営されているというお話を伺ってきました。

今回は、アメリカでのご経験も踏まえて、外からの目線も交えながら、ふるさと富山について少しお話をいただけたらと思います。

藤田彩乃さん
富山って、住んでいると良さが見えにくいところがあると思うんです。でも一度外に出てみると、その良さを実感できるんじゃないかなと思います。

子育てもしやすいし、住みやすいし、自然もいっぱいあるし、食べ物も美味しいし、今の私は本当に気に入っています。

でも若い頃は、そんなことは全然思わなくて。やっぱり外に出てみて、初めて気づいたという感じですね。

アッティ
若いときは、富山の良さをあまり認識していなかったんでしょうか?

藤田彩乃さん
はい。小中高しか富山にいなかったので、「何もないところだな」と思っていました。

遊ぶ場所もないし、ずっと勉強させられてるような生活だったので、「ここに残りたい」とは全く思わず、県外に出たくて仕方なかったです。

アッティ
やっぱりそうなんですね。

過去の女性ゲストの皆さんも、「若い時には富山を出たかった。でも一度県外に出てみて、戻ってきたら最高だった」とおっしゃっていました。

藤田彩乃さん
そうなんです。東京に出たい一心で、必死に勉強しました (笑)

アッティ
やっぱり、そうですよね。

藤田彩乃さん
本当は海外に行きたかったんですけど、さすがに反対されちゃって、「東京にしときなさい」って言われました。

アッティ
「富山から出たかったけど、出て戻ってきたら良さがわかった」という同じ想いを持つ方々が集まって、富山県の“女性流出問題”について話し合える場があると、もっと富山が良い方向に進むのではないかと感じました。

藤田彩乃さん
特に私はアメリカから戻ってきたので余計にそう感じるのかもしれませんが、アメリカって子育てへのサポートがゼロ、むしろマイナスくらいの感覚なんですよ。

それと比べると、富山がどれだけ恵まれているかがわかります。

アメリカみたいに何もない国でも、みんなバンバン子どもを産んでるのに、どうして富山が少子化になるのか、理由がわからないくらいで (笑)

アッティ
「なんでみんな富山に住まないんだろ?」という感じですね。

藤田彩乃さん
富山は本当に、かなり恵まれてると思います。

アッティ
そういう想いを、ぜひ広げていってほしいですね。

富山県内で大好きな飲食店

シェ・ヨシ

公式HP

住所:富山県富山市舟橋南町2-22 高志の国文学館内

アッティ
富山でお気に入りの飲食店があれば、教えていただけますか?

藤田彩乃さん
高志の国文学館にある「シェ・ヨシ」さんですね。

実は、シェ・ヨシさんは昔「アポロ・イングリッシュ・アカデミー」が入っているビルの1階でお店をされていて。

それが今では文学館のほうに移転されて、ますます立派なお店になられました。

昔から通っていて「美味しいな」と思っていたので、やっぱり料理を評価されて、今の場所に行かれたんだなと納得しました。

アッティ
今でも行かれるんですか?

藤田彩乃さん
はい。おせちは必ずシェ・ヨシさんにお願いしています。

「シェ・ヨシさんのおせちを食べないと、年を越せない」という感じです。

アッティ
いいお店ですよね。

藤田彩乃さん
私、生ハムとかスモーク系の食べ物が好きなんですけど、シェ・ヨシのシェフは、まさにそういう料理が盛んな地域で修行された方なんです。

アポロ・イングリッシュ・アカデミーの下にお店があった頃は、16時くらいになると、もうすごくいい匂いがしてきて。

「お腹減ったね〜」なんて言いながら、17時くらいになると「(匂いで食べたくなるから) この場所、きついね…(笑)」って感じでした。

アッティ
それはもう、匂いの誘惑との戦いですね (笑)

藤田彩乃さん
めちゃめちゃいい匂いがしてました。

アッティ
いいですね~。

リクエスト曲

「動画を再生できません」と表示されている場合、「Youtubeで見る」をタップすると見られます。

アッティ
藤田さんのリクエスト曲を1曲、教えてください。

藤田彩乃さん
テイラー・スウィフトの「Fearless (フィアレス)」という曲です。

アッティ
どうしてこの曲を選ばれたんですか?

藤田彩乃さん
娘が2人いるんですが、今、その2人がこの曲にすごくハマっていて。

アッティ
娘さんたちのお気に入りの曲なんですね。

藤田彩乃さん
はい。すごくお世話になった方に子ども用のギターをいただいて、それがきっかけでテイラーの曲を聴いてみたら、ハマっちゃって。

それで「ギターを習いたい」と言い出して、今は教室にも通っています。

アッティ
娘さんが!? それはすごいですね!

藤田彩乃さん
今は弾き語りまでやってます。

アッティ
娘さんも英語に興味を持たれてるんですか?

藤田彩乃さん
うちは、家庭内の会話は英語にしていて。

家族4人でいるときは、問答無用で英語オンリーなんですよ。

アッティ
じゃあ日本語と英語、両方で会話されてるんですね。

藤田彩乃さん
日本語と英語、両方を使えるようにしたいと思っています。

アッティ
ありがとうございます。

それでは、藤田彩乃さんのリクエスト曲、テイラー・スウィフトの「Fearless (フィアレス)」です。

アッティの英語の発音、大丈夫でしょうか?

藤田彩乃さん
はい、大丈夫です (笑)

これからの夢や目標について

要約

藤田彩乃さんは、英語を学ぶことで人生の可能性が広がると実感しており、多くの人に英語を身につけてほしいと願っています。

特に子どもたちには、楽しみながら学べる環境を整えてサポートしていく予定です。

アッティ
これからの夢や目標についてお聞かせください。

藤田彩乃さん
今は英会話学校をやらせてもらっているんですが、「英語ができるようになると、本当にチャンスが広がるな」と日々感じています。

だからこそ「もっとたくさんの人に英語を身につけてもらえたら嬉しいな」と思っているし、そのお手伝いができたら本当に嬉しいです。

実際、受講生の中には、英語をきっかけに海外に行ったり、東京で新しい人生をスタートさせたりする方もいて。英語がその人の可能性を広げているのを見ると、やっぱり嬉しいんですよね。

これからの子どもたちにとっても、英語って絶対に損にはならないと思っています。特に「小さい頃から始めると、耳も育ちやすいな」って、自分の経験からも感じているので。

「無理なく、楽しく続けられるようにサポートしていけたらいいな」と思っています。

アッティ
ありがとうございます。全4回にわたり、藤田さんにお話を伺ってきました。

英語教育に加えて、翻訳や通訳などのご経験を通じて、富山と世界をつなぐ架け橋となっている藤田さん。これからも、益々のご活躍を期待しております。

藤田彩乃さん
ありがとうございます。

アッティ
今月のゲストはアポロ・イングリッシュ・アカデミー代表の藤田彩乃さんでした。藤田さん、どうも1ヶ月間ありがとうございました。

アッティ
この番組のこれまでの放送は、ポッドキャストで聞くことができます。FMとやまのホームページにアクセスをしてみてください。

お風呂の中でのぼせてまいりましたので、そろそろあがらせていただきます。アッティでした。

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