こんにちは、アッティです。
「アッティの熱湯とやま人」は、富山のために熱い気持ちを持って頑張る人の本音に迫る番組!
今回のゲストは、氷見市ビジネスサポートセンター センター長の岡田 弘毅 (おかだ ひろき) さんです。※任期2020年3月〜23年3月
富山県氷見市で「お金をかけずに売り上げを上げる」をキーワードに、日々県内の事業者の経営相談に乗り、相談件数はなんと3年半で4,000件以上という、大活躍の岡田さんに熱く迫っていきます!
この記事は、FMとやま 金曜17:15~17:25放送のラジオ「アッティの熱湯とやま人」の編集前データを、ほぼノーカットでまとめたものです。
放送では流れなかった裏話も含め、お楽しみください。
岡田弘毅さんの経歴
氷見市ビジネスサポートセンターの仕事
2020年6月に始まった「氷見市ビジネスサポートセンター」は、自治体運営の無料経営相談所です。
中小企業や起業希望者に売上向上や起業方法のアドバイスを行い、結果が出るまで伴走支援しています。
アッティ
何やら最近、氷見のまちが非常に活気づいてきた感じがしています。これはやっぱり、岡田さんの影響なんですか?
岡田弘毅さん
(笑) いや、私の影響だけではないと思うんですけど、新しいチャレンジがどんどん生まれてきて、にぎやかな街になってると思います。
アッティ
それでは1回目ということで、まず最初に「氷見市ビジネスサポートセンター」について、簡単にご説明いただけますでしょうか?
岡田弘毅さん
Himi-Biz (ヒミビズ:氷見市ビジネスサポートセンター) は、2020年6月にスタートした取り組みです。
やっていることは、自治体が運営する無料の経営相談所で、「ビズモデル」というものを取り入れて活動しています。
事業者の皆さんの「どうやって売り上げを上げていったらいいんだろうか」とか、「会社を辞めてお店を作りたいんだけど、どうやって起業したらいいんだろうか」というような相談を、何度でも無料でお受けして、結果が出るまで伴走させていただいているというのが、簡単な説明になります。
アッティ
中小企業の方々などの相談に乗るのは、当然、それなりの知識や経験がないとできない話だと思います。
岡田さんが、どんなふうに力を身につけてこられて、どんなふうに皆さんにアドバイスされてるのか、そんなお話を聞いていきたいなと思っています。
幼少期の岡田弘毅さん
岡田弘毅さんの出身は、広島県呉市です。幼少期は、祖父母が営む牛乳配達店の仕事に同行。
配達の際に運転する祖父の後ろでこっそりヤクルトを飲んでいました。
アッティ
今は氷見にいらっしゃいますけど、元々の生まれはどちらでいらっしゃいますか?
岡田弘毅さん
出身は、広島県の呉市になります。
アッティ
もともと幼少期は、どんな感じのお子さんでいらっしゃったんですか?
岡田弘毅さん
幼少期は、本当にごく普通の子どもだったと思います。
実家のおじいちゃんおばあちゃんが、家業で牛乳配達店を営んでいて、牛乳配達をしてるときに、私も一緒に同行していたと聞いています。
牛乳と一緒にヤクルトやヨーグルトなども配ってたみたいなんですけど、運転をするおじいちゃんたちの後ろで、こっそり商品のヤクルトを飲んでいた (笑)
アッティ
(笑) 内緒で飲んでいたんですね
岡田弘毅さん
ちょっと大きくなってから教えてもらいました。
内定を辞退して進学
岡田弘毅さんは地元愛が強く、「広島から出たくない」と大学まで広島で過ごしていました。
ある日、学生時代に見たホリエモンの選挙演説に影響を受け、すでに決まっていた内定を辞退。そこから経営を学びたいと考えるようになります。
その後、石川県の北陸先端科学技術大学院大学に進学し、経営を中心に2年間学びました。
アッティ
広島の呉で幼少期を過ごされて、学生時代も広島だったんですか?
岡田弘毅さん
大学までは広島でした。
富山の方もそうだと思うんですけど、広島県民は地元愛が強いんですよ。私も漏れずに地元愛が強くて「広島から出たくない」と思って、大学生までは過ごしていました。
一方で、ある出会いがあったんです。私は尾道の大学に進学して、そのときの広島区の選挙にホリエモンさんが参加されていて。
アッティ
出馬してらっしゃいまいしたよね。
岡田弘毅さん
講演を聞きながら「経営者の仕事とか、会社の経営って何か面白そうだぞ」と思い始めて、経営のことをもっと知りたくなりましたね。
アッティ
選挙の講演を聞いて、「むしろ経営が面白そうだ」って思い始めたんですね。
岡田弘毅さん
そうですね、ホリエモンの選挙講演がきっかけでした。
当時は、ホリエモンがフジテレビを買収するorしないみたいな話で、すごい注目されていて時の人 (ときのひと) だったんですよね。
そんな人たちの活動を聞いていると「IT企業を経営していて、なんか面白そうだぞ」と。
アッティ
堀江さんの選挙講演では、経営の話もたくさんされていたと思います。その話を聞いて、経営に興味を持ったと。
岡田弘毅さん
そうですね、さらに経営に関心を持つようになりました。
当時は大学3回生で、もう内定をもらって就職活動は終わっていたんですけど、改めて「この人生でいいのかな?」と考え始めて。
経営のことを勉強できる環境に身を置きたいと思い、内定を辞退させていただいて、石川県の「北陸先端科学技術大学院大学」という学部のない国立の大学院で勉強をさせていただきました。
アッティ
大学院に行かれたんですね。
岡田弘毅さん
そうなんですよ。
アッティ
じゃあそのとき、実はもう、北陸に来られてたんですね?
岡田弘毅さん
そうなんです。実は、石川県に2年住んだ経験があります。
アッティ
そこで2年間ですか?
岡田弘毅さん
はい。2年間、経営のことを中心に学ばさせていただきました。
船井総研での貴重な経験
岡田弘毅さんは大学院卒業後、経営コンサルタントを目指し、中小企業支援で有名な船井総研に就職します。
厳しい環境での自己研鑽と多くの労働を通じて成長。新卒でありながら経営者と直接話す機会を得るなど、貴重な経験を積みました。
アッティ
就職はどういった会社さんに行かれたんですか?
岡田弘毅さん
大学に行くときは、明確に「経営に関わるお仕事をしたい」という気持ちがありました。
それと、入っていたゼミの教授が老舗コンサルティング会社の経営者をされていたんですね。
それもあって、経営コンサルタントの仕事に関心を持ち、そのまま中小企業の支援をする会社に就職させていただきました。
アッティ
それは、どちらの会社ですか?
岡田弘毅さん
船井総研という中小企業中小企業のコンサルティング会社です。
アッティ
中小企業のコンサルとしては、有名な会社さんですよね。
岡田弘毅さん
はい。
アッティ
船井総研さんって、相当大変だったんじゃないですか?
当時の時代背景もあると思いますが、当然いきなりコンサルはできないじゃないですか。
岡田弘毅さん
はい。
アッティ
相当下積みが激しいイメージありますけど、どうでしたか?
岡田弘毅さん
本当にありがたい話で、最低限の生活をさせていただきつつ、自己研鑽ができる環境がたくさんあり、非常にたくさん働いてきました。
普通の仕事と違ったのは、新卒であるにも関わらず、経営者の方々と膝を突き合わせて話をさせてもらう経験ができたことですね。
この経験は、非常に大きくて変えがたいものです。
アッティ
そこから氷見に来た理由などについては、また次回お聞きしていきたいなと思います。
氷見移住と仕事
氷見市に移住した経緯
岡田弘毅さんが、転職を考え始めたのは母親の病気がきっかけでした。
「ビズモデル」という自治体運営の無料経営相談サービスに興味を持ち、広島と氷見の両方に応募。母親が亡くなったあと、氷見市からの誘いを受け、移住を決意しました。
アッティ
前回は、生い立ちから学生時代までと、そこから地元広島を出て経営コンサルの船井総研に就職された話をお聞きいたしました。
経営コンサル時代は、相当大変な下積みをしながら多くのことを学ばれたと思います。そこで経験を積まれて、なぜ氷見に移住しようとされたんですか?
岡田弘毅さん
私事なんですけど、私は3兄弟の長男で、弟と妹がいます。兄弟はみんな実家から離れているので、父と母は二人暮らし。
母が早期退職をして3年ぐらい経ったときにガンを患い、「3人いるうちの誰かが近くにいた方がいいんじゃないか?」と考えるようになったのが「会社を辞めて違うことをやろう」と考えたきっかけなんですね。
いろんなことを探していく中で、たまたま今の「ビズモデル」に出会います。出身地の呉市の隣町、東広島市で「新しいセンターを作る」という話が目に飛び込んだんですね。
同じタイミングで「氷見市も開設します」という話があって、書類は何回提出しても大丈夫ということだったので「面白そうなので両方出してみよう」と。
アッティ
広島と氷見を受けたんですね。
岡田弘毅さん
そうですね、これがきっかけになります。
アッティ
ちょっと戻っちゃうんですけど、「ビズモデル」っていうのは一体どういうものなのですか?
岡田弘毅さん
もともとは、静岡県富士市で始まった産業支援の取り組みになります。
小出さんという創業者の方が作られた無料の経営相談のモデルで、今、全国の20以上の自治体に広がっている状態です。
アッティ
自治体でやられてるんですね。
岡田弘毅さん
自治体ごとに運営しています。
アッティ
それが広島と氷見にあり、両方を受けて、氷見の方に受かって来られたと。
岡田弘毅さん
氷見市から「一緒にやりませんか?」とお声がけをいただきました。
アッティ
なるほど。
岡田弘毅さん
その過程で、実は母親が亡くなってしまって、私が実家に帰る理由はもうなくなっていたんですね。
そもそも取り組みが面白そうでしたし、母親が平均寿命より早めに亡くなってしまったので「やりたいと思ったことをやらないで後悔するより、やった方がいいよね」と思って。
それがきっかけで「やろう!」と決断して、氷見に行こうと思いました。
アッティ
なるほど。
氷見市に移住した感想
岡田弘毅さんは氷見市に移住して、海越しの立山連峰の景色に感動。さらに、美味しい魚や、獅子舞などの豊かな文化も魅力的だと感じました。
氷見市の人々も面白く、優しく受け入れてくれたことが嬉しかったです。
アッティ
実際どうですか? 氷見に来て、住んでみた感想は。
岡田弘毅さん
最初に氷見に来てびっくりしたのは、やっぱり海越しの立山連峰の景色です。
もう、びっくりしました! 「こんなにすごい景色があるところなんだ!」って。
アッティ
それも毎日ですもんね。
岡田弘毅さん
見られると、すごく幸せな気持ちになります。
アッティ
なるほど。
岡田弘毅さん
美味しいお魚があるのは知っていましたが、獅子舞などの伝統行事があり、文化的な面でもすごい豊かな地域だと思いました。
何より、やっぱり人が面白いし優しいのが、私自身すごく嬉しかったですね。
アッティ
人が面白い、優しい。
岡田弘毅さん
はい。
アッティ
なるほど、氷見市はそういうまちなんですね。
今、氷見市でコンサルをされていて、相談のニーズは相当あるものなんですか?
岡田弘毅さん
あると思います。
氷見ビスが立ち上がった2020年6月のタイミングは、新型コロナの影響が大きくなってきた頃だったので「どうしていったらいいだろうか?」って相談が本当に多かったです。
新型コロナが少し落ち着いた今は「どうやって売り上げを上げていこうか」とか。
最近多いのは「自分のお店を持ちたいんですけど」という創業希望のご相談。「特に女性の方が非常に増えてきたな」と思います。
アッティ
なるほど。
相談の多い業種とは
岡田弘毅さんは、すでに約4,000件の経営相談を受けています。
その中には、ゼロから店舗を立ち上げる案件も多数。特に多いのは、飲食店や、美容室、脱毛サロン、ネイルサロンなど、比較的小さく始められるビジネスです。
アッティ
すでに4,000件ぐらいの相談に乗ってらっしゃいますけど、店をゼロから作るという相談が何件もあるそうですね。
岡田弘毅さん
そうですね。いくつもお手伝いさせていただいてます。
アッティ
どういう業種が多いものなんですか?
岡田弘毅さん
多いのは飲食店さんとか、あるいは美容ビジネスですかね。
美容室、脱毛サロン、ネイル。そういった比較的小さくスタートできるビジネスが非常に多いなって印象です。
アッティ
なるほど。
あらゆる事業のコンサル
岡田弘毅さんは、前職では弁護士専門のコンサルタントでした。
しかし現在は、多様な業種に対応しています。新しい分野の相談を受けた際には、まず相談者から学ぶことから始め、自身でも案件ごとに勉強。その上で、相談者と共に最適な方向性を模索する手法を取り入れています。
アッティ
相談に来られるのは、皆さん違う業種ですよね。
船井総研さんでの様々な経験から「こういう解決の仕方があるよ」とは言えると思いますが、当然、岡田さんが全部の業種を経験されてるわけではない。
こういうコンサルをするときって、業種はあんまり関係ないものなんですか?
岡田弘毅さん
前職時代は今とはむしろ逆で、やっぱり業種に特化してましたね。
私自身は7年間、弁護士の先生たちを専門にコンサルティングをさせていただいてました。
アッティ
弁護士の先生のコンサルだったんですか。
岡田弘毅さん
はい。
アッティ
弁護士の先生を専門でコンサルされていたところから、今は、美容院、飲食と、あらゆるものの相談に乗っている。
これは、一つ一つの仕事を相当学ぶものなんですか?
岡田弘毅さん
もちろん学んでいかないといけないです。でもやっぱり、その事業をやりたい方々は一生懸命勉強されてるんですよね。
ですので、基本的には相談者さんに教えていただくところからスタートして、わからないところは私も追加でリサーチさせていただきながら業界の知識を深めていき、一緒に方向性を考えさせていただいてます。
アッティ
じゃあ、その都度なんですね。
岡田弘毅さん
そうですね、日々勉強して。
アッティ
「新しい話が来ました」って言われたら、勉強からスタートしてってことで。幅広くやるんですね。
岡田弘毅さん
はい。
アッティ
なるほど、ありがとうございます。
少しお仕事の話が出てきましたので、3回目は、より深掘りしたお話を聞いていきたいと思います。
氷見での経営コンサルの内容
相談件数の多い課題
経営相談の内容の多くは、大きく二つに分類されます。
一つは既存事業者による新規顧客獲得などの売上アップに関する相談。もう一つは、起業希望者による収益性のあるビジネスモデルの構築や、資金調達方法に関する相談です。
アッティ
日々、経営相談やコンサルを中心に行われており、飲食店や美容院などの様々な業種の課題についてアドバイスをしている話がありました。
実際、どういう課題が多いものですか?
岡田弘毅さん
既存で事業をやっていらっしゃる方であれば、「どうやって新規のお客さんを増やしていこうか」という、売り上げアップに関するご相談が多いと思います。
これから事業を始めたい方であれば、「どうやってお金を稼ぐビジネスモデルを作っていったらいいか」とか「お金をどういうふうに調達していったらいいか」って相談もありますね。
もう本当に、多岐にわたる相談が来てるかなとは思います。
アドバイスで意識していること
岡田弘毅さんは、第三者的目線からアドバイスすることを大事にしています。相談者に共通して話す内容は「業界調査」「強み発見」「情報発信」の3つです。
特に重要なのは、経営者が気づいていない強みを見つけ出すこと。店を始めた理由や経営者の経験がヒントになっており、これらを「見える化」して発信するのが重要なポイントです。
アッティ
たとえば飲食店の場合「どうやって売り上げを立てればいいんですか?」って質問をしたら、どういうアドバイスをいただけるものなんですか?
岡田弘毅さん
皆さんに共通して言うことが、3つあります。
1つ目は「まず業界のことを調べる」ということ。
アッティ
業界のことを調べる。
岡田弘毅さん
やっぱり皆さん、日々の経営がお忙しく、業界でうまくいっている取り組みを知らないことも多いです。
「まず、そこを調べるところからやってみませんか?」って話をしています。
アッティ
なるほど。
岡田弘毅さん
やっぱりそこに結構ヒントがあるので、そのヒントを一緒に見つけていくってのが1つ。
2つ目は「それぞれのお店に必ず特有の強みになるセールスポイントがあるはず」ということです。
皆さんセールスポイントをお持ちなんですけど、自分ではなかなか認識できてないんですよね。
アッティ
そういうのを認識させるんですね。
岡田弘毅さん
あるいは、当たり前になってしまってるので、それをアピールされてないんですよね。
アッティ
これは、第三者から見た方がわかりやすいですよね。
岡田弘毅さん
客観的な視点が大切だと思います。
セールスポイントを把握した上で、今度はそれを誰かに伝えないといけないわけですね。
アッティ
伝える。
岡田弘毅さん
3つ目が、情報発信。
たとえば飲食店であれば「今インスタグラムやってないんだ」とか「Googleマップの投稿とかもやってないんだよね」って話であれば、「どこからやりましょうか」というのを、1個1個形にするお手伝いをしていますね。
アッティ
経営をやっていると「うちの会社は強みがないんだよ」「0から作らなきゃいけないんで、ちょっと一緒に作ってよ」みたいな話が多いじゃないですか?
ある程度は皆さん強みを持ってらっしゃるけど、そこに気づいていないってのが一番の問題であり、考えなきゃいけないところなんですね。
岡田弘毅さん
もちろん、強みを作る必要がある場合もあります。でも、強みのきっかけになってるのは、皆さんの原体験なんですよね。
「なぜそれをやろうと思ったか」っていうのが、そもそもの強みになることがたくさんあるので、よくお伺いするのは、生い立ちや「何でこれをやろうと思ったんですか?」という話ですね。
アッティ
面白いですね。同じ飲食のカフェだったとしても、それぞれ「なぜやろうかとしたか」という目的の違いが強みになる可能性があると。
岡田弘毅さん
そうですね、そこの部分が「見える化されていない」のは、よくあるかなと思います。
アッティ
その整理は自分じゃできないですよね。
岡田弘毅さん
そうですね。誰かに話していくと自分の中で整理できることもありますし、紙に書いていると「こういうことがあったよね」って思い出すこともあるかなと思います。
アッティ
話を聞いたら、今やられているコンサルのイメージがよくわかりました。
サポートの成功例
岡田弘毅さんが受けた相談の中で、住宅解体業の成功事例があります。
この会社は屋敷林の伐採を副業的に行っていましたが、アドバイスを受けて本格的に事業化。林業専門家との連携や効果的な広報により、初年度に2,000万円の売上見込みを達成しました。
岡田さんは、新規提案よりも既存の強みを活かすやり方を重視し、お金をかけずに売上を上げる「ビズモデル」を軸に活動しています。
アッティ
たとえば「これは自分がサポートして大成功した」みたいな事例ってありますか?
岡田弘毅さん
直近でいうと「何か地域に貢献できるような仕事、取り組みがしたい」とHimi-Biz (氷見ビズ) にお越しいただいた住宅の解体業の会社さん。
「どんなことをやれそうですかね?」ってことで、過去やられたことをいろいろ聞いていくと「屋敷林の伐採をやっている」って話をされたんですね。
面白いのが、会社名に「木」が入ってるので、林業関係の会社だと勘違いして「伐採できませんか?」と電話がかかってきたこと。
アッティ
なるほど。
岡田弘毅さん
その社長は優しいので、断らずに「解体業のノウハウでできるところはサポートする」と言って、伐採のサポートもやってきたんですよ。ただ「これは本格的にやってるわけではない」と。
一方で「屋敷林」っていうのは、管理が社会的な課題になってるんですね。ですから、実は、すでに社会貢献をされていたっていう。
そこで「屋敷林の伐採を大々的にやるのはどうですかね?」と提案すると、「難易度が難しいのは、どうしてもできないんだよね」とのことだったので「そこはプロに頼みましょう」と、林業の専門家とのネットワークを作った上でサービスを告知していったんですよ。
初年度の売り上げを伺ったら「2000万ぐらいは見込み売り上げが立った」って話をされていました。
告知してなかったものを告知したっていうシンプルな話なんですけど、結構、そういった取り組みは多いんじゃないかなと思いますね。
アッティ
第三者の目線で事業を見て、経営者や会社さんが気づいてないことをしっかりとお伝えしてあげる。
なんとなく「横でそっと課題解決をサポートしてあげる」みたいな感覚なんですかね。
岡田弘毅さん
新しいものを提案するというよりは、皆さんがもともと持っていらっしゃる想いを少し軌道修正させていただき、それを形にしていくことが多いかなと思います。
アッティ
「何か一緒に新しい商品を作りましょう」というよりは、「今持ってらっしゃる力を、より表に出しましょう」っていうのが強いということですよね。
岡田弘毅さん
そうですね。われわれも「お金をかけずに売り上げを上げる」ということを頑張ってますので。
まずは、今あるものを活かしてやっていくことを大事にしています。
アッティ
「お金をかけずに」というのが、一つテーマなんですよね?
岡田弘毅さん
はい。
アッティ
結局は「自分たちが最初から持ってる力だから、お金をかけなくてもいいでしょ」っていうところですよね?
岡田弘毅さん
そうですね。
アッティ
なるほど、面白いですね。ありがとうございます。
今回は、実例などを聞かせていただきました。次回は、この地域に来てこれだけの経験をされている岡田さんが「どんな事業をしてみたいか」という話をお聞きしたいなと思います。
富山での地域課題への取り組み
地域課題の解決の鍵
岡田弘毅さんは、個別店舗だけでなく地域全体の問題解決に取り組んでいます。
地域課題の解決には、地域に根ざしたビジネスの促進が重要です。Himi-Bizは地域の人々の相談相手となり、小さな課題を一つずつ解決することで地域改善を目指しています。
アッティ
岡田さんは氷見というエリアに来られて、1店舗1店舗に対しての経営相談だけでなく、商工会や氷見市自体など、地域との連携もたくさん行われてると思います。
その経験を踏まえて、地域の課題解決をどうやって行っていくべきだと思いますか?
岡田弘毅さん
私がお伝えできる地域の課題解決は、どうしても商業ベースになってしまいます。
基本的にビジネスって、誰かのお悩み事を解決した対価としてお金をもらうってことだと思うですよね。
アッティ
そうですよね。
岡田弘毅さん
私が考えてるのは「地域に根ざしたビジネスをしたい」という方を増やして、地域の課題を自分たちで解決していく。また、そういった雰囲気や空気感を増やして作っていくことが、課題解決に必要だと思っています。
そのとき課題になってくるのは、日々の生活で「課題だな」って思う事があっても、それがそのまま流れてしまうことだと思うんですね。
アッティ
なるほど。
岡田弘毅さん
何で流れてしまうかというと、相談相手がいないからだと思うんですよ。
われわれHimi-Biz (氷見ビズ) は、そういう方々の相談相手になれたらいいなと思っています。そうして地域の課題が1個1個解決していけば、小さいかもしれないですけど、地域は良くなるのではないかなと。
アッティ
「相談相手がいない」って、その通りだと思います。
相談って、最初のうちは「答えをくれるだろう」と思いながらするんですけど、実際はずっと自分が喋っていて、終わってみたら納得してるところがある、みたいな。
ポンポンとアドバイスというよりは、話を聞き出して情報を繋いでいただいてるような気がするんですよね。
岡田弘毅さん
そうですね。
アッティ
気づいたら自分の頭の中が整理されていて、満足して帰っていくみたいなね。これは経営に限らず、いろんな場面であるような気がします。
岡田弘毅さんがやってみたい事業
岡田さんは、地域の魅力を発信し、寄付金を地域で活用する仕組み作りに取り組みたいと考えています。
2022年度のふるさと納税額で、富山県は全国最下位。県の魅力を活かしたファン作りや、地域内での経済循環が課題です。
岡田弘毅さんが問題視しているは、富山県のふるさと納税寄付金額が最下位であることと、ふるさと納税の仲介業者が県外であることです。
ふるさと納税の制度を活用すれば、もっと富山のファン作りができると考え、自身で取り組みたいと思っています。
アッティ
いろんな業種の皆さん方の問題解決、相談相手に乗ってらっしゃる岡田さんが、もし、今のコンサルじゃなくて「何か事業をやろうかな」と思ったら、どういう事業をやってみたいと思われますか?
岡田弘毅さん
富山に来て、ちょっと課題として思うのは、こんなに豊かな地域なのに、ふるさと納税の寄付金額が最下位…
アッティ
最下位ですよね。
岡田弘毅さん
46位だったんですよね。ふるさと納税という制度は、もともとファンを作っていくための取り組みなのに「なんてもったいないんだ」と。
「ちゃんとやっていけば、もっと富山の魅力を知ってもらうようなファン作りができるんじゃないか」と思ってまして、それをやれたらいいなっていうのは思っています。
もう1個の課題は「ふるさと納税」という仕組みです。自治体がそれぞれやってるわけじゃなくて、中間に事業者さんが入っているんですけど、これが大体県外なんですよね。
アッティ
そうですね、わかります、わかります。
岡田弘毅さん
ふるさと納税は、たとえば「東京から寄付を集めて、その地域で活動費に充てていく」みたいなイメージなんですけど、それがなぜかまた東京に戻っていってしまう仕組み…
アッティ
仲介業者さんが東京なので、そこがマージンを全部取っていくという。
岡田弘毅さん
「なぜだ?」って思うので、「各地域にそういったサポートをする機関を作っていけたらいいな」とは思っていますね。
アントレプレナー道場の取り組み
「アントレプレナー道場」は、氷見市の5ヶ月間の起業支援プログラム。月1回の集まりでビジネスモデル構築を学べます。
アイデアからマーケティングまで幅広く指導し、プログラム後も販路開拓を支援。実際に商品化や起業に成功した例もあり、地域発の起業を総合的にバックアップしています。
アッティ
「アントレプレナー道場」みたいなものも開かれてると聞いたんですけど、どういった内容なんですか?
岡田弘毅さん
これは氷見市を中心に、新しく事業をやってみたい方々のきっかけを作る取り組みで、ゴールが「ビジネスモデルを作っていくこと」です。
そのために「どうやってアイディアを見つけるんだっけ?」ということや、マーケティングやデザインなどを学ぶ必要があります。
「学ぶ機会を提供しながら、皆さんのビジネスモデルを一緒に考えていく」ということを、アントレプレナー道場で4年間やっています。
アッティ
たとえば、私がこれを受けたいって話になると、どのぐらいの期間で受けられるんですか?
岡田弘毅さん
一応、5ヶ月間のプログラムになってまして、集まるのは毎月1回です。
その間の期間は、学んだことを活かして、皆さんの考えてることをブラッシュアップしていく時間に充てていただいています。
アッティ
これは面白いですね。そこから成り立ったビジネスプランって、実際あるんですか?
岡田弘毅さん
ありますね。ビジネスプランは、事業を作っていく方もいますし、商品を作っていくのをゴールにされてる方もいます。
でも、アントレプレナー道場に参加して新しい商品を作るだけというのは「私達らしくないな」と思っているんですよ。ですので、そのあとのテストマーケティングのお手伝いもさせていただいてます。
たとえば、今さっき話があった「ふるさと納税」を使ったテストマーケティングの支援をしたり。
その他には、今年1月に、東京「日本橋とやま館」の富山県のアンテナショップを借りて、テストマーケティングの機会を作るお手伝いをしたりもしました。
その事業者さんは、実際に商品化して、今年から発売されています。
アッティ
なるほど。
岡田弘毅さん
今月、新しいお店をオープンされる事業者さんもいます。
予想外だった移住の大変さ
岡田弘毅さんは、氷見への移住で最も心配していた「地域での受け入れ」については、温かく迎えられ安心しました。
しかし予想外の困難として、2020年の移住直後、三日三晩の雪かきに直面。予想外の大雪に苦労しましたが、地域の高齢者が頑張る姿を見て励まされ、文句は言えないと感じました。
アッティ
急に移住の話になっちゃいますけど、移住の大変さってどういったところにありますか?
岡田弘毅さん
移住してきて一番心配していたのは「地域で受け入れていただけるかどうか」だったんですよね。
アッティ
そうですよね。
岡田弘毅さん
私の場合は、氷見の皆さんに温かく受け入れていただき、可愛がっていただいてるので、本当にありがたいなと思っています。
一方で「ちょっとこれは大変だったな」と思うのが、やっぱり雪ですね。
アッティ
そこですか。
岡田弘毅さん
石川県に住んでたので「雪は大丈夫だろう」という認識だったんですけど、2020年6月に来てですね、1年目に大雪がありまして…
アッティ
大雪、ありましたね。
岡田弘毅さん
三日三晩雪かきをして「これが毎年続くと大変だぞ…」と思いました。
アッティ
そうですね。
岡田弘毅さん
でも、地域のおじいちゃんおばあちゃんたちは、みんな朝やってるんですよね。
それを見ると、文句を言えないし、頑張らないと (笑)
アッティ
(笑) いきなりのスタートが重すぎましたね。
岡田弘毅さん
そうですね。
アッティ
あの年は本当に、われわれ昔から住んでる人間にしても、生まれて初めてぐらいの一番重たい雪でしたから。
では、今回は以上とさせていただきたいと思います。
富山への想い&オススメ店&リクエスト曲
ふるさと富山について
岡田弘毅さんは、もともとは広島出身ですが、富山を第二のふるさとと感じています。大阪や神奈川での暮らしを経験した上で、富山では初めて強い地域愛着を持つようになりました。
これからも、富山の良さを多くの人に知ってもらいたいと考えています。
アッティ
3年半で4,000件の相談、全部が氷見でないとしても、相当な数、氷見の相談に乗っていらっしゃいますよね。
岡田さんって、氷見のまちでは超有名人になっていらっしゃるんじゃないですか?
岡田弘毅さん
いろんなところでお声掛けいただくことは、すごく増えています。
直近では、富山マラソンを走ったんですけど「完走したんだね」みたいな。
アッティ
もともとは広島がふるさとでいらっしゃいますが、この富山も、だんだんふるさとのようになってこられてるんじゃないかなと思います。
ふるさと富山について、何か想いってありますか?
岡田弘毅さん
もう、富山は第二のふるさとになっています。
住んでる時間でいうと、私は横浜に7年住んでいたり、大阪に4年住んでいたりしたので、まだそちらの方が長いんですけども。
でもこれまで、地域に愛着を持つってあまりなかったんですよ。ただ、この富山に来てからは、地域のことをすごく考えるようになりました。
それに、地域の皆さんと「将来、この富山はどうなっていくんだろうか」って考える機会がすごく増えて。
富山の良いところを、より多くの人に知ってもらいたいし、私達自身も楽しんでいきたいと考えるようになっています。
アッティ
氷見にこうやって根を張られている岡田さんだからこそのお話ですね。
お気に入りの飲食店
よし久 (よしひさ)
HPなし
住所:富山県氷見市朝日本町2-28
アッティ
お気に入りの飲食店ってどこかありますか?
岡田弘毅さん
私が氷見市に来て、初めて連れて行っていただいた飲食店で「よし久」さん。
こちらによくお世話なっています。
アッティ
「よし久」さん。
岡田弘毅さん
そこのお母さんが、すごい個性的な方で、非常にかわいがっていただいてまして。
ことあるごとに「よし久」さんに行って、皆さんとお食事させていただく機会が多いです。
リクエスト曲
アッティ
岡田さんの大好きな1曲をリクエストしていただきたいと思います。
岡田弘毅さん
WANIMAさんの「やってみよう」という曲をリクエストさせていただきます。
アッティ
こちらはどういった想いがあるんですか?
岡田弘毅さん
私自身、人生で「やりたいことをやらずに後悔するより、やって失敗したとしても、笑い話にしてしまえばいい」というのを大切にしていて。
チャレンジしたいときに応援してくれる曲だと思っています。
これからの夢や目標について
岡田弘毅さんの目標は、「やってみよう」の精神で、地域住民の挑戦を応援することです。
自分自身も富山でチャレンジし続けて、その結果として富山がわくわくする面白い地域になり、多くの人が訪れる場所になることを目指しています。
アッティ
最後の最後になりますが、岡田さんのこれからの夢、目標についてお聞かせいただけますか?
岡田弘毅さん
リクエスト曲の「やってみよう」と同じで、皆さん何かやりたいことってきっとおありだと思うんですよね。
もし、お1人で悩んでいらっしゃる方がいらっしゃるとすれば、お話を伺った上で、皆さんの「やってみよう、チャレンジしよう」を応援していきたいなと思います。
私自身も皆さんに負けじと、どんどんこの富山でチャレンジしていきたいです。
結果的に、富山がより楽しくてわくわくする面白い地域になり「最近、富山って面白そうだよね」って、いろんな地域から人が遊びに来てくれるような状況を作っていきたいと思っています。
アッティ
昔から富山に住んでる私達以上に、富山、そして氷見に馴染んでいただいて、今はもう欠かせない存在になっていらっしゃる岡田さん。氷見だけじゃなくて、富山に対しても多くの影響を与えられることをご祈念申し上げております。
それでは今月のゲストは、氷見市ビジネスサポートセンター センター長、岡田弘毅さんでした。岡田さん、1ヶ月間ありがとうございました。
岡田弘毅さん
ありがとうございました。
アッティ
この番組のこれまでの放送は、ポッドキャストで聞くことができます。FMとやまのホームページにアクセスをしてみてください。
お風呂の中でのぼせてまいりましたので、そろそろあがらせていただきます。アッティでした。