こんにちは、アッティです。
「アッティの熱湯とやま人」は、富山のために熱い気持ちを持って頑張る人の本音に迫る番組!
今回のゲストは、株式会社文苑堂書店 代表取締役の吉岡 幸治 (よしおか こうじ) さんです。※2023年11月現在
あのドラえもんの作者も通った富山県が誇る書店を運営。そして本屋とは、知性、そして教養、感動の場であると位置づける、吉岡さんに熱く迫っていきます!
この記事は、FMとやま 金曜17:15~17:25放送のラジオ「アッティの熱湯とやま人」の編集前データを、ほぼノーカットでまとめたものです。
放送では流れなかった裏話も含め、お楽しみください。
文苑堂書店と吉岡幸治さん
文苑堂書店の進化
文苑堂書店は、富山県内で書店を中心に多様な物販サービス業を展開。書店、TSUTAYA、B&Bハウス、リユース店など22店舗を運営し、近年は複合店化を推進しています。
元々は高岡駅前の書店からスタートし、藤子不二雄氏も通った歴史ある店です。吉岡さんと父も藤子不二雄両氏の後輩にあたり、地域との深い繋がりを持つ企業として成長してきました。
アッティ
吉岡さん、1ヶ月間どうぞよろしくお願いいたします。
吉岡幸治さん
よろしくします。
アッティ
文苑堂書店さんは、本はもちろん、その他にも様々な事業を手がけてらっしゃるということで、そういったお話もたっぷりと聞かせていただきたいなと思います。
それと今、「本」というと、紙からネットになったり、音声読書のサービスがあったりと、体系が変わってる時代でもありますので、そんなこともお聞きしたいなと。
早速なんですけど、まずは文苑堂書店さんの簡単な会社説明をお願いします。
吉岡幸治さん
文苑堂書店は、書店を中心とした物販サービス業を富山県内で展開している会社です。
業種としては書店である文苑堂書店、また、TSUTAYAブックストア、雑貨店のB&Bハウス、そこから派生した化粧品専門店のBBコスメ、玩具店のおもちゃのバンビ、リユース店のブックマーケット、ゴルフショップのゴルフパートナー、そして外商部、以上の22ヶ店で営業しております。
また、書店の中で複合展開している事業で、DVD・CDレンタルのTSUTAYA、カフェ事業のドトール、ネイルサービス事業のTNなども複合的に展開。近年では、複数の物販業とサービス業を組み合わせた複合店化を推し進めています。
アッティ
盛りだくさんですね。
吉岡幸治さん
盛り盛りなんです。
アッティ
ゴルフもあれば、小売りもあれば、カフェもあるわ。
やっぱり最初は、書店からスタートされて、書店メインであったんですか?
吉岡幸治さん
はい。もう書店しかやってませんでした。
アッティ
高岡スタートで?
吉岡幸治さん
高岡ですね、駅前にあったお店がスタートでした。
アッティ
藤子不二雄さんも通われたという、ね。
吉岡幸治さん
そうなんですよ、駅前ではお二人が。
まぁ、通われていた学校の近くにあったっていうだけですけどもね。
アッティ
いやいや、それでもすごいですよね。
吉岡幸治さん
それで言いますと、父も私も、小学校中学校と、藤子不二雄両氏の後輩にあたります。
アッティ
近くだけにね。
吉岡幸治さん
そうです。
アッティ
なるほどなるほど、すごい繋がりですね。
青春時代のコンプレックス
吉岡幸治さんは、高岡市の商店街で活発な子として育ちましたが、小学3年生で股関節の病気になり、約5年間松葉杖生活を送りました。この経験から劣等感を抱き、目立たないように過ごすようになります。
家業が本屋であることへのコンプレックスも。中学では運動部に入れず、吹奏楽部でトロンボーンを担当しました。
アッティ
藤子不二雄さんの後輩であるという話もあったんですけども、吉岡さんは高岡市に生まれて、幼少期はどんな感じの子だったんですか?
吉岡幸治さん
駅前の商店街で生まれ育ちまして、幼少期から体を動かすことが好きで活発な方だったかと思いますね。
アッティ
なるほどなるほど。
吉岡幸治さん
昔の末広町の商店街には人がいっぱいいまして、その中を自転車でどれだけ早くかいくぐっていけるかとか、そんなことを遊びにしていました。
ところがですね、小学校3年生のときに股関節がずれていく病気になってしまうわけなんですよ。
アッティ
ほうほう。
吉岡幸治さん
それから一変しまして。
入院や手術などがあり、そこから中学校2年生の途中まで約5年間、松葉杖をつくことになるんです。
どんどんズレていっちゃうもんですから。
アッティ
それは足ですか?
吉岡幸治さん
左足の股関節です。のちに右足もなってしまうわけなんですけど。
アッティ
そうなんですか。
吉岡幸治さん
それまで僕はドッジボールなんかも好きで、活発な友達と一緒に遊んでたんですけども、動けなくなるわけですね。
そして、動けない自分に劣等感を持つように。
アッティ
5年は長いですよね。
吉岡幸治さん
長かったですね。
そんなふうになってくると、自分に劣等感があるので、できるだけ目立たないようにしてましたね。
アッティ
家に帰れば本がたくさんある環境なので、本を読まれたものなんですか?
吉岡幸治さん
そういうわけでもないですね。実は、本屋コンプレックスで。
アッティ
そこもコンプレックスだったんですか!?
吉岡幸治さん
そうですね。周りがね、やっぱり「文苑堂、文苑堂」って。
アッティ
言われますよね。
「本をいっぱい読んでるんだろう」みたいな、そんな感じで言われるんですよね。
吉岡幸治さん
こんなこと言っていいのかわかんないですけど、多感な時期なんかもう「お前んとこ、エロ本売ってるよな」っていうのは昔から (笑)
アッティ
なるほどなるほど。
そっちの話だと、なおさらちょっとコンプレックスに感じますよね。
吉岡幸治さん
小さいときはそうですね。
そう言われるもんですから、本があんまり好きじゃなかったですね。
アッティ
中学、高校、大学あたりはどんな感じでいらっしゃったんですか?
吉岡幸治さん
中学校では吹奏楽部でした。
運動部にはやっぱり入れませんから。
アッティ
なるほど。
吉岡幸治さん
友達に「吹奏楽部をちょっと見に行かないか」って誘われて「じゃあ行こう」って。
そのまま吹奏楽部に入って、僕はトロンボーンを。
東急ハンズへの就職
吉岡幸治さんは大学卒業後、東京の東急ハンズに就職。
この選択には、現在の事業であるB&Bハウスなどにつながる意図が少なからずありました。
アッティ
就職は富山でされたんですか?
吉岡幸治さん
就職は東京で。
アッティ
ちなみに、どちらに就職されたんですか?
吉岡幸治さん
東急ハンズに勤めました。
アッティ
今のB&Bハウスとか、いろんなところに通ずる商売のような気がしますね。
それを想定して東急ハンズに入られたんですか?
吉岡幸治さん
そうですね、やっぱりあったんだと思います。
アッティ
やっぱり頭の片隅に。
吉岡幸治さん
はい。
アッティ
「間違いなく今の事業に繋がってらっしゃるんだろうな」という気がしました。
あっという間に1回目が終わってしまいました。今回は、幼少期の話、学生時代の話、就職の話などをいただきました。次回は、富山に帰ってきてからのことについてお話を聞いていきたいなと思います。
雑貨屋の店長を経て本屋へ
B&Bハウスの店長
吉岡幸治さんは東急ハンズでの2年間の経験後、富山に戻り父の会社に入社。すぐにB&Bハウスの新店舗の店長に抜擢されました。
東京での下積み経験とは対照的な責任ある立場に就き、半年で胃潰瘍になるほど奮闘。その後、売上高トップの本郷店店長に異動します。この時期、吉岡さんは主に雑貨店経営に携わり、本屋業務はほとんど経験していませんでした。
アッティ
前回は、就職されるところまでの話を聞いたんですけれども、東急ハンズさんでいろんな学びをされた後、すぐ富山に戻られたんですか?
吉岡幸治さん
はい、そうです。
2年間勤めまして、父の会社に一旦入るわけですけれども、入社と同時に新店の店長を任されるわけですよ。
アッティ
いきなり!?
吉岡幸治さん
いきなり。東京では、大卒の新人扱いでフロアの先輩から「脚立持ってこい」とか「ゴミ捨ててこい」とか言われていたのに…
アッティ
そうですよね。いきなり店長っていうのはね。
吉岡幸治さん
そうです、そうです。
アッティ
やっぱりそのときは、完全なる本屋のみの感じだったんですか? それとも、いろんなものをやってらっしゃったんですか?
吉岡幸治さん
任せられたのは、B&Bハウスの新店の店長だったんです。
アッティ
ハンズさんにいてB&Bさんですから、全く違う業種というわけでもなかったんですね。
吉岡幸治さん
共通するところはありましたね。
アッティ
実際に富山で仕事してみてどうでした?
吉岡幸治さん
場所柄関係なく、まずは半年で胃潰瘍になりましてね。
アッティ
かなり身体壊されてますね (笑)
吉岡幸治さん
そうなんですよ。「弱いのかしら」と思うぐらいなんですけど (笑)
新店ですからオープン景気が続き、胃潰瘍になりつつ、そんなこんなして「ちょっと落ち着いたかな」ってときに、もう異動の辞令が出まして。
アッティ
早い。
吉岡幸治さん
当時B&Bハウスの事業部では一番売り上げが大きかった富山市の本郷店に、店長として行くことになるんです。
アッティ
人気ですよね。
吉岡幸治さん
そうなんですよ。
アッティ
そうすると吉岡さんは、本屋のことはあんまりされてなかったんですか?
吉岡幸治さん
はい。雑貨屋さんのことばかり。
アッティ
そちらが主だったんですね。
吉岡幸治さん
そうなんですよ。
本屋を継いだ時の考え
吉岡幸治さんは8年前、Amazonやスマホの普及期に父の要請で本屋経営に参画しました。
当初は「どう縮小するか」を考えていましたが、実際に経営に携わるうちに本屋の重要性を再認識。デジタルサービスの台頭で厳しい状況でしたが、本屋の持つ独自の価値を見出していきました。
吉岡幸治さん
雑貨屋さんをずっとやってきて、8年前に父から「ちょっと家手伝え」って言われるわけなんです。
最初は「えっ!?」と思ったのですが、戻ることに決めました。
アッティ
いよいよ本屋?
吉岡幸治さん
本屋。
アッティ
でも8年前というと、もうAmazonはガンガン日本に来てますよね?
吉岡幸治さん
そうなんですよね。
アッティ
ネットで本を買えるのが当たり前化してる時代でもありましたよね。
さすがにまだ、Audibleなどの音声読書まではいってないと思いますけど。
吉岡幸治さん
はい。
アッティ
電子で読むことがスタートし始めた頃なんじゃないですか?
吉岡幸治さん
そうです。
アッティ
大変なときのスタートですよね。
吉岡幸治さん
アッティさんが言われるとおり、当時はまさにAmazonとかスマホなどが普及してきたタイミング。デジタルサービスの未来が、もう広がって見えてるところでした。
アッティ
そうですよね。でも、もうそのときから社長ですよね?
吉岡幸治さん
そうですね。
アッティ
どういう戦略や、どういう方針を立てられたものなんですか?
吉岡幸治さん
「どうやって本屋を縮めていこうか」と考えていましたね。
アッティ
なるほど。
吉岡幸治さん
本に携わらずに、自分の会社ではサービス業ばかりをやっておりましたので、はた目に「父の会社はこれから大変だな」って思っていましたから。
「継ぐとしたら、どんな感じで縮小していくか」ってことを、当時は考えていました。
でも、本屋さんを実際にやればやるほど「こんな大事な仕事はないな」と思うわけなんですね。
本屋の魅力と重要性
吉岡幸治さんは本屋を「知の拠点」と位置づけ、地域の知的文化を支える存在だと考えています。
多様な本が並ぶ本屋は、フラットな情報源として機能。来店者の自由な選書を可能にします。
特に、本を実際に手に取る体験は、ネット書店にはない魅力です。本棚を眺めるだけで、思いがけない興味や可能性に出会えます。
アッティ
本屋の魅力はどこにありますか?
吉岡幸治さん
いろいろあります。
たかだか本屋がこんなことを言うのはおこがましいんですけども「その地域の、知の文化を支えているな」ということを感じられるということです。
アッティ
知の文化、いいですね。
吉岡幸治さん
言ってみたら、本屋は「知の拠点」だと感じてます。
アッティ
うんうん。
吉岡幸治さん
言ってみたら本っていうのは、著者の方1人1人に偏った物語なんですね。ところが、それがいっぱい並んでいるから「一番フラットなメディア」である。
そこにお客様がいらっしゃって、それぞれの本を開いて「あぁ」とか「そうだな」って思われる本を買われていくわけなんですね。この行為がすごく大事だと思います。
アッティ
ものすごいよくわかります。
もしかしたら今の若い人たちは、ネット上でも同じようにできる可能性はあるかもしれませんけど、私らの年代は「この本を買うと決めてAmazonを開く」みたいなところがあるじゃないですか。
Amazonの中で本をいろいろ調べるってことは、そんなにしない。
吉岡幸治さん
そうなんです。
アッティ
実際に本屋に行って何冊もボーっと見ながら、心地よい空間の中で自分の好きな本をぱっと選ぶというのが、何とも楽しいですよね。
吉岡幸治さん
そこが、すごく大事なとこだと思いますね。
顕在化している意識の中だけでは、限られた可能性しか作られないと思うんです。
でも実は、本屋さんに行ったときって潜在意識も働いてるわけです。全部を一冊ずつ見るわけじゃないですから。
アッティ
確かに確かに。
吉岡幸治さん
ぱーっと歩いてたときに、自分が気になるワードが入ったタイトルの本に手が伸びたりとか。
アッティ
そうですね。
吉岡幸治さん
それは、目的外の自分の可能性を見つけていくっていうことなんです。
アッティ
「目的外の自分の可能性を見つける」いいですね。
吉岡幸治さん
そうなんです。
アッティ
あっという間に時間が来てしまったんですが「今の本屋さんは知の文化を作っている」「目的外の自分の可能性が見つかる」って、ものすごいわかりやすいですね。
本屋の大事さをものすごく感じました。
吉岡幸治さん
ありがとうございます。
アッティ
次回も、より深掘りしながらお話を聞いていきたいなと思います。
事業展開と時代の変化
ビジネス書コーナーへのこだわり
吉岡幸治さんは、文苑堂書店のビジネス書コーナーに特別なこだわりを持っています。
ビジネス書の選書や展示に自ら積極的に参加し、個人の体験や知識を取り入れる工夫をしているのです。
アッティ
私、実はけっこう文苑堂さんにお邪魔するんです。
吉岡幸治さん
ありがとうございます。
アッティ
吉岡さんともビジネスの話をネタにさせてもらう機会があって、文苑堂さんのビジネス書コーナーに行くと、どう見ても吉岡ワールドになってるんですよね。あれが何とも楽しくて。
他のコーナーは分かりませんけど、経営技術のコーナーは間違いなくかなり監修されてるんじゃないかなと思うんですけど、そこらへんはどうなんですか?
吉岡幸治さん
監修までいかないですけど、担当者に「いや、そこはこうじゃないんだ」と (笑)
アッティ
やっぱり (笑)
吉岡幸治さん
アッティ先輩とも一緒に学んだ塾長の「こういった本を読んでほしいんだ」ということなどは、強く言いますね。
アッティ
ビジネス書のコーナーだけですか? 他もですか?
吉岡幸治さん
ビジネスのコーナーのみです。
アッティ
やっぱりそこ。
吉岡幸治さん
ビジネス書が好きなので、なんかちょっとこだわりが出ちゃうというか、想いが出ちゃうとこですね。
アッティ
なるほど、面白いですね。
電子書籍と紙の本の違い
吉岡幸治さんは電子書籍の利便性を評価しながらも、紙の本がもつ情緒的な価値を大切にしています。
電子書籍は持ち運びやすく、読書環境の選択肢も広がりますが、紙の本ならではの読書体験があると指摘。とりわけ、ページをめくる動作や読書時の雰囲気が、自己内対話や学びの姿勢を育てると考えています。
単なる情報収集を超え、内容を「自分の中に浸透させる」には、紙の本がおすすめです。
アッティ
今、電子化がどんどん進んでるじゃないですか?
Kindleとか、いろんなものがあると思うんですけど、そこはどう見ていらっしゃいますか?
吉岡幸治さん
電子書籍についていえば「便利なところがあります」っていうところですかね。
たとえば、500ページも600ページもある文芸書を持ち歩かなくていい。
アッティ
重たいですからね。
吉岡幸治さん
はい、いつも使ってるスマホで見られる。もしくは専用デバイスで見ることができる。
暗闇でも、バックライトがついて見やすいとかですね。
アッティ
確かに確かに。
吉岡幸治さん
ただ「情緒的なものは、あまりない」と言えます。
アッティ
情緒的なことね。
吉岡幸治さん
読書をするっていう中で言いますと、静かなところで、自分のお気に入りの場所で、その本をめくるということ。
アッティ
なるほど。「めくる」ですね。
吉岡幸治さん
この行為が、自分が癒される時間になったり、学ぶという姿勢になったり、自分の中での環境が整ってるっていうことではないかと思います。
アッティ
なるほど。
吉岡幸治さん
情報を得るというだけであれば、電子書籍の使い勝手はいいと思いますが、「自分の中に染み込んでいくようなものを」と考えたときには、やっぱり紙の本かなって。
本屋ですから、そう言ってしまう部分もあるかもしれませんが、僕個人的にはそう思っています。
アッティ
「自分の中に染み込んでいく」と。また、いいワードですね。
想いと理念に基づく事業展開
吉岡幸治さんは、新規事業や多角化の鍵を「マーケットの可能性」ではなく「想い」に置いています。
人口減少時代の差別化に必要なのは「強い想い」と考え、目指すのは、同社の共通言語「より心ゆたかな人生のために」に基づいた、顧客の生活文化向上です。
この方針が、書店を中心に、カフェ、雑貨、格安スマホなど多様なサービスを統合した空間づくりにつながっています。
アッティ
本の話を中心にお聞かせていただいてたんですが、1回目に話されていた事業、例えばフィットネス事業とか、B&Bハウスさんとか、ゴルフパートナーさんとか、カフェもですよね?
吉岡幸治さん
はい。
アッティ
格安スマホも今やられてます?
吉岡幸治さん
はい。
アッティ
本当に様々な事業をたくさんやられてるんですけど、「多角化について」とか「多角化の新事業の展開の肝」みたいなものをお話いただけると嬉しいなと思うんですけど。
吉岡幸治さん
新規事業は「マーケットの可能性から入るのではなく、想いから入ること」って決めてます。
アッティ
なるほど。
吉岡幸治さん
昔、高度成長期も含めて様々な産業のマーケットが広がっていた時代。そのマーケットの可能性に対して、自社の強みを活かした効率的な経営をするってことは、よくあったと思うんですね。
ただ、今これからは、人口減少とともにお店も不要になるはずですから。
アッティ
そうですね、確かに。
吉岡幸治さん
そういった状況の中では、マーケットの可能性っていうよりも、マーケットの基本が「差別化」になっていくと思うんですね。
アッティ
おっしゃる通りです。
吉岡幸治さん
そうなったときに、実際、差別化できるのかって観点で言いますと「想いがないと、そんな大変なことはできない」と思っているんです。
アッティ
今行っている一個一個の事業にしても、何かしらの差別化は入ってるはずだと思うんですけど、でも今それ以上にマーケットが当たり前化されてますからね。
差別化は、相当難しいですよね。
吉岡幸治さん
そうなんですよ。そこにはやっぱり、困難を乗り越えるための想いがなければ。
アッティ
想い。なるほど。
吉岡幸治さん
これからの時代、他社と差別化を行ってお客様に満足していただくっていうのは、なかなか難しいだろうと。
だから、新規事業や多角化については「想いがある事業でなければできない」って思います。
アッティ
それともう1つは、行っている事業が点ではなく、線で繋がってるものが多い感じがしますよね。
吉岡幸治さん
最近、社内で理念的な共通言語「より心ゆたかな人生のために」というのがあります。
これは、お客様の、富山県の皆さんの生活文化をより向上して、心ゆたかに過ごしていただくことのお手伝いが私達にできないかと。
アッティ
なるほど。
吉岡幸治さん
そういったことをやっていきたいと思っています。
アッティ
確かに「心ゆたかに」がテーマだと、本屋さんに行きました。そこにカフェがあります。雑貨的なものも置かれてます、格安スマホもあります。
このようになると、その環境全体の雰囲気がいい状況になって、心がゆたかになってる。
本屋だけでなく、よりプラスアルファされてる感じを受けますよね。
吉岡幸治さん
「そういった全体的なものを作っていく」ってことは、意識してますね。
アッティ
この「心ゆたかに」という理念や方針に沿ってやっていくと、こういう形にどんどんなっていくんですね。
吉岡幸治さん
そうですね。判断基準というか「それって豊かになるの?」って一言で判断していくというか。
アッティ
なるほど、大変勉強になりました。ありがとうございます。
今回は以上とさせていただきまして、次回は、ふるさと富山に対する想いや人生のこだわりなど、そんなことについてお話を聞いていきたいと思います。
富山への想い&オススメ店&リクエスト曲
ふるさと富山について
吉岡幸治さんは、富山県が大好きです。
若い頃は「外に出たい」という思いが強く、全国展開を目指していましたが、現在は地元での役割を強く意識しています。
アッティ
吉岡さんは東京で就職されてるので他の地域も見られていると思うのですが、このふるさと富山県、そして高岡に対しての想いをお聞かせいただきたいなと思います。
吉岡幸治さん
そう聞かれると、単純に「もう大好き」ですね。富山県。
アッティ
「大好き」という言葉がいいですね (笑)
吉岡幸治さん
大好きですね。
実際には、若いときはあんまりそうは思っていなかったんですよ。むしろ外に出たかったですし、自分の会社もやってたときなんて「どうやって全国に出て仕事するか」なんてことを考えてましたし、目指してきました。
でも今は「ここに自分の役割がある」って感じてますね。
富山県内で大好きな飲食店
アッティ
実際に飲食店を経営されてますので、お聞きするのもどうかと思うんですが、皆さんに聞いているので。
富山県でお気に入りの飲食店は、どこかありますかね?
吉岡幸治さん
高岡にあります「大重亭」と「ポンタッチョ」。
アッティ
どんなお店ですか?
吉岡幸治さん
「大重亭」は、洋食屋さん。ステーキもあります。
昔、私のおじいちゃんの時代にあったんですね。
アッティ
そうですか。
吉岡幸治さん
そのお孫さんが、何年前になるのかな、もう7〜8年前になるんですかね。
32年ぶりに大重亭を復活させたんです。
アッティ
いいですね。
吉岡幸治さん
「ポンタッチョ」は、家庭的なイタリアンのお店で、カジュアルなお店ですね。
アッティ
なるほどなるほど。
富山大好きっ子のね、吉岡さんの大好きなお店がそちらということですね。
吉岡幸治さん
はい。
リクエスト曲
アッティ
皆さんからリクエスト曲をお聞きしてるんですけれども、吉岡さんの大好きな曲、皆さんに聴いてほしい曲は、どれになりますかね?
吉岡幸治さん
Mr.Childrenの「終わりなき旅」です。
アッティ
これは想いか何かあるんですか?
吉岡幸治さん
とにかく桜井さんの歌声にのせて、歌詞がもうガンガンくるという。
歌い出しがいきなり「息を切らしてさ、駆け抜けた道を振り返りはしないのさ」と。
アッティ
なるほど、なるほど。俺の人生と一緒だと (笑)
吉岡幸治さん
(笑) そうですね。
もうこれは経営に当てはめると、本当にグッとくるなと思うんですね。
アッティ
なるほど。
吉岡幸治さん
はい。
アッティ
吉岡さんは、一つ一つのワードをすごい大事にされますよね。
吉岡幸治さん
響くんですよね。「言霊」なんて言いますけど「やっぱりあるな」と思いますし。
アッティ
そうですね。
吉岡幸治さん
人が話してるのを聞いても、温度感って伝わるじゃないですか。
アッティ
そうですね。
吉岡幸治さん
「そこに魂が宿る」と言いますかね。
これからの夢や目標について
吉岡幸治さんの夢は、文苑堂書店を富山県を代表するリーディングカンパニーにすることです。
単なる本や雑貨の販売にとどまらず、その存在自体が富山県を象徴する企業となることを目指しています。
アッティ
最後の最後になりますけれども、吉岡さんのこれからの夢、目標についてお聞かせいただけますか?
吉岡幸治さん
株式会社文苑堂書店を、富山県の物販サービス業をやってる中でも、富山県を代表するようなリーディングカンパニーにしていきたいなと思ってます。
アッティ
いいですね。
吉岡幸治さん
「文苑堂さんはいいよね、本を売ってるから、雑貨売ってるから」ではなくて、その存在が、富山県を代表するような企業になっていきたいと。
アッティ
判断基準が「心ゆたかに」という言葉でありますので、そこの方向に進んでいけば間違いなく「文苑堂さんじゃないと」って会社になられるんじゃないかなと思います。
今月全4回にわたって吉岡さんからお話をいただきました。吉岡さんから出る一つ一つのワードが、すごい胸を打つ。そういったワードがたくさんありました。
本については「目的外の自分の可能性を見つける」であったりとか、「会社の方向性は心をゆたかにしていくこと、世の中をゆたかにしていくこと」であったりとか。
この話を何度も何度も聞いて、私も学んでいきたいなと思った次第であります。
今月のゲストは、株式会社文苑堂書店 代表取締役社長の吉岡幸治さんでした。吉岡さん、1ヶ月間ありがとうございました。
吉岡幸治さん
ありがとうございました。
アッティ
この番組のこれまでの放送は、ポッドキャストで聞くことができます。FMとやまのホームページにアクセスをしてみてください。
お風呂の中でのぼせてまいりましたので、そろそろあがらせていただきます。アッティでした。